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セレスタ 波乱の婚約式編
セレスタへの帰還 3
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話し終えたマリナの頭をヴォルフの手が撫でる。
久しぶりの感触に身体の力が抜けていく。
胸に凭れて体重を預けるとあやすように優しい手付きで髪を梳いてくれた。
ヴォルフの腕の中にいると安心する。
すり、と頬を硬い胸板に付ける。このまま抱きついて眠ってしまおうかとも思う。
それくらいマリナにとって居心地の良い空間だ。
目を閉じようとしたら抱き上げられて片膝に乗せられ、頬にくちづけられる。
頬に軽く触れるだけのくちづけはくすぐったくて口元を緩めた。
抱き上げられた姿勢のままヴォルフと目を合わせる。
この瞳とどれくらい離れていたんだろう。
黒い瞳を見つめていると胸を衝動が突いた。
「ヴォルフ」
名前を呼んで自分から抱きつく。
抱き上げられて密着していた身体がさらに密着する。
応えるように強くなる腕の力に今が現実だと実感する。
ヴォルフの指が顎に触れ、上向かせられたところでくちづけられた。
桜の下でしたような優しい触れ方ではなく、熱く、全てを暴くような激しいくちづけ。
今まで一度もされたことのない乱暴なくちづけに呼吸ができなくなる。
与えられる熱に溺れてしまいそう。
熱くて、苦しいほど身体の内の魔力が暴れている。
くちづけが解かれてやっとのことで息を吸う。
触れられた場所も顔も熱くて、頭がふらふらする。
見上げる瞳には引かない熱が見えて……。
何も考えず求めた。
「もっと」
ねだるとヴォルフの瞳が妖しく光る。
強くマリナを欲する熱に身を委ねる。もっと欲しがってほしい。
自分も同じ熱を欲していた。
何度も降ってくるくちづけを受け入れ、応える。
めまいがするような陶酔感に酔いしれ、さらに言葉でねだってみせた。
「もっとして」
強く、ヴォルフを感じたい。
背中に手を回して服を掴むとヴォルフが震えた。
大きな手が頬を撫でる。
マリナは目を閉じて落ちてくるくちづけを受け入れた。
久しぶりの感触に身体の力が抜けていく。
胸に凭れて体重を預けるとあやすように優しい手付きで髪を梳いてくれた。
ヴォルフの腕の中にいると安心する。
すり、と頬を硬い胸板に付ける。このまま抱きついて眠ってしまおうかとも思う。
それくらいマリナにとって居心地の良い空間だ。
目を閉じようとしたら抱き上げられて片膝に乗せられ、頬にくちづけられる。
頬に軽く触れるだけのくちづけはくすぐったくて口元を緩めた。
抱き上げられた姿勢のままヴォルフと目を合わせる。
この瞳とどれくらい離れていたんだろう。
黒い瞳を見つめていると胸を衝動が突いた。
「ヴォルフ」
名前を呼んで自分から抱きつく。
抱き上げられて密着していた身体がさらに密着する。
応えるように強くなる腕の力に今が現実だと実感する。
ヴォルフの指が顎に触れ、上向かせられたところでくちづけられた。
桜の下でしたような優しい触れ方ではなく、熱く、全てを暴くような激しいくちづけ。
今まで一度もされたことのない乱暴なくちづけに呼吸ができなくなる。
与えられる熱に溺れてしまいそう。
熱くて、苦しいほど身体の内の魔力が暴れている。
くちづけが解かれてやっとのことで息を吸う。
触れられた場所も顔も熱くて、頭がふらふらする。
見上げる瞳には引かない熱が見えて……。
何も考えず求めた。
「もっと」
ねだるとヴォルフの瞳が妖しく光る。
強くマリナを欲する熱に身を委ねる。もっと欲しがってほしい。
自分も同じ熱を欲していた。
何度も降ってくるくちづけを受け入れ、応える。
めまいがするような陶酔感に酔いしれ、さらに言葉でねだってみせた。
「もっとして」
強く、ヴォルフを感じたい。
背中に手を回して服を掴むとヴォルフが震えた。
大きな手が頬を撫でる。
マリナは目を閉じて落ちてくるくちづけを受け入れた。
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