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第231話恐怖に震え始める

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「な………っ!また……そ、そんな手には引っ掛からないですのよ!?どうせここでわたくしを騙し煽て、明日の試合で手加減してくれと頼むのでしょう!?」
「いや、君を美人だと思うのは嘘ではないし……明日もし俺の生徒達と当たるのであれば全力で相手をして欲しい。むしろ手加減してれば怒るかもな」
「………本当ですの?」

 そんなクロに彼女は恐る恐ると言った感じでクロの言葉が本当かどうか上目遣いで聞いてくる。

 その様はまるで母親に怒っていないかどうか聞いてくる少女のようでありとても微笑ましくもある。

「嘘言ってどうするよ。兎に角、明日はお互いに頑張ろうな」

 そんな彼女の一挙手一投足にもう会う事のないであろう愛娘の影を重ね、もし娘が思春期の悩みを打ち明けたのならこんなんだろうか?母親に怒られた後はこんなんだろうか?と思いを馳せるのだが、流石にこのままと言うのも相手に悪いので嘘ではない事を伝え彼女の頭を若干乱暴に撫でる。

「な、何するんですのっ!?」

 すると彼女は顔を真っ赤にしキッとクロを睨みつけるもその手を払い退ける事はしない。

 なのでクロは彼女の言葉に返答せず、今度は優しく撫で続ける事にする。

 すると彼女は一瞬満更でもない顔をすると次の瞬間にはクロの手を払い退けようとするもそれをいなされ、それどころかいつの間にかクロに抱き抱えられていた。

 あまりに一瞬過ぎて何が起きたのか訳がわからないといった顔で彼女はクロを見る事しかできない。

「頭を撫でるのは俺の癖みたいなもんだ。気にするな」
「お前はそうやってルルの頭も撫でたのか?クロ・フリートさんよ」
「撫でたと言ったら?」
「安心しろ。撫でたと言わずとも貴様を殺す」

 次に彼女が見た世界は夜空に輝く星々と遠くに見える学園都市ベルホルンの街明かり、そして大鎌を肩に抱えている金髪で長髪の男性である。

 いつの間にかクロは外に転移し、その程度では目の前の男性を撒くことは出来なかったみたいである。

 その男性と目が合った瞬間、彼女は確かな死を感じ取りガタガタと言い様のない恐怖に震え始める。

 しかしその恐怖も長くは続かなかった。

 彼女が震え出した時クロは彼女を抱き大丈夫と優しく囁き掛けてあげたその効果は絶大だったみたいである。

 そんな彼女にクロは優しく語りかける。

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