202 / 368
セレスタ 波乱の婚約式編
王都探索 2
しおりを挟む
シャルロッテの従兄弟が入っていった食堂を観察しながらどうしようか思案する。
小さな食堂なので入ったら気づかれてしまうのは確実だ。
向かい側の店から様子を見守ろうかと考えたところでシャルロッテが食堂に向かって歩いているのに気付く。
「ちょっと待ってください、どこへ行くつもりですか!」
慌てて声をかけるときょとんとした顔でマリナを振り返った。
「え? だって入らないと様子がわからないじゃない」
「見つかってしまいますよ」
シャルロッテが入っていったら気が付かれるでしょう。
マリナも面識があるのであまり近くには寄りたくない。
「でも中が気になるのよ?」
「外からでもわかることはありますよ?
必要以上に長く滞在しているなら、食事以外の目的があるかもしれないと予想できますし。
彼の目的があの食堂だとはっきりしたら先回りして様子を窺ってもいいんですが、今の段階ではただ食事をしに来た可能性の方が高いと思いますのでそこまで出来ませんね」
考えを連ねていくとシャルロッテが感心したようにマリナを見つめる。
「すごいわ…、さすが双翼ね」
感嘆したように言われても嬉しくない。
双翼の仕事にそんな内容は無いから!
「実際にそんなことをしたことはありませんからね?」
誤解しないでほしいと、強く念を押す。
必要だったらするけど、今のところそんな事態に遭遇したことはない。
双翼がしなくても他にちゃんとする人がいるんです。
そんなことを知らないシャルロッテは無邪気に食堂の方を見て従兄弟の姿を探している。
楽しんでいるようで何よりだ。
しばらく観察していても彼は食堂から出てこない。
シャルロッテの想像が当たっていたのかと思い始めた頃、彼が食堂から出てきた。女性を伴って。
「あれ! あの店の女性よね!」
興奮した様子でシャルロッテがマリナの肩を叩く。
シャルロッテの言う通り、食堂の窓から見えた給仕の女性が彼と並んで歩いている。
時折肩に触れ合ったりしながら歩く姿はただの知り合いではなく、親しい間柄なのだと見る者に思わせる親密さがあった。
「恋人なのかしら? ずいぶんと親し気だけれど」
手を繋いだりこそしていないものの、じゃれあうようにお互いに触れ合う姿は恋人そのものだ。
「……あのくらいが平民では普通なのかしら」
不思議そうにシャルロッテが呟く。
「ちょっと男性の身体に触り過ぎではないの?」
聞かれてもマリナにもわからない。
ただシャルロッテやマリナの常識においてはちょっと行き過ぎではないか、というのが双方の意見だった。
「でもあれが一般的ということはないようですよ。
ほら、あそこのお爺さんも眉を顰めて見ていますから」
もしかしたら若い人の間では彼の行動が普通で、お爺さんの視線は「最近の若い者は」という感情なのかもしれないけど。
「なんにしてもあれは友人にはしない行動よね」
「そうですねえ、多分」
わからないのでいまいち同調しきれない。
ただ、女性の目が恋している目には見えないのが気にかかった。
小さな食堂なので入ったら気づかれてしまうのは確実だ。
向かい側の店から様子を見守ろうかと考えたところでシャルロッテが食堂に向かって歩いているのに気付く。
「ちょっと待ってください、どこへ行くつもりですか!」
慌てて声をかけるときょとんとした顔でマリナを振り返った。
「え? だって入らないと様子がわからないじゃない」
「見つかってしまいますよ」
シャルロッテが入っていったら気が付かれるでしょう。
マリナも面識があるのであまり近くには寄りたくない。
「でも中が気になるのよ?」
「外からでもわかることはありますよ?
必要以上に長く滞在しているなら、食事以外の目的があるかもしれないと予想できますし。
彼の目的があの食堂だとはっきりしたら先回りして様子を窺ってもいいんですが、今の段階ではただ食事をしに来た可能性の方が高いと思いますのでそこまで出来ませんね」
考えを連ねていくとシャルロッテが感心したようにマリナを見つめる。
「すごいわ…、さすが双翼ね」
感嘆したように言われても嬉しくない。
双翼の仕事にそんな内容は無いから!
「実際にそんなことをしたことはありませんからね?」
誤解しないでほしいと、強く念を押す。
必要だったらするけど、今のところそんな事態に遭遇したことはない。
双翼がしなくても他にちゃんとする人がいるんです。
そんなことを知らないシャルロッテは無邪気に食堂の方を見て従兄弟の姿を探している。
楽しんでいるようで何よりだ。
しばらく観察していても彼は食堂から出てこない。
シャルロッテの想像が当たっていたのかと思い始めた頃、彼が食堂から出てきた。女性を伴って。
「あれ! あの店の女性よね!」
興奮した様子でシャルロッテがマリナの肩を叩く。
シャルロッテの言う通り、食堂の窓から見えた給仕の女性が彼と並んで歩いている。
時折肩に触れ合ったりしながら歩く姿はただの知り合いではなく、親しい間柄なのだと見る者に思わせる親密さがあった。
「恋人なのかしら? ずいぶんと親し気だけれど」
手を繋いだりこそしていないものの、じゃれあうようにお互いに触れ合う姿は恋人そのものだ。
「……あのくらいが平民では普通なのかしら」
不思議そうにシャルロッテが呟く。
「ちょっと男性の身体に触り過ぎではないの?」
聞かれてもマリナにもわからない。
ただシャルロッテやマリナの常識においてはちょっと行き過ぎではないか、というのが双方の意見だった。
「でもあれが一般的ということはないようですよ。
ほら、あそこのお爺さんも眉を顰めて見ていますから」
もしかしたら若い人の間では彼の行動が普通で、お爺さんの視線は「最近の若い者は」という感情なのかもしれないけど。
「なんにしてもあれは友人にはしない行動よね」
「そうですねえ、多分」
わからないのでいまいち同調しきれない。
ただ、女性の目が恋している目には見えないのが気にかかった。
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説

【書籍化・3/7取り下げ予定】あなたたちのことなんて知らない
gacchi
恋愛
母親と旅をしていたニナは精霊の愛し子だということが知られ、精霊教会に捕まってしまった。母親を人質にされ、この国にとどまることを国王に強要される。仕方なく侯爵家の養女ニネットとなったが、精霊の愛し子だとは知らない義母と義妹、そして婚約者の第三王子カミーユには愛人の子だと思われて嫌われていた。だが、ニネットに虐げられたと嘘をついた義妹のおかげで婚約は解消される。それでも精霊の愛し子を利用したい国王はニネットに新しい婚約者候補を用意した。そこで出会ったのは、ニネットの本当の姿が見える公爵令息ルシアンだった。書籍化予定です。取り下げになります。詳しい情報は決まり次第お知らせいたします。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる