双翼の魔女は異世界で…!?

桧山 紗綺

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セレスタ 波乱の婚約式編

マリナの行方 1

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「マリナがいない?」
 ギュンターからマリナの姿が見えないと報告を受けたのは陽の色が変わり始めた時間だった。
「レイフェミア様かマリエール様の側にいるんじゃないのか」
 王子に断って部屋から出、詳しい話を聞く。
 ヴォルフは朝から王子の側に控えているがマリナの姿は朝以降見ていない。
 お二人に誘われればマリナは応じざるを得ないし、フレスの王妹はマリナを気に入っている。
「いや、お二人はご一緒に庭園でお茶をしていたがマリナの姿はなかった。
 側付きの女官たちも庭園を警備していた奴らもマリナの姿は見ていないと言ってるんだ」
 そこにもいないと言われて考えを巡らせる。
「……王宮魔術師たちのところには?」
 王宮を護っている魔術や魔道具に何か異変があった可能性を考えた。
 それならマリナの姿が見えないのにも納得はできる。
「一応、ミヒャエルが確認しに行ってる」
「そうか……」
 そこにいればいいが。他にマリナが行きそうな場所は医務室くらいだが、仕事を放ってこの時間に訪問することはないだろう。
 急に医務室に行く必要のある問題が起こったのならヴォルフやギュンターの耳にも入ってくるだろうし、医務室にいる可能性は低い。
 そう話している間にミヒャエルが戻ってきた。
 心なしか焦ったような早足でこちらに向かってくるミヒャエルの後ろにはメルヒオールの姿も見える。
 メルヒオールがついて来たことに疑問を感じたが、それを口にする前にミヒャエルが口を開いた。
「魔術師たちもマリナの姿は見てないそうだ」
 ミヒャエルの報告にメルヒオールを見ると頷いてマリナは見ていないと言う。
「特に問題も起きてないし、こっちには来ないと思う。 訪ねてきたって話も聞いてない」
「そうか……」
 メルヒオールの返事に落胆が広がる。
「本当に、どこに行ったんだあいつ」
 他にマリナが行きそうなところなんてあっただろうか。
「……メルヒオール!」
 マリナの行先を考えていたヴォルフはあれの存在を思い出してメルヒオールを見る。
「なに?」
 ヴォルフの大声にメルヒオールがうるさいと言いたげな顔をしたが、構わず話す。
「これでマリナと連絡が取れないか?」
 懐から取り出したのはマリナからもらった魔道具、通信機。
 マリナは王宮魔術師なら使えると言っていた。
 メルヒオールなら問題なく使えるはずだ。
「何これ」
 魔道具を見たメルヒオールの目の色が変わった。
「同じ物をマリナも持っている。 対になった魔道具へメッセージを送れる魔道具だ」
 上着に付けていた留め具を外してメルヒオールに渡す。
 メルヒオールが手の平に乗った魔道具を見つめて笑う。
 アイツはまたこんな物おもしろいを隠して、と呟きが聞こえた。
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