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セレスタ 故郷編
夜明けの凱旋
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空が明るくなってきた頃、街に辿り着く。
ルカはラースさんが馬に乗せている。子供には優しいんだなとちょっとだけ見直した。
フランツさんたちもほっとした顔をしている。
盗賊たちの取り調べは引き継いだ騎士がやるんだろうけれど、報告があるからまだ休めない。
騎士って丈夫でなければ勤まらないな、と改めて思う。
「マリナ殿、ヴォルフ殿。 今日は本当にありがとうございました。
お二人のご助力のおかげで怪我人もなく戻って来れました」
「いや、それは俺たちの力と関係なく普段の鍛錬の賜物だろう。
ルカのこと意外は危なげなく進んでいたのだから」
ヴォルフの言葉に同意する。マリナたちがいなくても状況を整えて任務は達成させたはずだ。
「そう言っていただけると励みになります。
とても良い経験をさせていただいたと思っていますよ、感謝しています」
魔術師を抱えた盗賊団なんてそうないので珍しい経験だとは思う。
街の門を潜るとフランツさんが声を潜める。
「マリナ殿、ルカのことなんですが……」
フランツさんが気遣わしげな視線をルカに向ける。
ルカはラースさんの前に座り大人しくしていた。
「可能な限り早く近隣から魔術師を呼び寄せた方が良いと思います」
魔封じを付けるにしても、ずっと封じ続けるわけにもいかない。
罪は罪として償うことになるだろうけれど、その後の身の振り方も考える必要がある。
ルカの家族はルカを育てられないだろう。
盗賊に連れてこられた経緯を思うに、別の後見人を立てた方が良いと思われる。
そしてそれはルカを導けるような経験のある魔術師が望ましい。
孤児院に行くことも一応候補に挙げられるが、多分そうはならないと思う。
習いもせずにあれくらいの魔術が使えるのなら、これから成長し魔力が増えていくと予期せぬ暴発も考えられる。
ちゃんと魔術として習い制御する術を学んだ方がいい。
これは周りの安全だけでなく、ルカの為でもある。
いずれ独り立ちするときに選択肢を増やせるからだ。
生まれ持った能力なので捨てることはできない。
魔術師になるとしても、それ以外になるとしても、制御できるようになることは必須だった。
「他の魔術師が来るまでいられたらいいんですが、そうもいかないので」
予定より長引くことになったらいけない。そう何日も余裕があるわけではないので。
「申し訳ありません、街を発つところでしたのに」
「いえ、魔封じさえしていればルカ自身も安心だと思うので、魔術師が来るまではそれで凌いでください」
命じられて人を攻撃したことに青褪めていた。できないように封じていれば魔術で人を傷つけることはない。その方がルカも安心して過ごせるだろう。
「魔封じ……」
フランツさんが何故か思案気な顔をする。
「マリナ殿、魔封じはありますが……。
ルカの手には大きすぎるのではないかと思われます」
「……考えてみたらそうですよね」
幼い上にルカはかなり痩せている。普通の魔封じでは手から抜けてしまう。
立場が立場だけに魔封じをしないでいるというのは考えられない。
「魔石はありますよね」
「ええ、それはもちろん」
「ルカ用の魔封じを作っていきますのでそれを付けさせてください」
ひと眠りしたら出発するつもりだったのに、ひと眠りではなくて仮眠になるかもしれない。
申し訳ないと恐縮するフランツさんに気にしなくていいと若干本心ではないことを言いながら騎士団の宿舎に向かう。
「ヴォルフ、起こしてね」
起きれる気がしないのでヴォルフにお願いする。
明るいうちにアルフェラに着くためには昼より前に出ないと厳しい。
それほど難しい作業ではないけれど、睡眠時間が短くなるのは確実で。
寝起きの良いヴォルフのようにぱちっと目を覚ませる自信がなかった。
ルカはラースさんが馬に乗せている。子供には優しいんだなとちょっとだけ見直した。
フランツさんたちもほっとした顔をしている。
盗賊たちの取り調べは引き継いだ騎士がやるんだろうけれど、報告があるからまだ休めない。
騎士って丈夫でなければ勤まらないな、と改めて思う。
「マリナ殿、ヴォルフ殿。 今日は本当にありがとうございました。
お二人のご助力のおかげで怪我人もなく戻って来れました」
「いや、それは俺たちの力と関係なく普段の鍛錬の賜物だろう。
ルカのこと意外は危なげなく進んでいたのだから」
ヴォルフの言葉に同意する。マリナたちがいなくても状況を整えて任務は達成させたはずだ。
「そう言っていただけると励みになります。
とても良い経験をさせていただいたと思っていますよ、感謝しています」
魔術師を抱えた盗賊団なんてそうないので珍しい経験だとは思う。
街の門を潜るとフランツさんが声を潜める。
「マリナ殿、ルカのことなんですが……」
フランツさんが気遣わしげな視線をルカに向ける。
ルカはラースさんの前に座り大人しくしていた。
「可能な限り早く近隣から魔術師を呼び寄せた方が良いと思います」
魔封じを付けるにしても、ずっと封じ続けるわけにもいかない。
罪は罪として償うことになるだろうけれど、その後の身の振り方も考える必要がある。
ルカの家族はルカを育てられないだろう。
盗賊に連れてこられた経緯を思うに、別の後見人を立てた方が良いと思われる。
そしてそれはルカを導けるような経験のある魔術師が望ましい。
孤児院に行くことも一応候補に挙げられるが、多分そうはならないと思う。
習いもせずにあれくらいの魔術が使えるのなら、これから成長し魔力が増えていくと予期せぬ暴発も考えられる。
ちゃんと魔術として習い制御する術を学んだ方がいい。
これは周りの安全だけでなく、ルカの為でもある。
いずれ独り立ちするときに選択肢を増やせるからだ。
生まれ持った能力なので捨てることはできない。
魔術師になるとしても、それ以外になるとしても、制御できるようになることは必須だった。
「他の魔術師が来るまでいられたらいいんですが、そうもいかないので」
予定より長引くことになったらいけない。そう何日も余裕があるわけではないので。
「申し訳ありません、街を発つところでしたのに」
「いえ、魔封じさえしていればルカ自身も安心だと思うので、魔術師が来るまではそれで凌いでください」
命じられて人を攻撃したことに青褪めていた。できないように封じていれば魔術で人を傷つけることはない。その方がルカも安心して過ごせるだろう。
「魔封じ……」
フランツさんが何故か思案気な顔をする。
「マリナ殿、魔封じはありますが……。
ルカの手には大きすぎるのではないかと思われます」
「……考えてみたらそうですよね」
幼い上にルカはかなり痩せている。普通の魔封じでは手から抜けてしまう。
立場が立場だけに魔封じをしないでいるというのは考えられない。
「魔石はありますよね」
「ええ、それはもちろん」
「ルカ用の魔封じを作っていきますのでそれを付けさせてください」
ひと眠りしたら出発するつもりだったのに、ひと眠りではなくて仮眠になるかもしれない。
申し訳ないと恐縮するフランツさんに気にしなくていいと若干本心ではないことを言いながら騎士団の宿舎に向かう。
「ヴォルフ、起こしてね」
起きれる気がしないのでヴォルフにお願いする。
明るいうちにアルフェラに着くためには昼より前に出ないと厳しい。
それほど難しい作業ではないけれど、睡眠時間が短くなるのは確実で。
寝起きの良いヴォルフのようにぱちっと目を覚ませる自信がなかった。
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