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第21話うら若き乙女に向かって
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「み、水樹君っ!!」
「ん?どうした?サユ?」
そして高城が登校してきたと同時に石田小百合が神妙な面持ちで高城に近づくと声をかけて来る。
その光景を見て私は何故だか胸が痛み、いい気はしなかった。
「マクドであった時の、水樹君と一緒にいた女性って…………」
「あぁ、俺の『嫁』の事ね。それがどうしたの?」
やはりというか何と言うか昨日の件について確認しに来たようである。
そしてその石田の問いかけに高城は何の躊躇いも無く満面の笑みで『嫁』であると声高々に宣言するではないか。
その瞬間クラスの空気、主に女性陣の空気が氷点下まで下がり、男性陣の空気は一気に真夏日もかくやという温度にまで一気に変化したのが肌で感じられて背中から冷汗が止まらなくなる。
確かに高城は嘘など一つもついていない。
私は高城の妻である。
しかし正確には一緒にやっているVRMMOの高城が操作しているキャラクターと私が操作しているキャラクター同士が夫婦というだけでありあくまでもゲーム内のシステム上の話であり、現実世界の私たちの関係はと聞かれれば『ただのクラスメイト』でしかないのだ。
あぁ、胃がキリキリしだして来た。
「………っ!?そ、そんな…………」
そして高城の口から『妻』という言葉を聞きこの世の終わりかの様な表情をする石田さん。
いや、辺りを見渡せばほとんどの女性が同じような表情をしていた。
「か、彼女との関係はいつからなの?」
そして石田さんは意を決したかのように言葉を喋る。
その表情は『そんな話聞いてないし、聞きたくない。けど知りたい』といった彼女の複雑な感情及び緊張が手に取るように伝わって来る。
そして高城の返答を聞き逃さまいと静まり返る教室が否応なしにクラスメイト達の緊張感を物語っている。
「あぁ、そうだな。彼女との関係は四年前からかな。『俺の妻』になってからは今年の十月で二年目だな」
その瞬間、高城というライバルが減った男性陣の歓喜の声と、密かに恋心を抱いていた女性陣の悲鳴が教室に響き渡る。
何故、何故高城は『妻』という単語しか使わないのか。
抗議した上で諸説丁寧に何故妻なのかという事を説明したいのはやまやまなのだが、そんな勇気などうあろうはずもない。
ただただ悪化していく現状に胃を痛めるだけである。
「どうしたのミーコ。うんこ我慢してる様な苦悶な表情を浮かべて。冷汗も尋常じゃないじゃない。まさか本当に限界なの?」
「そうね、今あんたに対しての怒りも限界に来そうだわ」
あぁ、私には安全圏でうら若き乙女に向かってクソったれた暴言を吐いてくる親友に、今私が感じている苦しみとストレスを倍にして体験させてやりたいと心の底から思うのであった。
「ん?どうした?サユ?」
そして高城が登校してきたと同時に石田小百合が神妙な面持ちで高城に近づくと声をかけて来る。
その光景を見て私は何故だか胸が痛み、いい気はしなかった。
「マクドであった時の、水樹君と一緒にいた女性って…………」
「あぁ、俺の『嫁』の事ね。それがどうしたの?」
やはりというか何と言うか昨日の件について確認しに来たようである。
そしてその石田の問いかけに高城は何の躊躇いも無く満面の笑みで『嫁』であると声高々に宣言するではないか。
その瞬間クラスの空気、主に女性陣の空気が氷点下まで下がり、男性陣の空気は一気に真夏日もかくやという温度にまで一気に変化したのが肌で感じられて背中から冷汗が止まらなくなる。
確かに高城は嘘など一つもついていない。
私は高城の妻である。
しかし正確には一緒にやっているVRMMOの高城が操作しているキャラクターと私が操作しているキャラクター同士が夫婦というだけでありあくまでもゲーム内のシステム上の話であり、現実世界の私たちの関係はと聞かれれば『ただのクラスメイト』でしかないのだ。
あぁ、胃がキリキリしだして来た。
「………っ!?そ、そんな…………」
そして高城の口から『妻』という言葉を聞きこの世の終わりかの様な表情をする石田さん。
いや、辺りを見渡せばほとんどの女性が同じような表情をしていた。
「か、彼女との関係はいつからなの?」
そして石田さんは意を決したかのように言葉を喋る。
その表情は『そんな話聞いてないし、聞きたくない。けど知りたい』といった彼女の複雑な感情及び緊張が手に取るように伝わって来る。
そして高城の返答を聞き逃さまいと静まり返る教室が否応なしにクラスメイト達の緊張感を物語っている。
「あぁ、そうだな。彼女との関係は四年前からかな。『俺の妻』になってからは今年の十月で二年目だな」
その瞬間、高城というライバルが減った男性陣の歓喜の声と、密かに恋心を抱いていた女性陣の悲鳴が教室に響き渡る。
何故、何故高城は『妻』という単語しか使わないのか。
抗議した上で諸説丁寧に何故妻なのかという事を説明したいのはやまやまなのだが、そんな勇気などうあろうはずもない。
ただただ悪化していく現状に胃を痛めるだけである。
「どうしたのミーコ。うんこ我慢してる様な苦悶な表情を浮かべて。冷汗も尋常じゃないじゃない。まさか本当に限界なの?」
「そうね、今あんたに対しての怒りも限界に来そうだわ」
あぁ、私には安全圏でうら若き乙女に向かってクソったれた暴言を吐いてくる親友に、今私が感じている苦しみとストレスを倍にして体験させてやりたいと心の底から思うのであった。
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