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第73話 忙しい。 ただただ忙しい
しおりを挟むいったいどういう事なのかこの手紙だけでは理解できないのだが、ただ分かる事はあの憎きバルシャワ帝国の皇帝カイザル・ドミナリア二世が天空城アマテラス帝国に喧嘩を売った結果処刑された事と、そのお陰で我がボルネア王国へバルシャワ帝が進軍してくるような事は無くなったという事である。
「いったい、どうしてこうなったのか……」
謎が多い為分からない事だらけで思わずそう呟いてしまう。
「まぁ、良いじゃないですか国王様。 今はバルシャワ帝が攻めてこない事と憎き皇帝カイザル・ドミナリア二世が処刑された事を素直に喜びましょうではないですか」
そしてそんな私に宰相がそう進言する。
確かに、宰相の言う通りなのかもしれない。
今はこの突然訪れた幸運を喜ぼうではないか。
◆
忙しい。 ただただ忙しい。
あれから私はベッドの上にいる時間よりも机を前に座り書類と睨めっこをしている時間の方が長い日々を過ごし早三日が経過していた。
どうしてこうなったのか……。
そんな事など分かりきっている。
皇帝カイザル・ドミナリア二世を処刑し、バルシャワ帝国を我が天空城アマテラス帝国の属国にしてしまったからである。
というかそもそも私はバルシャワ帝国を属国にするつもりなどさらさら無かったのに私の与り知らぬ所で勝手に決定されていたのだから納得できないんですけどっ!!
と、いくら心の中で不満を言った所で何も変わらないので私は目の前にあるタスクを黙々と消費していく。
そうなってしまった事は文句を言っても仕方がないので、それならばタスクを消費していった方がなんぼかマシであろう。
「というか……この帝国、これで良く国として保てていたわね……。 いや、むしろだからこそ国民の不満は溜まっていく一方で、その結果がこれという事なのだろうけれども……」
そして分かった事は、バルシャワ帝国の貴族連中や皇族は腐りきっていたという事である。
だからこそ財源が乏しくなると他国を攻撃して富を奪っていかなければ成り立たなかったのであろう。
そもそもコーネリアの話では天空城アマテラスから漏れ出るマナがあればそれだけでかなり豊かな生活を国民へさせる事ができるとの事なので、その状況でもってまだ足りずに他国を侵略するのだから、これだけで貴族と皇族の腐り具合が分かるというものであろう。
その為、結果貴族や皇族たちの不正を暴き粛清候補を絞っていく私の仕事がとんでもない量になってしまっているのである。
しかしながら、このままだと粛清対象が多すぎて広い帝国を管理する領主が足りなければ政すらまともに出来ないのではないのでは? と思えてくる。
どうしよう……いきなり民主主義に切り替えるのも危ない気もするし、どうしよう……。
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