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第37話 内心ブチ切れている

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「と、言うわけで私達ランゲージ家は隣国であるカザール帝国へと鞍替えする事となった。日程は王国より賠償金である三百枚の金貨を頂いたその翌日に魔王であるマオの竜形態にてランゲージ家とその使用人達を乗せた馬車を担いだままカザール帝国へと飛んでいってもらい皇帝陛下へ我が領土を帝国側へ組み込んで貰う事により帝国貴族として迎え入れて頂く交渉に着く。既に皇帝陛下には手紙を出しておりそろそろ届く頃であろう」
「お、お父様? い、一体何を言って………」
「因みに飛び立つに当たって領土が空いてしまうのを防ぐ為にその間は帝国騎士を派遣してくれるそうだ」
「お、おお、お父様っ!?」
「以前に王城へ乗り込んで行った際、我が娘を次コケにしたら容赦はせず歯向かうと啖呵を切って来たのだ。マオからその話を聞いた瞬間ランゲージ家総出で乗り込んでやろうかと思っていたのだがマオからいい提案があると言われて一応聞いて見たらそっちの方が面白そうであったからな。何、帝国の国境側に面している我がランゲージ家の領土を差し出すだけで済むのだ。王城をぶっ壊されるよりも遥かにマシであろう。その為王都のこの別荘にはもう来ないから必要な物は運び出さないとな。シャルロットもいる物と要らない物とで分けておきなさい」

 終始笑顔で話しているお父様であるのだが内心ブチ切れているのが娘であるわたくしには怖いほど伝わってくる。

 因みにブチ切れているのはお父様だけでなくお母様にお兄様、そして使用人の皆様からも同じ様にブチ切れているのがその雰囲気から察する事が出来る。

 今この場で唯一怒っていないのはマオくらいであろう。

 そんなマオであるのだが怒っていると言うよりも楽しそうに見えるのは気のせいでしょうか?

「し、しかし先程マオが帝国帝都まで馬車を抱えて飛んで行くと仰ったのですけれども本来の姿では半刻程しか保ってられないのではないのですか? まさか、半刻で帝都どころか帝国との国境を越えるとも思えないのですけれども。それに、万が一それが可能だとしてマオは馬車を担いで帝国まで飛んで行くことが可能ですの?」

 いくら何でもマオが魔王であったとしても馬車を担いで半刻以内に帝国まで飛び立つなど不可能であろう事くらいわたくしでも少し考えれば分かるというものである。
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