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第217話ポチ
しおりを挟む怒りに打ち震えるブラッドは自らのコレクションを動かそうとするのだが、しかしブラッドのコレクションは一向に動く気配を見せず固まったままである。
「さっきウィンディーネが寒い演出した時……一緒に無詠唱で水の段位三【正常化】を使った。……これは敵味方関係なく全てのエンチャントを破壊し、更に全ての能力変化を元に戻す魔術」
何故ブラッドの命令にコレクションでもある死者達が動く気配すら見せないのかブラッドは勿論コンラッドも疑問に思っている中緊張感の欠片もない無い声がその真相を説明する。
「ば、馬鹿な…。何体動かしていたと思っているんだ。軽く千体は超えているんだぞ……?」
そんな彼女の説明を受けブラッドが誰に言うでもなく静かに呟く。
「それを言うならお前も千体を同時に操っている……ならその全てを同時に操れなくできる魔術やスキルもある……寧ろウィンディーネが使った魔術は一般的な部類……それすら知らないなんて……」
その呟きに黒髪の少女が答える。そんな簡単な事も理解できないのかと明らかに見下した目線をブラッドに向け。
しかし、ブラッドが操る屍達は確かに驚異ではあるのだが所詮は人間の屍であり、死者であるためスキルや魔術も使えず意思もないただの人形である。
そのため個の強さはたかが知れており単に数の暴力で潰されることから回避出来ただけに過ぎない。
人形と化した屍千体よりもブラッド・デイモンを倒す方が遥かに困難であり驚異なのである。
「あー…もう、イライラするなぁ……僕の邪魔をするなよ小娘ごときがっ!!闇魔術段位五【暗黒連弾】」
「ポチ…殺さない程度に遊んであげて」
そしてついにブラッドが憤怒の感情を抑える事をやめ自ら強力な魔術を使ってきたのだが先ほど黒髪の少女、ルシファーが召喚した召喚獣であろう巨大な巨躯をした魔狼にブラッドの相手をしろと指示を出す。
正直コンラッドはたかが召喚獣如きがあのブラッド・デイモンの相手など出来るはずがないと思っていたのだが彼女が召喚した魔獣は見事ブラッドの強力な魔術をその巨躯で受けきり更に反撃をする。
「何でたかが召喚獣如きが僕の魔術を受けきるんだよ!?イライラするイライラするイライラするイライラする!!火魔術段位六【豪炎】」
「……これでクロ様と同じヴァンパイア……はぁ、もういい…ポチ、息の根にして」
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