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第86話 絶対に逆らってはいけない
しおりを挟むそしてスケルトンの男性(声質から男性と判断)はそう言うと『ガハハハッ』と笑うではないか。
当初こそビックリしたものの帝国が派遣しているスケルトンだと知って安心したのであろう。 一体その声はどこから出ているのかなど、普段であれば気にならない事などが気になり始めて来るのだが会話には関係ない話であり、なんだかんだ言ってもスケルトンである以上相手を怒らせてしまった場合冗談では済まされないような事態になるのかもしれないので、気にはなるのだがそこはグッと堪える。
やはり、なんだかんだ言ってもスケルトンは生きているモノを憎んでいるという私の中の常識がある以上は怖いものは怖いし、仕方がないだろう。
それにしても、と私は思う。
普段良く見るタイプのスケルトンを労働として動かせるだけでもかなりの成果が見込めるのであろうが、今私と話しているスケルトンは明らかに上位種であり、その労働力はかなりのものであろう。
そもそも、このように魔獣や魔物たちの能力に合わせて適材適所に振り分けながら労働力として使える事のメリットの大きさに私は以前の帝国以上に恐ろしいモノを感じてしまう。
それこそ、今のバルシャワ帝国には絶対に逆らってはいけないと……。
◆
「ふむ…………」
我は約半年前に帝国全土へ送った間者たちからの報告を一枚ずつ読む度に頭が痛くなってくる。
間者からの手紙は全てが到底信じられるような内容ではなく、要約すると魔物や魔獣、それこそゴブリンやオークにブラックウルフなどが人間と同じ空間で争いも無く生活しており、しかも魔物や魔獣たちに適した能力に合った仕事が割り振られていると言うではないか。
それだけならば良かったのだが、一緒に生活しているのは魔物や魔獣だけではなくエルフやドワーフに、ドラゴンまでもがいる事が手紙から見て取れる。
中でも恐ろしいと感じたのが、この世界の生物の頂点の一種であるドラゴンを運搬用に利用しているというのだから、現在のバルシャワ帝国(主にその後ろにいる天空城アマテラス帝国なのだが)の軍事力が『ドラゴンを軍事力に割かなくても良い』レベルの強さを持っているという事が窺えてくる。
「…………いつでも属国となれるように準備をするべきか……」
皇帝カイザルが率いていた頃の帝国でも確かに王国は勝てる見込みは無かったのだが、それでも抵抗する事はできたし、抵抗して長引かせる事によって周辺国の介入により戦況が変わる可能性もまだあった。
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