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最終章
大事の前の一休み
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終わりの見えない列も気づけば後十数人を残すところに来ていた。
半分を超えたあたりからは見覚えのない顔ばかりになっている。
ここまで来ると場慣れした優美な挨拶を見せる人よりも緊張して言葉に詰まったりする人が多い。
普段会うことどころか見かけることすらない方を前にしているのだから当然だろうけれど。
緊張しながらもきちんと祝いを述べ、感動を素直に口にする人々に口元が緩みそうになる。
主の立派な姿に胸が一杯になったのはマリナだけじゃない。
隣に並ぶヴォルフも喜んでいるし会場を警備している騎士たちだってそうだ。
レイフェミア様と並んで微笑んでいる姿を見ると本当に安堵と喜びで胸が満たされていく。
手を取り合い歩んでいくと誓い合った二人は言い様のないほど美しかった。
挨拶が一段落し、会場を後にするおふたりに続いてマリナたちも会場を出る。
長い時間笑みを浮かべて挨拶をしていた王子もレイフェミア様も流石に疲れたみたいだ。
「流石に喉が渇いたよ」
「ええ、すごい人でしたね。
あれほど多くの方に祝われると身が引き締まります」
王子の遠回しな言葉にレイフェミア様が沢山の人に祝福される喜びと緊張を口にする。
喉を潤した王子がマリナを向いて微笑む。
「この後は魔術の実演があるんだろう?
今回は随分と大規模な魔術を披露すると聞いているよ、楽しみにしている。
……内務卿が随分と君たちを煽っていたようだからね」
瞳を細めて笑みを作る。煽っていたなんて物騒な。
自分たちの作っていた表には出せない構想一覧を棚に上げてそう思う。
「もちろん最高のものをお見せします。
世界を震撼させるほど美しい魔術に誰もが酔いしれることと思いますよ」
あの事件がなければ実現させようとはしなかった魔術。
世界を震わせるは誇張ではない。
メルヒオールをはじめとした魔術師たちが興奮しきりで準備をしていた大規模魔術は人々の目を引き付け、心を捉えるだろう。
マリナも楽しみにしている。こんな大規模な魔術を使うのは一生のうちでも限られる。
全力で、魔術を行使できる瞬間が楽しみでしかたなかった。
「……君がそこまで言うと逆に不安になるのだけれど」
楽しみだと言いながらそんなことを言う王子に意味深な笑みを送っておく。
ジグ様も内務卿も許可を出したので危険は無い。大丈夫。
対マールア向けの牽制の意味合いもあると言ったら心配させるので何も言わない。
もちろん王子もわかっているから内務卿が煽っている、などと口にしたのだろうけれど。
「どうしてでしょうか? 不思議ですね」
とぼけてみせると王子がわかりやすく肩を落とした。
大丈夫です。各国への印象操作は外務卿が請け負ってくれましたから。
準備は万全。調子は最高。
自分を要とした緻密な魔力操作が要求される魔術だけど、失敗するとは微塵も思わない。
最高の魔術を見せる。それがマリナと王宮魔術師たちが贈るお祝いの形だった。
半分を超えたあたりからは見覚えのない顔ばかりになっている。
ここまで来ると場慣れした優美な挨拶を見せる人よりも緊張して言葉に詰まったりする人が多い。
普段会うことどころか見かけることすらない方を前にしているのだから当然だろうけれど。
緊張しながらもきちんと祝いを述べ、感動を素直に口にする人々に口元が緩みそうになる。
主の立派な姿に胸が一杯になったのはマリナだけじゃない。
隣に並ぶヴォルフも喜んでいるし会場を警備している騎士たちだってそうだ。
レイフェミア様と並んで微笑んでいる姿を見ると本当に安堵と喜びで胸が満たされていく。
手を取り合い歩んでいくと誓い合った二人は言い様のないほど美しかった。
挨拶が一段落し、会場を後にするおふたりに続いてマリナたちも会場を出る。
長い時間笑みを浮かべて挨拶をしていた王子もレイフェミア様も流石に疲れたみたいだ。
「流石に喉が渇いたよ」
「ええ、すごい人でしたね。
あれほど多くの方に祝われると身が引き締まります」
王子の遠回しな言葉にレイフェミア様が沢山の人に祝福される喜びと緊張を口にする。
喉を潤した王子がマリナを向いて微笑む。
「この後は魔術の実演があるんだろう?
今回は随分と大規模な魔術を披露すると聞いているよ、楽しみにしている。
……内務卿が随分と君たちを煽っていたようだからね」
瞳を細めて笑みを作る。煽っていたなんて物騒な。
自分たちの作っていた表には出せない構想一覧を棚に上げてそう思う。
「もちろん最高のものをお見せします。
世界を震撼させるほど美しい魔術に誰もが酔いしれることと思いますよ」
あの事件がなければ実現させようとはしなかった魔術。
世界を震わせるは誇張ではない。
メルヒオールをはじめとした魔術師たちが興奮しきりで準備をしていた大規模魔術は人々の目を引き付け、心を捉えるだろう。
マリナも楽しみにしている。こんな大規模な魔術を使うのは一生のうちでも限られる。
全力で、魔術を行使できる瞬間が楽しみでしかたなかった。
「……君がそこまで言うと逆に不安になるのだけれど」
楽しみだと言いながらそんなことを言う王子に意味深な笑みを送っておく。
ジグ様も内務卿も許可を出したので危険は無い。大丈夫。
対マールア向けの牽制の意味合いもあると言ったら心配させるので何も言わない。
もちろん王子もわかっているから内務卿が煽っている、などと口にしたのだろうけれど。
「どうしてでしょうか? 不思議ですね」
とぼけてみせると王子がわかりやすく肩を落とした。
大丈夫です。各国への印象操作は外務卿が請け負ってくれましたから。
準備は万全。調子は最高。
自分を要とした緻密な魔力操作が要求される魔術だけど、失敗するとは微塵も思わない。
最高の魔術を見せる。それがマリナと王宮魔術師たちが贈るお祝いの形だった。
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