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第22話なんだこの生き物は?
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◇◆◆◇
「うっ……く、食い過ぎたな」
クロは二人の会話を聞き流しながらゼニスが作る肴の域を越えた量を食べ、今メアとクロの部屋に向かっていた。
良く読む異世界物の作品で多く見られる『異世界は料理も元の世界と比べて遅れてる』というような事はなく、一般家庭のだす料理にしては普通に美味しく、舌鼓を打つほどだった。晩御飯は食べていたため量が問題だったがそれだけである。
先ほど食べた料理の数々を思い出しながら部屋へと入るとメアがすでにベッドで眠っていた。
昨日二人は同じベッドではなく俺が床で寝ると譲らなかったためメアがクローゼットから毛布を出してくれ、それにくるまって寝たので今日も毛布にくるまって寝るかな、と毛布を取りだそうとクローゼットを開けると―――
ミイアがいた。クローゼットの中に。
クローゼットの中で目を血走らせながら「くふーっ、くふーっ」と粗い息をしている。
なんだこの生き物は?
クロはクローゼットを静かに閉めると目を揉み始める。
今日はいろいろあったし、多分疲れているんだろう。今もなおクローゼットから聞こえる息遣いは幻聴だなこりゃ。
「…なっわけないだろっ! 下手なホラー映画より驚いたわ!」
「みぃっ!?」
クロはクローゼットを豪快にあけるとミイアの首根っこを掴み引き摺り出す。しかしミイアの目はクロに触られたとたん恍惚な色を帯び全身を震わせている。
その姿はまるで発情期の犬猫を彷彿とさせるので、発情期の犬猫にはこれしかないとクロは水の魔術段位一『ウォーター』を発動。コップ三杯分の水を作ると、コップ一杯分の水をミイアの顔面めがけぶちまける。力を抑えて使うのは、それはそれで難しいみたいだ。
しかし、魔術の威力を俺のさじ加減で変えれるか不安だったのだが成功して良かった。ベッドを見ると顔面水浸しのメアがこちらを睨んでくるのだが、この辺り一面水浸しにならなかったのだから許容範囲内だろう。そう思いたい。
メアに鳩尾を膝げりされ悶え苦しんでいるとメアがミイアに何故クローゼットの中にいたのか聞きはじめた。
「……私には一生来ないだろうと思った発情期が来たみたいで、ギルドの売店が閉店間近だったから急いで精神安定剤を買いにいったんだけど何故か売り切れで……」
ポツポツと喋り始めるミイアなのだが視線はクロを捕らえ息遣いは粗く何かを我慢しているように見える。
「うっ……く、食い過ぎたな」
クロは二人の会話を聞き流しながらゼニスが作る肴の域を越えた量を食べ、今メアとクロの部屋に向かっていた。
良く読む異世界物の作品で多く見られる『異世界は料理も元の世界と比べて遅れてる』というような事はなく、一般家庭のだす料理にしては普通に美味しく、舌鼓を打つほどだった。晩御飯は食べていたため量が問題だったがそれだけである。
先ほど食べた料理の数々を思い出しながら部屋へと入るとメアがすでにベッドで眠っていた。
昨日二人は同じベッドではなく俺が床で寝ると譲らなかったためメアがクローゼットから毛布を出してくれ、それにくるまって寝たので今日も毛布にくるまって寝るかな、と毛布を取りだそうとクローゼットを開けると―――
ミイアがいた。クローゼットの中に。
クローゼットの中で目を血走らせながら「くふーっ、くふーっ」と粗い息をしている。
なんだこの生き物は?
クロはクローゼットを静かに閉めると目を揉み始める。
今日はいろいろあったし、多分疲れているんだろう。今もなおクローゼットから聞こえる息遣いは幻聴だなこりゃ。
「…なっわけないだろっ! 下手なホラー映画より驚いたわ!」
「みぃっ!?」
クロはクローゼットを豪快にあけるとミイアの首根っこを掴み引き摺り出す。しかしミイアの目はクロに触られたとたん恍惚な色を帯び全身を震わせている。
その姿はまるで発情期の犬猫を彷彿とさせるので、発情期の犬猫にはこれしかないとクロは水の魔術段位一『ウォーター』を発動。コップ三杯分の水を作ると、コップ一杯分の水をミイアの顔面めがけぶちまける。力を抑えて使うのは、それはそれで難しいみたいだ。
しかし、魔術の威力を俺のさじ加減で変えれるか不安だったのだが成功して良かった。ベッドを見ると顔面水浸しのメアがこちらを睨んでくるのだが、この辺り一面水浸しにならなかったのだから許容範囲内だろう。そう思いたい。
メアに鳩尾を膝げりされ悶え苦しんでいるとメアがミイアに何故クローゼットの中にいたのか聞きはじめた。
「……私には一生来ないだろうと思った発情期が来たみたいで、ギルドの売店が閉店間近だったから急いで精神安定剤を買いにいったんだけど何故か売り切れで……」
ポツポツと喋り始めるミイアなのだが視線はクロを捕らえ息遣いは粗く何かを我慢しているように見える。
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