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第28話 私が悪いわけではない
しおりを挟むしかしながら私はそれ以上に『多額のお金と時間を捧げて育ててきたこの天空城を受け渡すなど、まずありえないのである。
私がどれだけこのゲームに心血をかけてきたと思っているのだ。
推しのキャラや欲しいアイテムがガチャで配布される度に五万から十万は軽く課金をし、酷い時は貯金でさえも崩し数十万課金いた事だってあるし、毎日のデイリーミッション消費は勿論こと、キャラクターやアイテムを育成するのにどれほどの時間を費やしてきたと思っているのだ。
当然その分思い出補正だってある。
はっきり言ってどの角度から見ても天空城を明け渡すなどあり得ないのだ。
なので私はそうならないようにもうそろそろ何かしら行動しなくてはならないのだ。
あぁ、面倒くさい。
異世界に行ってまでなんで私は忙しいのだろうか?
確かに前世の勤務時間と比べれば今の方が圧倒的に働かなくていいのだが、前世は前世でただ目の前の決められたタスクをこなして行くだけで良く、今ほど精神をゴリゴリと削られるというような事は滅多に無かった。
その点を考えれば一長一短であろう。
それでも前世ではその結果無理がたたって死んでしまったのだから『前世での仕事内容の方が良い』だなんて言えず、どちらかといえば『精神的な心労面だけで言えばまだ前世の方がマシであった』というだけでしかない。
「はぁ……面倒くさい」
そして、カイザル陛下からの手紙の返事の内容からどう考えても宣戦布告であるとしか思えない内容なので『三日以内に返事をくれたのでおとがめなし』という問題ではなくなっているのも確か。
その為私は帝国相手に再度『その喧嘩、買わせていただきます』という内容の返事を返さなければならないのである。
その返事をしたらどうなるのか、考えるだけで面倒くさいと思ってしまうのは致し方ないことであり、私が今ベッドの上でうめきながらごろごろと転がっているのも仕方がない事なのだ。
私が悪いわけではない。
今までさんざん天空城から流れ落ちて来る魔素で良い思いを数百年単位でして来ておいて、喧嘩を売って来た帝国が悪いのである。
そんなこんなでカイザル陛下に対して心の中で毒づきながらゴロゴロしているとノックの音が聞こえたので光の速さで姿勢を正して椅子に座ると、いかにも仕事をしていましたという体で書類を眺めながら『……どうぞ』と入室の許可を出す。
「お忙しい所申し訳ございません」
「別に構わないわ。 それよりも、大事な用事だからわざわざ私の元に訪れたのでしょう? イプシロン」
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