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セレスタ 波乱の婚約式編
番外編 初めての(怪しい)お酒
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「お前こんな物どこで見つけてきたんだ」
マリナが差し出した酒を見て思わず苦い顔になる。
「ミリアム様がくれたの、信頼できる人と一緒に飲めって」
口ぶりから危ない物だという認識はあるようだ。
「本当に変わった令嬢だな」
人に贈る類の物ではない。
試せと言ったのなら効能も知っているのだろう。
そして俺の前に持ってくるマリナに頭が痛くなる。
「詳しい効能は知っているのか?」
「酔いやすくなるお酒だって言ってたけど。
素直になりやすくなるとも言ってたわね」
知っていて試す気なのか。
「これって少しでも効き目があるんでしょう?
混ぜられてもわかるように味を知っておくように、っていう意味でくれたんだと思う」
確かに特徴的な風味があるので、一度飲んだことがあれば余程酔っているか味覚が鈍くなければわかる。
グラスも用意してすぐに試すつもりのマリナに一言だけ注意をした。
「少しずつにしろよ」
一気に飲むのは危険だ。
真剣に注意するとマリナも神妙な顔で頷いて封を開けた。
並んだグラスふたつともに酒を注ごうとしたので止める。
「俺の分はいらない」
二人とも飲んだら注意を払う人間がいなくなるだろう。
どの程度酒が効くかもわからないので理性が働いていないと不安だった。
「ヴォルフも飲んだことあるの?」
マリナが不思議そうに聞く。
ヴォルフが好んでこういった酒を飲むように思えないと目が言っていた。
「ああ。 これに限らず怪しい効果を持つ酒や薬は一通り試された」
「え゛?」
驚きに顔を染めてヴォルフを見上げるマリナ。
そこまで驚くことか?
「お前もやってただろう?」
薬や酒に耐性を付けるまではしないが、口にしたときにおかしいと気が付けるように味を確かめさせられるのは騎士なら皆通る道だ。
ラウールなら薬にも詳しいし教えられてると思ったのだが。
「師匠にさせられたのは口にした後に、どういった魔術を使えば効果を打ち消せるかっていうやつだけよ?」
首を傾げながら言うがその発言に耳を疑う。
「体調がおかしくなってから魔術を使うのか?」
「そう、あとは医務室に運ばれてきた人の状態を見てそれに適した魔術を使う訓練とか。
何かあったときに対応できるようにっていう魔術の訓練しかしてないわ」
事も無げに言うがその内容はおかしい。
普通は効果が出ないくらいの量で味を覚えさせるだけだ。
ラウールが側にいてすぐに治療を施せるからの方法だろうが。
自分の弟子になんて教え方をしているんだあいつは。
マリナがグラスに口を付ける。
一口だけ口に含んで味を確かめて飲み下す。
「本当ね、変わった味」
酒に詳しくなくても変わった味だとわかるような風味。
人によっては二口三口で効果が表れる。
じっとマリナの様子を見ているが今のところ変化はない。
ゆっくりと効果を確かめるように時間を置いて酒を口にしていく。
グラス二杯を飲み干したところでようやく変化が現れた。
「酔いやすいって言っていた意味がちょっとわかったかも」
グラスを置いてマリナが呟く。
「気分が悪かったりはしないか?」
「それは大丈夫だけど、なんかこの辺がふわふわする感じ」
自分の額の辺りを指しながら状態を説明する。
話しながらも酔いが回ってきたのかヴォルフの胸に凭れかかってきた。
酒のせいかいつもより高い熱を持った身体を摺り寄せてくる。
普段しない行為に水を飲ませるべきか悩む。
これ以上酔いが回るようなら水を飲ませようと考えて取りあえず様子を見る。
髪を絡ませて頭を撫でるとマリナが頭を動かしてヴォルフを見上げた。
「それ好き。 もっとして?」
わずかに目尻を下げた、甘い瞳がヴォルフを覗き込む。
「……!」
普段のマリナなら絶対に言わない台詞に息を呑んだ。
自身の言葉の破壊力を理解していないマリナは目を閉じて撫でられるのを待っている。
やっぱり飲まなくて正解だったな。
素面でなければ何をするかわからない。
強引にくちづけて、反応を知りたくなる。その反応にまた暴走しそうだ。
求められるままに撫でると嬉しそうに甘えて頭を擦り付けてくる。
耳元や首元を撫でるとくすぐったそうにしながらも嫌がる素振りはない。
撫でるのを止めると「もっと」とねだってくる。
信頼できる人間と飲めと言われてヴォルフを選んだことは嬉しいが、こうなってくると信頼が邪魔だ。
柔らかな身体を抱き止めて額にくちづけを落とす。
今度酒を飲んでいないときにこの分はやり返そう。
理性を壊すように背中に腕を回すマリナにそう思った。
マリナが差し出した酒を見て思わず苦い顔になる。
「ミリアム様がくれたの、信頼できる人と一緒に飲めって」
口ぶりから危ない物だという認識はあるようだ。
「本当に変わった令嬢だな」
人に贈る類の物ではない。
試せと言ったのなら効能も知っているのだろう。
そして俺の前に持ってくるマリナに頭が痛くなる。
「詳しい効能は知っているのか?」
「酔いやすくなるお酒だって言ってたけど。
素直になりやすくなるとも言ってたわね」
知っていて試す気なのか。
「これって少しでも効き目があるんでしょう?
混ぜられてもわかるように味を知っておくように、っていう意味でくれたんだと思う」
確かに特徴的な風味があるので、一度飲んだことがあれば余程酔っているか味覚が鈍くなければわかる。
グラスも用意してすぐに試すつもりのマリナに一言だけ注意をした。
「少しずつにしろよ」
一気に飲むのは危険だ。
真剣に注意するとマリナも神妙な顔で頷いて封を開けた。
並んだグラスふたつともに酒を注ごうとしたので止める。
「俺の分はいらない」
二人とも飲んだら注意を払う人間がいなくなるだろう。
どの程度酒が効くかもわからないので理性が働いていないと不安だった。
「ヴォルフも飲んだことあるの?」
マリナが不思議そうに聞く。
ヴォルフが好んでこういった酒を飲むように思えないと目が言っていた。
「ああ。 これに限らず怪しい効果を持つ酒や薬は一通り試された」
「え゛?」
驚きに顔を染めてヴォルフを見上げるマリナ。
そこまで驚くことか?
「お前もやってただろう?」
薬や酒に耐性を付けるまではしないが、口にしたときにおかしいと気が付けるように味を確かめさせられるのは騎士なら皆通る道だ。
ラウールなら薬にも詳しいし教えられてると思ったのだが。
「師匠にさせられたのは口にした後に、どういった魔術を使えば効果を打ち消せるかっていうやつだけよ?」
首を傾げながら言うがその発言に耳を疑う。
「体調がおかしくなってから魔術を使うのか?」
「そう、あとは医務室に運ばれてきた人の状態を見てそれに適した魔術を使う訓練とか。
何かあったときに対応できるようにっていう魔術の訓練しかしてないわ」
事も無げに言うがその内容はおかしい。
普通は効果が出ないくらいの量で味を覚えさせるだけだ。
ラウールが側にいてすぐに治療を施せるからの方法だろうが。
自分の弟子になんて教え方をしているんだあいつは。
マリナがグラスに口を付ける。
一口だけ口に含んで味を確かめて飲み下す。
「本当ね、変わった味」
酒に詳しくなくても変わった味だとわかるような風味。
人によっては二口三口で効果が表れる。
じっとマリナの様子を見ているが今のところ変化はない。
ゆっくりと効果を確かめるように時間を置いて酒を口にしていく。
グラス二杯を飲み干したところでようやく変化が現れた。
「酔いやすいって言っていた意味がちょっとわかったかも」
グラスを置いてマリナが呟く。
「気分が悪かったりはしないか?」
「それは大丈夫だけど、なんかこの辺がふわふわする感じ」
自分の額の辺りを指しながら状態を説明する。
話しながらも酔いが回ってきたのかヴォルフの胸に凭れかかってきた。
酒のせいかいつもより高い熱を持った身体を摺り寄せてくる。
普段しない行為に水を飲ませるべきか悩む。
これ以上酔いが回るようなら水を飲ませようと考えて取りあえず様子を見る。
髪を絡ませて頭を撫でるとマリナが頭を動かしてヴォルフを見上げた。
「それ好き。 もっとして?」
わずかに目尻を下げた、甘い瞳がヴォルフを覗き込む。
「……!」
普段のマリナなら絶対に言わない台詞に息を呑んだ。
自身の言葉の破壊力を理解していないマリナは目を閉じて撫でられるのを待っている。
やっぱり飲まなくて正解だったな。
素面でなければ何をするかわからない。
強引にくちづけて、反応を知りたくなる。その反応にまた暴走しそうだ。
求められるままに撫でると嬉しそうに甘えて頭を擦り付けてくる。
耳元や首元を撫でるとくすぐったそうにしながらも嫌がる素振りはない。
撫でるのを止めると「もっと」とねだってくる。
信頼できる人間と飲めと言われてヴォルフを選んだことは嬉しいが、こうなってくると信頼が邪魔だ。
柔らかな身体を抱き止めて額にくちづけを落とす。
今度酒を飲んでいないときにこの分はやり返そう。
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