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セレスタ 波乱の婚約式編
双翼の魔術師という存在
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意識を失った女を腕に抱え歩き出す。
油断も隙もない。逃げるかもしれないとは思っていたがまさか3階の窓から逃げるとは思わなかった。
とはいえ現在地もわからない状態で闇雲に逃げる愚は犯さなかったか。
騎士団に駆け込むような考えなしでもない。
誘拐がフレスに知られて困るのはセレスタも同じこと。
故に彼女は助けを求められないでいる。
目を閉じたあどけない顔はとても双翼と呼ばれる魔術師には見えないが、その立場に相応しい覚悟があるのは見て取れた。
フレスとの国境を超える際に見せた瞳。
セレスタの国旗を見つめた瞳、それは諦めや絶望とは無縁の光を宿していた。
マールアに閉じ込められてもその輝きを保てるかは知らないが、一筋縄ではいかないだろうな、と他人事に笑う。
とりあえず早いうちに魔封じをもう一つ付けた方がよさそうだ。
何らかの不具合で魔封じが機能しなくなったら非常にまずいことになる。
自国とは違う、当たり前に魔道具を使い、魔術を使いこなす魔術師。
侮れば痛い目を見ることになるだろう。
カイゼはセレスタに潜入して長い。魔術がどれだけ有用かは身を以て知っている。
一人前と認められてから幾度となくセレスタに侵入し、任務をこなしてきた。
セレスタはこの一帯の国の中で最も魔術が進んでいる。
その技術をもとに比類なき豊かさを享受する国。
どの国もセレスタに比肩することなど考えていない。
自分たちよりも優れた国だと、学ぶべき謙虚さで従っている。
潜入するたびにセレスタの技術の高さと守りの堅牢さに敗北感と、同時に征服欲を感じた。
決して敵わぬ相手を出し抜く快感は得難く、欲望を満たしてくれる。
腕の中の女も同じように自分を満たしてくれるだろうか。
呼吸をしていないかのように静かに眠る姿からは想像もつかないようなものを見せてほしい。
わざわざセレスタからマールアまで護衛としてつき合わされるのだから、ありきたりな結末ではつまらないだろう?
不穏な考えを笑う。第三王子の望みなど些末なことだ。
マールアは魔術師をどう扱うか。懐柔か服従か。
知る由もなく眠る女は、どちらも撥ね退けられるだろうか。興味は尽きない。
薬の効きがいいようなのでマールアまで眠ったままかもしれないな。
不本意な命令だったが、しばらくは楽しめそうだった。
油断も隙もない。逃げるかもしれないとは思っていたがまさか3階の窓から逃げるとは思わなかった。
とはいえ現在地もわからない状態で闇雲に逃げる愚は犯さなかったか。
騎士団に駆け込むような考えなしでもない。
誘拐がフレスに知られて困るのはセレスタも同じこと。
故に彼女は助けを求められないでいる。
目を閉じたあどけない顔はとても双翼と呼ばれる魔術師には見えないが、その立場に相応しい覚悟があるのは見て取れた。
フレスとの国境を超える際に見せた瞳。
セレスタの国旗を見つめた瞳、それは諦めや絶望とは無縁の光を宿していた。
マールアに閉じ込められてもその輝きを保てるかは知らないが、一筋縄ではいかないだろうな、と他人事に笑う。
とりあえず早いうちに魔封じをもう一つ付けた方がよさそうだ。
何らかの不具合で魔封じが機能しなくなったら非常にまずいことになる。
自国とは違う、当たり前に魔道具を使い、魔術を使いこなす魔術師。
侮れば痛い目を見ることになるだろう。
カイゼはセレスタに潜入して長い。魔術がどれだけ有用かは身を以て知っている。
一人前と認められてから幾度となくセレスタに侵入し、任務をこなしてきた。
セレスタはこの一帯の国の中で最も魔術が進んでいる。
その技術をもとに比類なき豊かさを享受する国。
どの国もセレスタに比肩することなど考えていない。
自分たちよりも優れた国だと、学ぶべき謙虚さで従っている。
潜入するたびにセレスタの技術の高さと守りの堅牢さに敗北感と、同時に征服欲を感じた。
決して敵わぬ相手を出し抜く快感は得難く、欲望を満たしてくれる。
腕の中の女も同じように自分を満たしてくれるだろうか。
呼吸をしていないかのように静かに眠る姿からは想像もつかないようなものを見せてほしい。
わざわざセレスタからマールアまで護衛としてつき合わされるのだから、ありきたりな結末ではつまらないだろう?
不穏な考えを笑う。第三王子の望みなど些末なことだ。
マールアは魔術師をどう扱うか。懐柔か服従か。
知る由もなく眠る女は、どちらも撥ね退けられるだろうか。興味は尽きない。
薬の効きがいいようなのでマールアまで眠ったままかもしれないな。
不本意な命令だったが、しばらくは楽しめそうだった。
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