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第14話ぐっと我慢する

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 そして下品な笑い声の主が獲物を見るような目で問いかけると周りからどっと笑い声が聞こえてくる。

 あの時は俺は抵抗できる手段もなくまさにカモだっただろう。

 そして俺は今俺を見下した奴らを逆に見下せる力を持っている。


「なんなら個人ランクBパーティーランクA猛火の剣のパーティー所属炎竜のドラニコ様が直々に子守りしてやってもいいぜ?なに、報酬はメアで十分だ。安いもんだろ。なんちゃって妄想抜刀スキルとやらの相手してやってもいいぜ?」

 ドラニコはそういうとメアを眺めケケと笑う。

 俺も人間だ我慢の限界というものがある。ここまで馬鹿にされておとなしくするほど俺は人間できていない。

 魔法を使いその顔めがけ魔術段位三以上の魔術をぶち込みたいのだが、魔術段位一のファイヤですらどれほどの威力になるか分からないのでここはぐっと我慢する。

 しかしお望み通りなんちゃって抜刀スキルでぶっ潰してやろう。それも木刀を使い手加減までしてな!

「ちなみに冒険者の喧嘩には何かリスクはあるのか?」
「はい。相手が庶民の場合ランクを一つ下げられます。冒険者どうしの喧嘩の場合おとがめは有りません。しかし下のランクの人には上のランクの方が先に攻撃してしまいますと先ほど同様ランクを下げられます。さらに、ギルド職員を審判員に加えた試合形式の場合、下のランクの冒険者は決闘に勝つとランクを一つ上げれます。逆に上のランクの方は勝っても何も有りませんが三回連続負ければランクを一つ下げられます。下のランクの方は負けた場合ランクは下がりませんが金貨五枚を勝者に支払わなければなりません。しかし、喧嘩の場合ランクに関係なく喧嘩の理由を聞き、調べた上でギルド職員が悪質だと評価した人物にはペナルティが付き、三回目でランクを一つ下げられます」

 そこまでミイアは説明すると一拍おき、険しい表情をさらに険しくする。

「ですので下のランクの方から喧嘩を売らなければ基本的には決闘はできません。クロさん、バカにされて腹が立つのも分かりますが見栄とプライドだけで勝てる相手ではありません。今回は相手が悪かったと諦めて下さい。一応クロさんのギルドランクはF、魔術とスキルの欄には保留としておきます」

 話すミイアの顔は真剣そのものだ。カッとなって決闘を申し込み潰された冒険者を何人も見てきたのだろう。

 ようは無闇な喧嘩を無くす為によりランクの低い人を守るシステムになっている。

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