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最終章
小さな異変
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室内は窓から入り込む光で明るく、談笑する人々も笑顔を浮かべている。
長い列を作る貴族たちの祝福を順番に受け取り、笑みを返す王子とレイフェミア様に尊敬を送りつつ会場を見回す。
何か不穏な気配を感じた。
先程までつまらなそうな顔で酒を飲んでいたラムゼスが楽しそうに笑っている。それだけのことなのだが、どうにも嫌な感じがする。
王子とユースティスの話の内容は事前に知っていたはずだし、それについても反対はしないけれど積極的な賛成ではないといった感じだった。
ユースティスの話の持って行き方もかなりセレスタに配慮した内容になっていたし、どちらかといえばラムゼスが不機嫌になる内容だと思う。
あんなに楽しそうにする理由がわからない。
人と談笑するわけでもなく一人で酒を傾けているラムゼス。
誰かと接触したところも見てないし、理由が不明で不気味だ。
後でマールアの使節団と行動を共にしていた案内人に話を聞いた方がいいかもしれない。
と、そこでラムゼスについていた従者が一人消えていることに気付く。
さっと視線を巡らせるが会場内にいない――。
「マールアの従者が一人いなくなってるわ」
飲み物を取りに離れたということもないはずだ。
給仕はちゃんと会場内にいるので、普通は彼らに声を掛けるだろう。
従者も使節団として招かれた立場なので、休憩室などではともかくこの会場内で自ら料理や飲み物を取りに行くことは考え難かった。
マリナの呟きを拾ったヴォルフも小さな声で呟く。
「付いていた近衛騎士もいなくなってるな。 会場の外に出たか」
案内役とは別に彼らが王宮に入ってからは近衛騎士も遠くから警戒していた。
通常の警備の騎士に紛れ、わからないようにしているがマールアの使節団を見守るのだけが任務だ。
それはマールアの人間が信用ならないという理由だけではない。それが大半ではあるけど。
もう一つは、反対にセレスタ側の人間でマールアの使節団に害意を持つ者から彼らを守るためでもあった。
現在まであからさまに敵意を向ける人間もいなかったようなので、こちらには報告が来ていない。
マリナたちは王子の側を離れるわけにはいかないので連絡を待つしかない。
何事もなければいいのだけれど……。
ラムゼスに視線を向ければ上機嫌にグラスを開けている。
純粋に宴を楽しんでいるとは、全く思わなかった。
長い列を作る貴族たちの祝福を順番に受け取り、笑みを返す王子とレイフェミア様に尊敬を送りつつ会場を見回す。
何か不穏な気配を感じた。
先程までつまらなそうな顔で酒を飲んでいたラムゼスが楽しそうに笑っている。それだけのことなのだが、どうにも嫌な感じがする。
王子とユースティスの話の内容は事前に知っていたはずだし、それについても反対はしないけれど積極的な賛成ではないといった感じだった。
ユースティスの話の持って行き方もかなりセレスタに配慮した内容になっていたし、どちらかといえばラムゼスが不機嫌になる内容だと思う。
あんなに楽しそうにする理由がわからない。
人と談笑するわけでもなく一人で酒を傾けているラムゼス。
誰かと接触したところも見てないし、理由が不明で不気味だ。
後でマールアの使節団と行動を共にしていた案内人に話を聞いた方がいいかもしれない。
と、そこでラムゼスについていた従者が一人消えていることに気付く。
さっと視線を巡らせるが会場内にいない――。
「マールアの従者が一人いなくなってるわ」
飲み物を取りに離れたということもないはずだ。
給仕はちゃんと会場内にいるので、普通は彼らに声を掛けるだろう。
従者も使節団として招かれた立場なので、休憩室などではともかくこの会場内で自ら料理や飲み物を取りに行くことは考え難かった。
マリナの呟きを拾ったヴォルフも小さな声で呟く。
「付いていた近衛騎士もいなくなってるな。 会場の外に出たか」
案内役とは別に彼らが王宮に入ってからは近衛騎士も遠くから警戒していた。
通常の警備の騎士に紛れ、わからないようにしているがマールアの使節団を見守るのだけが任務だ。
それはマールアの人間が信用ならないという理由だけではない。それが大半ではあるけど。
もう一つは、反対にセレスタ側の人間でマールアの使節団に害意を持つ者から彼らを守るためでもあった。
現在まであからさまに敵意を向ける人間もいなかったようなので、こちらには報告が来ていない。
マリナたちは王子の側を離れるわけにはいかないので連絡を待つしかない。
何事もなければいいのだけれど……。
ラムゼスに視線を向ければ上機嫌にグラスを開けている。
純粋に宴を楽しんでいるとは、全く思わなかった。
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