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第75話 最後の望み
しおりを挟むとりあえず、私ごときがいくら悩んだ所でミサト様のお考えになる事の一割も理解できないであろうことだけは分かりきっている為まずはミサト様がこの私にどんな事を相談してくるのか確認するのが先だろう。
悩むのはミサト様の相談内容を確認してからでも遅くない。
「それで、その相談内容とは何でしょうか?」
あぁ、ミサト様のお考えが全くもって理解できない自分が情けない。
五割とは言わない、せめて三割でも理解できるのならば──と思わない日はない。
そうすれば全く理解できない、どこへ進めば良いのかすら分からない真っ暗で何も見えない状態から、一筋の光が見え、進べき方向が分かるだろうに……。
しかし、その圧倒的な頭脳があるのがミサト様であり、そんなミサト様だからこそ天空城アマテラスの女帝となれたお方なのだ。
そんなミサト様に近づこうと思う事すら失礼であるとさえ思う。
ミサト様に近づき、もっとミサト様の役に立ちたいという感情と、そう思う事こそ失礼に値するのでは? という矛盾した感情により胸の中で一人葛藤していると、ミサト様が口を開く。
「そうね……帝国の皇族から貴族までかなりの数を処刑する事になるのだけれども、領地経営は勿論帝国の政や運営はどうしようかしら……? イプシロンは何かいい案は無いかしら?」
◆
私は今日のミサト様の側仕え当番のメイドである。
ミサト様に仕えているメイドは二十四人いるので、単純計算で二十四日に一日の割合でその役目がやって来る。
当然ながら、私たちミサト様に仕えているメイドにとってそれはとても重大な一日である。
「わ、わわわわ私に相談事ですかっ!?」
そんな、私がミサト様の側仕えとして使えさせていただいている日に、私はミサト様から相談を受けてしまったではないか。
そもそも私ごときがミサト様の相談に乗った所でミサト様の手助けになるような案を出せるとも思わなければ、逆に荒唐無稽のアドバイスをしそうで怖すぎるんですけど……っ!!
だ、だれか助けて……っ! ミサト様からの相談なんて私にとってあんまりにも荷が重すぎる。
しかしながら、ミサト様の相談内容を聞かなければどうすれば良いのかすら分からない上に、そもそもミサト様の相談を断るという答えは無いので私は一度気を引き締め、ミサト様へ相談内容を確認するのであった。
◆
「ふむ、私に相談とは何ですか? そもそも私は帝国側の人間ですがよろしいのでしょうか?」
「ぜんぜんかまわないわっ!! むしろ最後の望みまであるわねっ!!」
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