33 / 36
第33話 無理やり笑顔を張り付けて対応する
しおりを挟む
小等部の子供だってどうなるか分かる事だ。
捕まって拷問されて知識を奪われて殺され、協会が新たに強大な力を得るだけである。
だからこそ私は気を引きしめ、お師匠様から学んでいる全て、それこそどんな些細な事であろうと門外に出すべからずとより一層強く誓うのであった。
◆
春の日差しこそ温かいが、吹く風はまだ肌寒いこの季節、学園をサボって俺は愛しの奴隷様であるリーシャと弟子であるレヴィアを連れてとある闘技場へと足を運んでいた。
今日この闘技場では一般の部と宮廷魔術師の部に分かれて試合が行われる為である。
レヴィアには同年代の者達の試合を見るよりも自分よりも何ランクも上の者の試合を見る方が、そこから得れる物が多いのではないかと思ったからである。
因みに一般の部でいい成績を収めた者と、宮廷魔術師の部で悪い成績を出した者とを入れ替える可能性もある為、その可能性がある位置にいる者達の気合の入れようは鬼気迫るものがある。
それもそのはず一般の部と言えども冒険者ランクA以上でないとそもそもこの大会にはエントリーできない為天才と名高い宮廷魔術師様と言えど足元を救われる可能性があるからである。
しかしながら毎年入れ替わるメンツは宮廷魔術師と冒険者を行ったり来たりしており、宮廷魔術師の上位ランカーはほとんど動かない事を考えれば、それだけ見ても宮廷魔術師のランカーと言われる人たちがどれ程化け物であるのかが窺えてくるというものだ。
因みに宮廷魔術師のランキングは年四回行われる試合の成績で評価される為、宮廷魔術師は宮廷魔術師で今年こそはと意気込んでいる物もちらほらと見える。
「お久しぶりですね、レンブラントさん。こんな所で見るなんて珍しい」
そして、試合開始時間が近づきピリつき始めた空気の中、俺へ緊張感の欠片も感じさせない声音で挨拶をしてくる宮廷魔術師様が現れ、思わず苦虫を噛み潰したかのような表情になるのをグッと堪え、無理やり笑顔を張り付けて対応する。
「お久しぶりです。宮廷魔術師ランキング常に三位以上をキープしている【絶色】のダグラスさんから挨拶をしてくれるなんて、周りに自慢できる話が一つできましたな」
「何を言っているんですか。一緒に学生時代を過ごした仲じゃないですか」
コイツレベルともなると人一人の人生を決めかねないターニングポイントであろうと単なる恒例行事なのであろう。
以前の俺であるのならば怒りや憎しみ、反骨心等と言った感情を抱くのであろうが、今はただただ過去の黒歴史である天才と勘違いしていた凡人時代を思い出して嫌な汗をかくだけである。
捕まって拷問されて知識を奪われて殺され、協会が新たに強大な力を得るだけである。
だからこそ私は気を引きしめ、お師匠様から学んでいる全て、それこそどんな些細な事であろうと門外に出すべからずとより一層強く誓うのであった。
◆
春の日差しこそ温かいが、吹く風はまだ肌寒いこの季節、学園をサボって俺は愛しの奴隷様であるリーシャと弟子であるレヴィアを連れてとある闘技場へと足を運んでいた。
今日この闘技場では一般の部と宮廷魔術師の部に分かれて試合が行われる為である。
レヴィアには同年代の者達の試合を見るよりも自分よりも何ランクも上の者の試合を見る方が、そこから得れる物が多いのではないかと思ったからである。
因みに一般の部でいい成績を収めた者と、宮廷魔術師の部で悪い成績を出した者とを入れ替える可能性もある為、その可能性がある位置にいる者達の気合の入れようは鬼気迫るものがある。
それもそのはず一般の部と言えども冒険者ランクA以上でないとそもそもこの大会にはエントリーできない為天才と名高い宮廷魔術師様と言えど足元を救われる可能性があるからである。
しかしながら毎年入れ替わるメンツは宮廷魔術師と冒険者を行ったり来たりしており、宮廷魔術師の上位ランカーはほとんど動かない事を考えれば、それだけ見ても宮廷魔術師のランカーと言われる人たちがどれ程化け物であるのかが窺えてくるというものだ。
因みに宮廷魔術師のランキングは年四回行われる試合の成績で評価される為、宮廷魔術師は宮廷魔術師で今年こそはと意気込んでいる物もちらほらと見える。
「お久しぶりですね、レンブラントさん。こんな所で見るなんて珍しい」
そして、試合開始時間が近づきピリつき始めた空気の中、俺へ緊張感の欠片も感じさせない声音で挨拶をしてくる宮廷魔術師様が現れ、思わず苦虫を噛み潰したかのような表情になるのをグッと堪え、無理やり笑顔を張り付けて対応する。
「お久しぶりです。宮廷魔術師ランキング常に三位以上をキープしている【絶色】のダグラスさんから挨拶をしてくれるなんて、周りに自慢できる話が一つできましたな」
「何を言っているんですか。一緒に学生時代を過ごした仲じゃないですか」
コイツレベルともなると人一人の人生を決めかねないターニングポイントであろうと単なる恒例行事なのであろう。
以前の俺であるのならば怒りや憎しみ、反骨心等と言った感情を抱くのであろうが、今はただただ過去の黒歴史である天才と勘違いしていた凡人時代を思い出して嫌な汗をかくだけである。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件
なかの
ファンタジー
異世界に転生した僕。
そこで与えられたのは、この世界ただ一人だけが持つ、ユニークスキル『スキル合成 - シンセサイズ』だった。
このユニークスキルを武器にこの世界を無双していく。
【web累計100万PV突破!】
著/イラスト なかの

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる