上 下
13 / 64

第13話 わたくし一人で入れますわっ!

しおりを挟む

 そしてアンナがわたくしにウナギは美味しいか聞いてくるのだが、その瞬間周囲の空気に緊張感が走しる。

 どうやらわたくしがウナギを気に入ったかどうか気になっているようだ。

「そうですわね……。これほど美味しい魚料理、いえ、今まで食べてきたどの料理よりもおいしいですわっ!!」

 なのでわたくしはウナジュウという料理を食べた感想を素直に言うと、使用人たちはホッとした後嬉しそうな表情をするのだが、こんなにも美味しい料理を食べて『まずい』という感想を抱く者がこの世にいるのだろうか?

 もしこのウナギの食べ方がここの領地で一般的であるというのであれば、わたくしが今まで生活していた王都では捨て値で売られていたウナギが、こちらでは少し高値で売られ始めているという理由も理解できるほどの美味しさであった。

「良かったっ!! 中には見た目が見た目だからちょっと無理って食わず嫌いしている人もいれば、欧米人だと魚の出汁や風味、醤油を食べ慣れてなくて苦手って人もいるから少し心配だったけど、シャーリーが美味しいと言ってくれてホッとしたよーっ!」

 しすてどうやらアンナもこのウナジュウという料理がわたくしの口に合うかどうか心配していたようでホッとしたと言うではないか。

 その事実にわたくしは、何故だか分からないのだがこちらまで嬉しくなって来る。

「よーーしっ!! じゃぁそういう事でこの後は私と一緒にお風呂に入ろぉーっ!!」

「え? え? だ、大丈夫ですわっ!! わたくし一人で入れますわっ!!」

 そして、何がそういう事なのか分からないのだけれどもアンナがわたくしに抱き着いて『一緒にお風呂に入ろう』と言ってくるではないか。

 もしかしたら、アンナは公爵家からきたわたくしはお風呂も一人で入れないと思っているのだろう。

 たしかに公爵家にいた時は偶に使用人が身体を洗ってくれる時もあったのだけれども、お風呂は数少ない『一人になれる貴重な時間』でもあった為基本的には一人で入っていた。

 それに公爵家にいた頃は、小さな頃からわたくしに仕えてくれ、母や姉のような存在に身体を洗ってもらっていたのであり、今日であったばかりの者に裸を見られるのは同じ異性と言えどもやはり恥ずかしいと思ってしまう。

「うん、そうね。 きっとお風呂の使い方とかも初めは分からないでしょうからアンナが一緒にお風呂へ入って使い方とか一通り教えてあげてちょうだい」
「まっかせなさーいっ!!」
「あ、あのっ!! ですからわたくしは一人でお風呂に入れますわっ!!」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話

Ryo-k
ファンタジー
「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」 「よっしゃー!! ありがとうございます!!」 婚約破棄されたセレスティーナは国王との賭けに勝利した。 果たして国王との賭けの内容とは――

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

愛人がいらっしゃるようですし、私は故郷へ帰ります。

hana
恋愛
結婚三年目。 庭の木の下では、旦那と愛人が逢瀬を繰り広げていた。 私は二階の窓からそれを眺め、愛が冷めていくのを感じていた……

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな

こうやさい
ファンタジー
 わたくしは婚約者や義妹に断罪され、学園から追放を命じられました。  これが「ざまぁ」されるというものなんですのね。  義妹に冤罪着せられて殿下に皆の前で婚約破棄のうえ学園からの追放される令嬢とかいったら頑張ってる感じなんだけどなぁ。  とりあえずお兄さま頑張れ。  PCがエラーがどうこうほざいているので消えたら察してください、どのみち不定期だけど。  やっぱスマホでも更新できるようにしとかないとなぁ、と毎度の事を思うだけ思う。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。

これが普通なら、獣人と結婚したくないわ~王女様は復讐を始める~

黒鴉宙ニ
ファンタジー
「私には心から愛するテレサがいる。君のような偽りの愛とは違う、魂で繋がった番なのだ。君との婚約は破棄させていただこう!」 自身の成人を祝う誕生パーティーで婚約破棄を申し出た王子と婚約者と番と、それを見ていた第三者である他国の姫のお話。 全然関係ない第三者がおこなっていく復讐? そこまでざまぁ要素は強くないです。 最後まで書いているので更新をお待ちください。6話で完結の短編です。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

処理中です...