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第137話奴隷は犬猫とは違うのよ?

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 これはアルなりの今出来る精一杯の意趣返しなのだろうが、当の本人はその様な目線に晒され満更でも無さそうである。

 その表情はクロへの意趣返しが成功したからではなく男の目線を集め悦に浸っている様に見えるのだが、彼の心情を掘り下げると取り返しのつかない事になりかねないので知らぬ存ぜぬと自分に言い聞かせ、その好奇心に蓋をする。

 自分の貞操を守り新たな世界の扉を開くフラグを自ら立てる必要も無いだろう。

「ここが俺が今泊まっている宿、『カウベル亭』だ。これからここが拠点になるから覚えておいてくれ」

 アルにそう告げるとアルの返事を待たず中へ入って行く。

 ちなみに図書館で本を読む為に内容を写メり、夜にサラに翻訳して貰うという生活をしていたため、今ではある程度ならこの世界の文字を読めるようになり、最近になってここの宿の名前を外の看板を翻訳して知ったのだが、その事は黙っておく。

 話す必要も無いだろう。

 しかしその関係でここの従業員である奥さんや亭主からはサラが俺の彼女だと思われてしまっているのだが。

「あら先生じゃない、お帰り。………夕飯の準備はもう出来てるから部屋にもどりお楽しみの前に食べていきな。それはそうとサラちゃんにはちゃんとこの事を説明したのかい?」

 宿に入るとホルスタイン柄のエプロンを着た恰幅のいい、牛の角であろう角をちょこんとと生やしたここの従業員が話しかけて来る。

 ここの宿は家族で経営しているらしくこのおばちゃん、奥さんの他に旦那さんに娘が1人の三人で回している為宿というよりかは小さな民宿と言われた方がしっくり来る内装と広さをしている。

 その奥さんことおばちゃんがアルの存在に気付き意味深な言葉を投げかけて来るのだが、何処から訂正すれば良いのかもはや分からないレベルである。

「問題ない」
「問題ないって……奴隷は犬猫とは違うのよ?それに彼女に内緒で女性の奴隷だなんて」
「犬猫と違うのも理解しているし、こいつは今魔術で姿を変えているから今は女性に見えるかもしれないが本体は男性だ。それと、毎回言うのだがサラとはただの知り合いで付き合っているわけではない」
「まあ先生もこう言ってる訳だし他人の恋路に首を突っ込むって野暮な事は辞めて上げなよ母さん」
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