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第275話さらに発情してしまう

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 しかし、そんなキンバリーの一挙手一投足は前世から数えて30を超えたおじさんであるクロからすれば恋に慣れていない女性といった感じでそのうぶさや若々しさもあいまって素直に可愛いと思えるのだが、クロの精神年齢が30超えのオッサンである事に気付けないのは仕方ない事であろう。

 クロの波状攻撃を耐え何とか食事を終えたキンバリーは今現在色街にある宿に到着していた。

 食事からこの宿までに至るまで他の店にも色々寄っていったのだがはっきりと覚えていない。

 ただ確かなのは今自分はそういう事をする宿にいるという事である。

「フー……フー……」

 今から起こる事を考えると発情期でも無いのにはしたなくも発情してしまい息が荒くなって世界が霞み出す。

 全ての感覚が鈍くなって行くのと対照的にクロの匂い、息遣い、足音、物音、それら全てを感じる事だけは研ぎ澄まされていく。

 そしてクロの存在を感じるたびにさらに発情してしまう。

 母親から発情期でも無いのに発情する時があるから気を付けなさいと言われた時はそんなバカなと一蹴したのだが………ちゃんと聞いとけば良かったと今更ながらに後悔する。

 むしろこれ程までに自分がクロに惚れてしまうこと自体が想定外であり、そんなクロを妬ましくも思う。

恋に恋い焦がれるような可愛げがある女の子とは正反対だと思ってたんだけど……クロの女誑し!!

 そう思うも本当に女誑しだったとしても許してしまうだろう。

 だから恋い焦がれる女性は恋に泣くのだと理解する。

 でもその涙は嬉し涙が良いと柄にもなく思ってしまい何だか可笑しくも幸せな気分になる。

そして不安でもある。格差遺伝の為か獣の血を濃く引く私をクロは本当に可愛いと思っているのだろうか?この身体を見て引いてしまわないだろうか?

 考えれば考えるほど同じことで悩んでしまう。

 クロからすれば馬鹿げた、本人からすれば考えても考え足りない事で悩んでいるとクロが部屋に備え付けられている浴槽から出ていたみたいである。

 その音を聞きキンバリーの心臓は爆発するんじゃ無いか?と思えるほどに暴れ出す。

「ごめん、待たせた?」
「ま、ままま、待ってない! 待ってない!」
「こういう事……初めて……だよね?  緊張する?」
「は、初めてじゃないし!  ヤリまくりだし!  テクニシャンだしっ!?」


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