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第97話恐怖で崩れた顔

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 その間ギルド受付嬢は恐怖で崩れた顔をし、うわ言のように「死にたくない死にたくない」と繰り返しつぶやいていた。

「ホウスレニアとか言ったか?」
「は、はいっ!ホウスレニア・アレクサンドラと言います!レニアとお呼びください師匠!」

 俺に呼ばれて嬉しそうに返事をするホウスレニアなのだがこの一連の出来事を前にしても何ら態度を変えないのは天然で片付けれるのだろうか?

「すまないがレニア、君の住んでいる場所まで案内してくれ」
「分かりました!」
「そう急ぐな」

 早速異性である俺を案内しようとするレニアを見るに純粋で汚れを知らない年頃なんだろうなと不謹慎な事を思いながらクロは先を急ごうとするレニアの足を止めるとストレージから馬用の具馬をレニアに装着し、ギルド職員をレニアの許可を取ったあと背中にのせると、意識がはっきりとしていないであろうギルド職員が落馬しないように後ろに跨り、支えてやる。

 はっきり言ってこのままギルド職員を抱えていくほどの体力は俺にはない。レニアには悪いがここは我慢してもらおう。

「重くはないか?」
「は、はいっ!普段アルバイトでお客様や荷物などを運んでいるので大丈夫です!」

 道中、レニアの背中に乗る事が人種差別かと思い聞いてみたが、むしろレニアのアルバイトように賃金を貰い生業にしているものも少なくないらしい。

 ちなみにレニアは女性であるため本来男性は乗せないらしいのだが。

 日本で言う人力車のようなものか。

 そしてここまでの流れでギルド職員ないし警備の者か誰かしらに止められる可能性もあったため、そのための魔術をいつでも発動できるようにしていたのだが俺がいきなり水をかけた事に予想以上に驚いていたのか誰も止めに来ず、杞憂で終わった。

 ちなみに、周りが動けなかった一番の理由は水をかけた行為ではなく水をかけた相手なのだが、それをクロが知ることは無かった。

◇◆◆◇

「こ、ここが私達の住んでる借家です」

 ホウスレニアの背中に揺られながら約30分、今レニアの住んでいるという借家の前まで来ていた。

 ちなみにその間ギルド受付嬢はいつの間にか気絶していたらしく、一度レニアから降りるとそのまま背中におぶる。

 借家は学園都市を囲う外壁の外にある下町のさらに端側にあり、1階平屋建て木造住宅で、そこで友人とルームシェアをしているとの事。
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