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第236話パンツを嗅ぎながら

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 その汚れを知らない純粋さにサラは今までの会話の流れを振り返り急に恥ずかしくなる。

 それはキンバリーやアルも同じなのか先ほどとはまた違った気まずさがこの空間を支配する。

「ターニャ…クロのパンツを嗅ぎながら自分を慰めていたあなたからそのような言葉が出るなんて……」
「い、いいい、言わないで下さいよ!!早く忘れて下さい!」

 そんな一種の問題発言とも取れる発言を投じたターニャに向かってキンバリーが塞ぎかけていたターニャの古傷を強引に抉り塩を塗りたくる。

「ターニャ…君って奴は……」

 そしてターニャの恥ずかしい過去を初めて聞いたアルが神妙な顔つきになりターニャに顔を見せる。

 その状況にターニャは穴があったら光の速さで入っていただろう。

 しかし近場にそう都合よくターニャが入り身を隠せる程の穴など無く、只目を瞑り恥ずかしめを耐え忍ぶ。

「分かってるじゃないか!やはりご主人様の匂いは格別でもって切なくもなり、愛おしくてたまらくなるよな!」

 そんなターニャの気持ちを知ってか知らずかアルは興奮した声でターニャにクロの匂いについて語りだす。

 それについては私も概ね同意見なのだがいかせんここは街酒場の一角である。

 そのためアルが語れば語るほどターニャの顔は真っ赤に染まってゆく。

「もう其の辺にしてあげなさいよ。周りの目もあるんだから」
「おっとすまない。興奮してしまったようだ。この話は後日ちゃんとした場所で密会スるとしよう」
「それと、Мというのはね、好きな人に苛められて興奮する性癖みたいなものよターニャ」
「好きな人に苛められて……興奮…っ!?」

 そして脱線しかけた話を強引に軌道修正させクロの匂いの話から遠ざけようと元に戻す為に簡単にМという性癖について大まかにザクッりと説明するのだが、当のターニャは何か思い当たるフシがあるのかまたもや顔を真っ赤にしてしまう。

 どうやらここにいる3人とはこれからも旨い酒が飲めそうだと私は確信するのだが、今はそのことは二の次である。

 とりあえずアルには聞かなければならない事は山ほどあるのだ。


◇◆◇◆


「八ノ太刀、納刀」

  クロ・フリートがそう言い片刃剣を鞘に納めるのが見える。やはり先程の一連の流れは決められた形であるのだろう。
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