双翼の魔女は異世界で…!?

桧山 紗綺

文字の大きさ
上 下
317 / 368
セレスタ 故郷編

早朝の騒ぎ

しおりを挟む
6月22日・くもり(朝晩は雨だった)

あいつの家から飛び出したアタシは、かつてスナックにいたときに一緒に働いていたコが暮らしているアパートに転がりこんだ。

新しい住まいがみつかるまでの間、アタシはそこからバイトに通うことにした。

市役所前にあるローソンのバイトは継続するけど、清掃会社はやめるから勝手に休んだ。

あいつもまた、工場を勝手に休んで徹底抗戦を構えた。

アタシは、オミズの世界へ帰ると決意した。

せやけん、あいつと離婚する。

そんな時であった。

アタシがバイトをしている市役所前にあるローソンに戒田さんが突然やって来た。

戒田さんは、アタシにもう一度あいつと話し合えと言うた。

しかし、アタシは話し合いを拒否した。

アタシは、陳列ケースに新しく到着したお弁当をならべていた。

戒田さんはアタシに『清掃会社の人がまりなさんがよくがんばっているからお給料を上げようかと言うてたよ。』とあつかましい声で言うた。

アタシは『うそをつくのもたいがいにしてや!!』と戒田さんに怒鳴りつけたあと、こう言うた。

「戒田さん!!アタシは近いうちに水商売の世界に戻ると決意したけん…清掃会社の社長はムシがよすぎるわよ!!あんたね!!かえんなさいよ!!」
「まりなさん、清掃会社の人たちは人手が足りないからまりなさんに戻ってきてほしいと言うてるのだよ…」
「そんなんウソよ!!あんたよくもアタシをだましたわね!!清掃会社の社長が通勤手当てと住宅手当てなどのお手当が出るよと言うた…せやけど手当ては1銭もでえへんかった!!…アタシのお給料が社長の手によってピンハネされたのよ!!ピンはねした分で、ドーラク息子の平日ゴルフやスナックのねーちゃんをはべらすことに使われた…ああ、それだけじゃないわよ!!ドーラク息子の知人のヤクザ組織の上納金に変わっていたことも聞いたわよ!!どないしてくれるねん!!」
「まりなさん、それは言い過ぎだよぉ…清掃会社の社長さんは『悪かった…』とあやまっているのだよ。」
「それは心の底からの言葉かしら?」
「社長さんは、本当に心の底からあやまっているのだよ。」

アタシは冷めた声で『アホみたい…』と言うたあと、戒田さんにこう言うた。

「あんたはいつからクソッタレどもの肩を持つようになったかしら!?クソッタレどもとあんたはどなな関係があんのよ!?」
「まりなさん…」
「答えてよ!!」
「まりなさん!!せっかく雇って下さった社長さんになんてことを言うのだ!?」
「はぐいたらしいわね!!アタシは水商売の世界に帰ると決意したのよ!!アタシは、あななクソッタレどもの会社なんかやめるけん!!」
「まりなさん、清掃会社の社長さんは人手がたりないからまりなさんにきてほしいと言うてるのだよ!!」
「イヤ!!断る!!」
「なんで断るのだよぅ~社長さんは人手がたりないと言うているのだよ!!」
「ますますはぐいたらしいわね!!あんたがそないに言うのであれば、アタシのようにホーローしたらどうかしら!!」
「私は…妻子にごはんを食べさせて行く立場だからホーローできない…」
「ひ弱な男ねぇ~」
「まりなさん!!」
「それはあんたの学生時代の過ごし方が悪いからでしょ…人のコネつこたけん条件の悪いことに就職したのでしょ…せやけんあんたはなさけない男よ…」
「まりなさん!!」
「よくもアタシの仕事のジャマしたわね!!店長にチクるわよ!!」

戒田さんに怒鳴りつけたアタシは、奥の部屋へ逃げ込んだ。

(まりなは、この一件で清掃会社をやめて再びオミズの世界に帰った。)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【書籍化・3/7取り下げ予定】あなたたちのことなんて知らない

gacchi
恋愛
母親と旅をしていたニナは精霊の愛し子だということが知られ、精霊教会に捕まってしまった。母親を人質にされ、この国にとどまることを国王に強要される。仕方なく侯爵家の養女ニネットとなったが、精霊の愛し子だとは知らない義母と義妹、そして婚約者の第三王子カミーユには愛人の子だと思われて嫌われていた。だが、ニネットに虐げられたと嘘をついた義妹のおかげで婚約は解消される。それでも精霊の愛し子を利用したい国王はニネットに新しい婚約者候補を用意した。そこで出会ったのは、ニネットの本当の姿が見える公爵令息ルシアンだった。書籍化予定です。取り下げになります。詳しい情報は決まり次第お知らせいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

処理中です...