おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis

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第39話 身体に染み渡るようだ

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 だから俺はいつも通り作って、いつも通り胸を張ってミサト様へ料理を提供する

 その俺の考えが当たっていたのかどうかは分からないのだが、どの料理も美味しそうに食べているミサト様を見れば、俺の出した答え料理が正しかったかどうかは分かるというものだろう。

 そして、見た感じお忍びであろうことが窺えるため店員や客はミサト様を遠目に眺めているだけにとどめ、いつもより緊張感がある中一日が終わる。

「お疲れ様。 今日は大変だっただろう?」
「もーう、大変も大変よっ!! 少しのミスも許されないような緊張感での仕事は想像以上に精神がゴリゴリ減って行って物凄く疲れたわよアナタ」

 おれは、今日一緒に働いてくれた俺の妻であるサキュバスのアンが椅子の背もたれに抱き着くように座り、ぐでーと脱力しながらそんな事を言うではないか。

「まぁ、それは確かにそうだな。 俺もいつも通りを心がけて料理を作り続けたのだが、そのいつも通りを維持するだけでまさかここまで疲れるとは思いもしなかったな。 ホント、いつもミサト様の料理を作っていらっしゃる料理人たちが化け物のように思えてくるよ」
「ホント、そうよね。 ミサト様の事だから例え私が躓いて料理を落としてしまったとしても怒りはしない事は分かるのだけれども、ミサト様の記憶に『躓いて料理を落とした人、またはその店』だなんて認識されたくないし、それはアナタにも申し訳ないもの」

 そんな事をお互い言いながら俺はささっと賄いを作り、瓶ビール一本とキンキンに冷やしておいたグラスを二つお盆に乗せて妻がいるカウンターまで持って行く。

「ま、お疲れさん」
「お疲れーーっ」

 かぁーーー美味いっ!! 身体に染み渡るようだっ!! 疲れた時に飲むビール程美味い飲み物は無いなっ!!

 そして妻を見ると俺同様にグラスに注がれたビールを一気に煽っている姿が目に入ってくる。

「明日からはまた日常が始まると思うとそれはそれで寂しくはあるな」
「何をいっているのよアナタ」
「何がだい?」
「少しは考えなさいよ。 ミサト様がこの店に来た事は明日には既に天空城中に広がっているでしょうからむしろ明日からが本番よっ!!」
「…………その事をすっかり忘れてたぜ……っ。 しかし、これはこれで燃えて来るぜっ!!」

 そして翌日は妻の言う通りてんやわんやの大忙しな上に、一人娘には『なんでミサト様が来てくれた時に呼んでくれなかったのっ!! 馬鹿親父っ!!』と怒られたりで、ミサト様が来てくれた時以上に疲れたのであった。
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