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第43話 思わず口元がにやけてしまう
しおりを挟む「どうせお前の態度から、恐らく高位の魔術師であり、その卓越した魔術で好きかって自分勝手に生きてきたのだろうが、相手が悪かったなっ!! 皇族血、それも直系であり皇帝であるカイザルの長男であるこの俺にかなう訳がないっ!! 今までお前みたいな強気な女性を何人組み伏せて、犯してきたと思ってやがるっ!! しかし、お前みたいに生意気な女を犯すのも、それはそれで良いものだ。 さて、お前はどれくらいで心が折れるのか……早く折れないでくれよ?」
そして、詠唱している間もこうしてごちゃごちゃと喋る事が出来ているので、ダグラスの実力に関してはやはりこの世界基準ではかなりの実力者であるのは間違いないだろう。
あぁ、勿体ない。 実に勿体ない。
そして私は、思わず口元がにやけてしまう。
「何笑ってんだよこのアマッ!!」
「いえ、全て自分自身に跳ね返っているのは、実に滑稽だな、と。 今までその権力と卓越した魔術に恵まれた体格で有無を言わさず好き勝手してきたのでしょうけど、それも今日まででしたね?」
私はそういうと、無詠唱かつ、ダグラスのように時間をかかる事もせず魔術を行使する。
行使した魔術は【風魔術段位三・鎌鼬】である。
「うっせぇ殺すぞっ!!…………へ?」
「どうしましたか? 魔術が発動しなかったとかかな?」
「何で──」
「何で私がそれを知ってるかですって? だって、魔術を行使する為に魔力を貯めていた手を、手首から切らしてもらいましたもの。 こうなっては行使できる魔術も行使できないでしょう? 手首が切られては血だけではなく魔力も流れ落ちて、魔術を行使する為の魔力を溜め込む事はできませんものね?」
そして、優しい私は何が起こっているのか分かっていない、頭が悪ければ察しも悪いダグラスへ私が何をしたのか笑顔で馬鹿にも分かるように答えてあげる。
簡単な話である。
ダグラスがあまりにも魔術を行使するのが遅すぎる為、要らないと思った私は手首から先を切り落としてあげたのである。
「は? 手首を切った? どいう事…………え? あ……? 俺の手が無いっ!? 痛いっ!? あぁぁあああああっ!!?? 痛い痛い痛いっ!! なんでなんでなんでっ!? 手が手首から切り落とされているんだよっ!!」
おそらく私の放った鎌鼬の切れ味が鋭すぎたみたいで、今まで手首をバスっと切らた事に気付かなかったようである。
切れ味が鋭すぎたのならば、手首から先を切り落とされた事に気付かなかっても仕方がないか。
それくらい、私レベルからすればこのダグラスというゴミは序盤で出てくる敵よりも雑魚であるという事でもあろう。
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