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第51話【最終話】あの時の私達ではないのだ
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そして美少女コンテストの開始を告げ、ルールを簡単に説明をすると番号順で参加者が壇上に設置された簡易ステージへと向かって行く。
ルールは至って簡単で、呼ばれた番号の女性が壇上に設置された簡易ステージまで行き、観客に向けた三分間のアピールをして終わりである。
後は全ての参加者がアピールし終えた後に会場にいる観客が予め配られる投票用紙へ一番美人だと思った人の番号を書いて投票するだけである。
集計は上位三名が決まるまでは役員が予め数え、三名に絞られてから一枚一枚発表していくという流れである。
そして私の番号は八番であり、今簡易ステージでアピールしているのは七番。
心臓は爆発しそうな程鼓動を早め、静まる気配を見せない。
『では続きまして八番の方っ!観客に向けて三分間のアピールをお願い致しますっ!!』
しかし、いくら緊張しようが時間が止まってくれる訳が無く無情にも私の番がやってくる。
ここまでくるとやり切るだけだと開き直り、逆に堂々とステージへと歩んでいくのだがあれ程うるさかった周囲の雑音が消え、静まり返る。
音が聞こえなくなるほど程までに緊張しているのか、と思うと逆におかしくなり自然と笑みがこぼれてくる。
私は極限状態に陥ると笑ってしまうのかもしれない。
しかし、緊張でパニックになるどころかむしろ思考はクリアで想像していた以上に落ち着いている。
なんだか変な気分だ。
『八番、二年三組、山田美奈子です。 唐突ではありますが私には今好きな異性の方がいます────』
そして私は簡易ステージへと上がり、予め設置されていたマイクに向かって私にとってはたった一人の観客へとアピールをするのであった。
◆
ミナが現れた瞬間、周囲はミナの美しさに息をのみ、静まり返る。
お世辞抜きでそれ程までに美人だと思うのと同時に、この姿を誰にも見られたくない、知られたくないという思いが込み上げてくる。
辛かった時、ただ一人だけ変わらず接してくれたミナ。
それが例えゲームの世界だったとしても、あの時の俺はその変わらず接してくれるミナに確かに救われたのだ。
同じ学校だと知った時は運命だとも思ったし、周りに流されず自分のやりたいように学校生活を送る姿を見て気が付けば好きになっていた。
そんな彼女が今、ステージに立ち顔を真っ赤にしながら好きな異性がいると告げている。
そして俺は気が付くと観客を押しのけステージへと向かって行くのであった。
◆
「いやー、学校一の美男美女同士のカップル、キラキラと眩しいこって」
「ホント、めでたいめでたい。 すっかり有名人ですな、お二人とも」
あの美少女コンテストから一週間がたった。
あの熱気と衝撃は一週間たった今も収まっておらず他クラスから私たちのクラスを覗きにくる人が未だにいるほどだ。
「何が言いたいのよ?」
「絶妙にうぜーな」
そして私は晴れて高城の彼女となり、隣に立っても恥ずかしくない様に最低限の化粧を施す様になったのだが、あの日変わったのは私達だけではなかった様である。
「何が言いたいかって? そりゃーねぇ? ハニー」
「ねぇ?ダーリン。 学校一の美男美女カップルはあんたたちかもしれないけど?」
「学校一のお似合いカップルの座までは渡した覚えはないからそこのところ宜しく」
私は高城と目線を合わせると、どうやら高城も私と同じ気持ちだったらしい。
すれ違いまくってから回っていたあの時の私達ではないのだ。
そしてお互いの気持ちを確認し合った私たちは木田と眞子へと視線を向け一言。
「「その喧嘩、買ってやるよ」」
完
────────────────────────────────────────────────────────
一旦この話はここで完結でございます。
次話からはその後の話となります(*'▽')ノ
また、只今別作品『バツイチ子持ちとカレーライス』という作品でほっこり・じんわり大賞に参加しておりますっ!! 良ければ呼んでいただきポイントを投げてくれれば嬉しいですっ!!(*'▽')ノ
では、その後の話をどうぞ(*'ω'*)
ルールは至って簡単で、呼ばれた番号の女性が壇上に設置された簡易ステージまで行き、観客に向けた三分間のアピールをして終わりである。
後は全ての参加者がアピールし終えた後に会場にいる観客が予め配られる投票用紙へ一番美人だと思った人の番号を書いて投票するだけである。
集計は上位三名が決まるまでは役員が予め数え、三名に絞られてから一枚一枚発表していくという流れである。
そして私の番号は八番であり、今簡易ステージでアピールしているのは七番。
心臓は爆発しそうな程鼓動を早め、静まる気配を見せない。
『では続きまして八番の方っ!観客に向けて三分間のアピールをお願い致しますっ!!』
しかし、いくら緊張しようが時間が止まってくれる訳が無く無情にも私の番がやってくる。
ここまでくるとやり切るだけだと開き直り、逆に堂々とステージへと歩んでいくのだがあれ程うるさかった周囲の雑音が消え、静まり返る。
音が聞こえなくなるほど程までに緊張しているのか、と思うと逆におかしくなり自然と笑みがこぼれてくる。
私は極限状態に陥ると笑ってしまうのかもしれない。
しかし、緊張でパニックになるどころかむしろ思考はクリアで想像していた以上に落ち着いている。
なんだか変な気分だ。
『八番、二年三組、山田美奈子です。 唐突ではありますが私には今好きな異性の方がいます────』
そして私は簡易ステージへと上がり、予め設置されていたマイクに向かって私にとってはたった一人の観客へとアピールをするのであった。
◆
ミナが現れた瞬間、周囲はミナの美しさに息をのみ、静まり返る。
お世辞抜きでそれ程までに美人だと思うのと同時に、この姿を誰にも見られたくない、知られたくないという思いが込み上げてくる。
辛かった時、ただ一人だけ変わらず接してくれたミナ。
それが例えゲームの世界だったとしても、あの時の俺はその変わらず接してくれるミナに確かに救われたのだ。
同じ学校だと知った時は運命だとも思ったし、周りに流されず自分のやりたいように学校生活を送る姿を見て気が付けば好きになっていた。
そんな彼女が今、ステージに立ち顔を真っ赤にしながら好きな異性がいると告げている。
そして俺は気が付くと観客を押しのけステージへと向かって行くのであった。
◆
「いやー、学校一の美男美女同士のカップル、キラキラと眩しいこって」
「ホント、めでたいめでたい。 すっかり有名人ですな、お二人とも」
あの美少女コンテストから一週間がたった。
あの熱気と衝撃は一週間たった今も収まっておらず他クラスから私たちのクラスを覗きにくる人が未だにいるほどだ。
「何が言いたいのよ?」
「絶妙にうぜーな」
そして私は晴れて高城の彼女となり、隣に立っても恥ずかしくない様に最低限の化粧を施す様になったのだが、あの日変わったのは私達だけではなかった様である。
「何が言いたいかって? そりゃーねぇ? ハニー」
「ねぇ?ダーリン。 学校一の美男美女カップルはあんたたちかもしれないけど?」
「学校一のお似合いカップルの座までは渡した覚えはないからそこのところ宜しく」
私は高城と目線を合わせると、どうやら高城も私と同じ気持ちだったらしい。
すれ違いまくってから回っていたあの時の私達ではないのだ。
そしてお互いの気持ちを確認し合った私たちは木田と眞子へと視線を向け一言。
「「その喧嘩、買ってやるよ」」
完
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一旦この話はここで完結でございます。
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