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第71話 恐らく気のせいであろう
しおりを挟むさすが現役の冒険者であり、その道の第一線で長く活躍しているだけの事はある。
そしてあたりを見渡せばマオに敵意を向ける様な者はおらず、一緒に会話を楽しみながら遠征の準備をしているマオとその他冒険者達の姿が見えるのだが、なぜか女性冒険者やメイド達に囲まれて鼻の下を伸ばしデレデレしている様にも見える。
と、いうか絶対そうである。
「って、わたくしという者が居ながらなに女性にちやほやされて鼻の下を伸ばしているのですかっ! わたくしはこれでも一応はあなたのご主人様なんですからねっ!!」
「お、おう。なんかすまない」
「あらやだ大胆ね」
「初々しいその反応、かわいらしいわ。食べちゃいたい」
「ねぇ、面倒臭い女なんか放っておいて私と良い事しない?マオちゃん」
そう意気込んでマオと、それを取り巻く女性達の間に割って入るのだが、まるでわたくしとマオが婚約しているような口ぶりになってしまっている事を女性たちの指摘により気付き、恥ずかしさのあまり顔が熱くなっていく。
あれ? 一人おかしな人がいた様であるのだ、恐らく気のせいであろう。
◆
そのあと皇帝陛下より出発は三日後である事を告げられてその場は解散となった。
翌日ではなく二日ほど開けたのは、この二日間で冒険者達は各々準備をしてくる様にという事である。
「しかし、我が娘が本当に聖女になって帰って来るなど、ステータスを見せられても未だに信じられないな」
「わたくしとあなたの娘ですもの。このくらい当然ですわ」
「そしてこの俺の妹でもあるからな。鼻が高いよ」
「お前達、それもそうだなっ!!」
そんなこんなで今現在わたくし達は残された家族団らんの時間を過ごしていたりする。
他の冒険者と同じように準備をしなくてはならないのでは? と一度マオに聞いてみたのだが「大丈夫だ、問題ない」と決め顔(とてもかっこいい)で言われては返す言葉も無い。
ただ、あの決め顔(マオ曰く決め顔を見て笑う所とは言っていたのだがわたくしには全く分からなかった)を映写魔術で残せなかったのは残念ではある。
そんなマオはというと小さなドラゴンの姿となり、今はわたくしの頭の上でくつろいでいたりする。
小さなドラゴンの姿も、これはこれで可愛いと思えてしまうのでマオはずるいと思ってしまうのと同時に愛おしいとも思ってしまう。
何だか、今のわたくしはマオさえ側にいてくれれば何にだって勝てる、そんな気分さえ感じてしまう。実際、もう一度カイザル殿下に婚約破棄をされたころに戻されたとしてもこの気持ちと
実際、もう一度カイザル殿下に婚約破棄をされたころに戻されたとしてもこの気持ちとマオさえわたくしの側にいてくれるのであればいくらでも耐えられると、胸を張って言える。
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