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最終章
セレスタの魔術 遠く離れた街にて
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ちょっと遅れました。ごめんなさい!
――――――――――――――――――――――――――――――
花びらがひらりと手の中に落ちた。
「マリナさんの魔力……。 ううん、それだけじゃなくて他の人のも混じってる?」
盗賊たちと一緒に捕まってから一年、魔術を学んできたルカは空に舞う花びらが魔法によるものだとわかった。
「本当か? ルカ。 彼女は王都にいるはずだろう」
一緒に花びらを見ていたクリストさんがルカを見る。
ルカもそれはわかってる。でも、花びらからは確かにマリナさんの魔力を感じたと思う。
間違ってないと思うんだけど……、すぐに消えてしまったのでもう確かめられない。
「それはないだろ。 今日は王子の結婚式だ、王都にいるはずだ」
ラースさんがマリナさんは王子の側にいるはずで、こんなところにいるはずがないと言う。
「でも、結婚式を盛り上げるために魔術で演出をすることはあるんじゃないか?」
クリストさんが可能性を上げる。
ルカたちの暮らすセレスタは魔術が有名なので結婚式の余興として他の国の人に見せたんじゃないかというのがクリストさんの考えだ。
「王都から? いくらなんでもないだろ」
あるわけないだろとラースさんが否定する。クリストさんも王都は流石に遠すぎると思ったのか特に反論しない。
でもマリナさんの魔力だとルカは思う。
「やっぱりマリナさんの魔力だと思う。
王都が遠いのはわかるけど……、王宮の魔術師と協力したらここまで届けられるのかも?」
やっぱり無理かな。言いながら不安になる。
「ルカがそこまで言うのなら、本当にそうかもな。
魔術を使えない俺たちよりも魔術の感覚は掴めるだろう」
クリストさんの言葉に慌てて首を振った。
「そう思っただけ! 本当はわからないよ」
空を見上げるとさっきより数は減ったけど、まだたくさんの花びらが舞っていた。
広場にいる子たちは花びらを掴もうと手を伸ばして跳ね、大人たちも舞い散る花びらを触ったとかまだ触れてないとか楽しそうに話している。
花びらが風に乗って浮かぶのは、とてもきれいだった。
「私、こんなきれいなもの見たの初めて」
ほうっと息を吐きながら呟く。
ずっと自分の中にある力が嫌いだった。
でも捕まって、保護されて魔術を習ってから少しずつ嫌いではなくなってきたけど。
首が痛くなるくらい見上げて花びらが舞い踊る空を見つめる。
空の青と、花びらの黄色と黄緑。
とてもきれいで、見ているだけで幸せな気持ちになる。
今日初めて魔術を好きだと感じた。
こんなきれいな光景を作れる力が自分の中にもあるのかもしれない。
そう思ったら胸の中が暖かくて、嬉しさが湧き上がってくる。
「綺麗だけど、腹も減ったし屋台も見に行こうぜ」
ラースさんの声にルカのお腹も鳴った。
「よし、決まりだな!」
うれしそうにラースさんが歩き出す。おいて行かれないようにルカも慌てて後を追う。
お休みの日なのにラースさんとクリストさんはルカを祭りに連れてきてくれた。
クリストさんは監視の一環だよ、と言っていたけど……。
それなら外に出ることを禁止することだってできたはずで。
そうやって理由を付けてもルカを連れてきてくれた。その事実がうれしい。
しあわせだ――。
一年前には考えられなかった幸せの中にいる。
優しいお師匠様に、厳しいけれど色々なことを教えてくれる騎士団の人たち。
そしてこうやって一緒に出かけてくれるお兄さんみたいな存在の二人。
ふいに涙が滲みそうになって目を擦る。
先の方で早く来いと手を振っているラースさんの元へ走り出す。
その後をクリストさんも追いかけてくる。
今日をもっと幸せな日にしたい。
生まれてから一番笑った日だってみんなに伝えたい。
それを喜んでくれることがとっても嬉しかった。
――――――――――――――――――――――――――――――
花びらがひらりと手の中に落ちた。
「マリナさんの魔力……。 ううん、それだけじゃなくて他の人のも混じってる?」
盗賊たちと一緒に捕まってから一年、魔術を学んできたルカは空に舞う花びらが魔法によるものだとわかった。
「本当か? ルカ。 彼女は王都にいるはずだろう」
一緒に花びらを見ていたクリストさんがルカを見る。
ルカもそれはわかってる。でも、花びらからは確かにマリナさんの魔力を感じたと思う。
間違ってないと思うんだけど……、すぐに消えてしまったのでもう確かめられない。
「それはないだろ。 今日は王子の結婚式だ、王都にいるはずだ」
ラースさんがマリナさんは王子の側にいるはずで、こんなところにいるはずがないと言う。
「でも、結婚式を盛り上げるために魔術で演出をすることはあるんじゃないか?」
クリストさんが可能性を上げる。
ルカたちの暮らすセレスタは魔術が有名なので結婚式の余興として他の国の人に見せたんじゃないかというのがクリストさんの考えだ。
「王都から? いくらなんでもないだろ」
あるわけないだろとラースさんが否定する。クリストさんも王都は流石に遠すぎると思ったのか特に反論しない。
でもマリナさんの魔力だとルカは思う。
「やっぱりマリナさんの魔力だと思う。
王都が遠いのはわかるけど……、王宮の魔術師と協力したらここまで届けられるのかも?」
やっぱり無理かな。言いながら不安になる。
「ルカがそこまで言うのなら、本当にそうかもな。
魔術を使えない俺たちよりも魔術の感覚は掴めるだろう」
クリストさんの言葉に慌てて首を振った。
「そう思っただけ! 本当はわからないよ」
空を見上げるとさっきより数は減ったけど、まだたくさんの花びらが舞っていた。
広場にいる子たちは花びらを掴もうと手を伸ばして跳ね、大人たちも舞い散る花びらを触ったとかまだ触れてないとか楽しそうに話している。
花びらが風に乗って浮かぶのは、とてもきれいだった。
「私、こんなきれいなもの見たの初めて」
ほうっと息を吐きながら呟く。
ずっと自分の中にある力が嫌いだった。
でも捕まって、保護されて魔術を習ってから少しずつ嫌いではなくなってきたけど。
首が痛くなるくらい見上げて花びらが舞い踊る空を見つめる。
空の青と、花びらの黄色と黄緑。
とてもきれいで、見ているだけで幸せな気持ちになる。
今日初めて魔術を好きだと感じた。
こんなきれいな光景を作れる力が自分の中にもあるのかもしれない。
そう思ったら胸の中が暖かくて、嬉しさが湧き上がってくる。
「綺麗だけど、腹も減ったし屋台も見に行こうぜ」
ラースさんの声にルカのお腹も鳴った。
「よし、決まりだな!」
うれしそうにラースさんが歩き出す。おいて行かれないようにルカも慌てて後を追う。
お休みの日なのにラースさんとクリストさんはルカを祭りに連れてきてくれた。
クリストさんは監視の一環だよ、と言っていたけど……。
それなら外に出ることを禁止することだってできたはずで。
そうやって理由を付けてもルカを連れてきてくれた。その事実がうれしい。
しあわせだ――。
一年前には考えられなかった幸せの中にいる。
優しいお師匠様に、厳しいけれど色々なことを教えてくれる騎士団の人たち。
そしてこうやって一緒に出かけてくれるお兄さんみたいな存在の二人。
ふいに涙が滲みそうになって目を擦る。
先の方で早く来いと手を振っているラースさんの元へ走り出す。
その後をクリストさんも追いかけてくる。
今日をもっと幸せな日にしたい。
生まれてから一番笑った日だってみんなに伝えたい。
それを喜んでくれることがとっても嬉しかった。
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