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セレスタ 波乱の婚約式編
監視役 2
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宿の部屋に戻り窓を開ける。
ユリノアスに連れられて街を歩いたので足が疲れた。
長く眠っていた上、ずっと馬車の中だったのもあるだろう。
夕暮れに差し掛かり街にはぽつぽつと明かりが灯り始めている。
やわらかい色の明かりは常なら綺麗だと見とれるだろうけれど、今のマリナはそんな気分になれなかった。
窓枠に腕を置き、ぼんやりと明かりの増えていく街並みを見つめる。
しばらくして街道を照らす明かりが完全に点いた。
どことなくレグルスの街に似ている。
大きな通りが十字に走り、大きな通りから道が何本も走る。
ふと街灯に付けられた飾りを見て胸が音を立てた。
街灯に付けられた飾りは小さな鐘の形をしている。
確か、フレスの一部で祭の際に鐘や楽器を模した飾りで街を飾りたてる地域があると聞いたことがあった。
祭の時期は終わっているはずなので取り忘れたのだろうそれに胸が急いた。
懐に隠した紙を取り出し、文字を書きつける。
文章を書き終えたら同じく隠していた魔石を取り出す。
床に叩きつけると音が激しくなるので窓の外の外壁に当てて魔石を砕く。
砕かれたことにより熱を発する魔石の欠片を机に広げ紙をその上に乗せる。
温度が低いのかゆっくりと消えていく文字に逸る心を抑え、完全に消えるのを待つ。
日本の製品を元に作ったこの紙には裏に魔法陣が刻まれている。
一定以上の熱を加えると書かれた文字を消すと共に魔法陣も消え、以後はただの紙にしか見えなくなる。
反対に冷やすと文字が現れるようになっていた。
インク自体は何でもいいため日本で使っていたペンとは全く違う技術だ。
魔法で温めるのとは違い時間がかかったため焦ったけれど上手く消えてくれた。
ほっと胸を撫で下ろし新たに文面を書いていく。
これを作ったのはただの好奇心で、突然魔法陣や魔道具のアイディアが浮かんだときに書き留めるために使っていたのだけれど、こんな使い方をする日が来るとは思わなかった。
インクが乾くのを待って紙を折りたたみ懐にしまう。
窓の下を見下ろして覚悟を決める。
マリナに与えられた部屋は3階。窓は通りの裏手に面しており、見咎める人はいない。
こんな高さから魔術を使わずに降りたことはないけれど。
震えそうな己を叱咤して窓から身を乗り出す。
近くの雨どいに手を伸ばし、窓枠から足を離した。
途端に強く感じる風に身が竦む。
けれどもう後戻りはできない。
高さを意識しないように手元と足元だけを見ながら降りていく。
時間が長く感じられる。
気づかれていないかと上を見ると思いのほか高い位置に窓が見えた。
下を見るとだいぶ地面に近づいている。
ここからなら大丈夫だろうと残りは飛び降りた。
出てきた窓をもう一度見上げて走り出す。
早くしないと……!
マリナの予想通りならここは彼女の住む街に近い。
婚姻早々面倒に巻き込むことを申し訳なく思うが、今は彼女以外頼れる人がいなかった。
勘の良い彼女なら手紙に隠した言葉も見つけてくれるかもしれない。
見つけられなくてもこの手紙のことをセレスタに伝えてくれたらと願い、マリナは手紙を託すことにした。
ユリノアスに連れられて街を歩いたので足が疲れた。
長く眠っていた上、ずっと馬車の中だったのもあるだろう。
夕暮れに差し掛かり街にはぽつぽつと明かりが灯り始めている。
やわらかい色の明かりは常なら綺麗だと見とれるだろうけれど、今のマリナはそんな気分になれなかった。
窓枠に腕を置き、ぼんやりと明かりの増えていく街並みを見つめる。
しばらくして街道を照らす明かりが完全に点いた。
どことなくレグルスの街に似ている。
大きな通りが十字に走り、大きな通りから道が何本も走る。
ふと街灯に付けられた飾りを見て胸が音を立てた。
街灯に付けられた飾りは小さな鐘の形をしている。
確か、フレスの一部で祭の際に鐘や楽器を模した飾りで街を飾りたてる地域があると聞いたことがあった。
祭の時期は終わっているはずなので取り忘れたのだろうそれに胸が急いた。
懐に隠した紙を取り出し、文字を書きつける。
文章を書き終えたら同じく隠していた魔石を取り出す。
床に叩きつけると音が激しくなるので窓の外の外壁に当てて魔石を砕く。
砕かれたことにより熱を発する魔石の欠片を机に広げ紙をその上に乗せる。
温度が低いのかゆっくりと消えていく文字に逸る心を抑え、完全に消えるのを待つ。
日本の製品を元に作ったこの紙には裏に魔法陣が刻まれている。
一定以上の熱を加えると書かれた文字を消すと共に魔法陣も消え、以後はただの紙にしか見えなくなる。
反対に冷やすと文字が現れるようになっていた。
インク自体は何でもいいため日本で使っていたペンとは全く違う技術だ。
魔法で温めるのとは違い時間がかかったため焦ったけれど上手く消えてくれた。
ほっと胸を撫で下ろし新たに文面を書いていく。
これを作ったのはただの好奇心で、突然魔法陣や魔道具のアイディアが浮かんだときに書き留めるために使っていたのだけれど、こんな使い方をする日が来るとは思わなかった。
インクが乾くのを待って紙を折りたたみ懐にしまう。
窓の下を見下ろして覚悟を決める。
マリナに与えられた部屋は3階。窓は通りの裏手に面しており、見咎める人はいない。
こんな高さから魔術を使わずに降りたことはないけれど。
震えそうな己を叱咤して窓から身を乗り出す。
近くの雨どいに手を伸ばし、窓枠から足を離した。
途端に強く感じる風に身が竦む。
けれどもう後戻りはできない。
高さを意識しないように手元と足元だけを見ながら降りていく。
時間が長く感じられる。
気づかれていないかと上を見ると思いのほか高い位置に窓が見えた。
下を見るとだいぶ地面に近づいている。
ここからなら大丈夫だろうと残りは飛び降りた。
出てきた窓をもう一度見上げて走り出す。
早くしないと……!
マリナの予想通りならここは彼女の住む街に近い。
婚姻早々面倒に巻き込むことを申し訳なく思うが、今は彼女以外頼れる人がいなかった。
勘の良い彼女なら手紙に隠した言葉も見つけてくれるかもしれない。
見つけられなくてもこの手紙のことをセレスタに伝えてくれたらと願い、マリナは手紙を託すことにした。
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