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第64話海2

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 何故だか知らないのだけれども急に水樹が顔を赤め出すのだが、一体何に対してなのか、羞恥心なのか、何なのか分からないのでさり気なく聞いてみるのだが軽く「問題ない」とあしらわれてしまう。

しかし、それで諦める私では無い。

「えぇー、絶対顔赤くなってんじゃないっ! しらばっくれても無駄よっ! この私が、私の彼氏である水樹の事をどれ程毎日見ていると思っているのよっ!」
「気のせいだ。 もし赤くなっていると思うのであれば、それはきっと……」
「きっと?」
「大好きな異性が近くにいるからだ」
「………バカ…………っ」
「あれ? あれれ? 顔が赤いよ? どうしたのかな美奈子」

 しかし、攻撃していたはずの私はいつの間にか形勢逆転されてしまい、一瞬にして責められる側へと変わってしまうではないか。

 何という策士、実に卑怯である。

 彼氏ならば大人しく彼女に花を持たせなさいよっ!!

「とりあえず、海、行こうか?」
「う、うん……」

 でも、『大好きな異性』と水樹の口から私に向けて言ってくれたのはもの凄い嬉しかったから許してあげよう。

 私は心の広い女性なのだ。

「海だっ!!! おいおいおいおいっ! 海だぜ水樹っ!! もっと弾けようじゃないかっ!!」
「美奈子も早く行こうよっ!! 私、こうして海を楽しむ目的で来たの初めてだから今物凄く興奮してるんだからねっ!!」

 そして、良い感じな雰囲気になったところで、その雰囲気を一気にぶち壊すカップルが一組。

 おっと、今の私は水樹と二人で泊まりがけで海に来ているという設定なのである。

 モブ達の事は路傍の石、それこそ空気か何かと思って存在自体を私の視界から消し去らなければならい。

 眞子と木田の頭お花畑のバカップルなど今ここにはいない。

「おーいっ!! 聞こえてるーーっ!? 美奈子ーーーー??」

 今私の名前をバカみたいな声で叫んでいるのはただの路傍の石か空気、そうきっと風切音に違いない。

「おい学校で二番目に仲がいいカップルの美奈子さんーーーーっ!」
「誰が二番目じゃいっ!! 学校で一番は私と水樹の最高のカップルに決まっているでしょうがっ!!」
「全く、聞こえているんじゃないの。 因みに最高に仲がいいカップルの座は私達だからそこんとこ宜しく」
「あ?」
「お?」

 どうやら今日、この分からずやに学校で一番は誰か分からせなければならなくなったようである。

 しかしながら、この私と水樹の中がいい具合を見て、それでもなお勝負を挑んで来るその心意気は評価しよう。

「ほら、バカやってないで行くぞ」
「眞子も、早く海行こうぜっ!! 海がもったいないっ!!」
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