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セレスタ 弟さんの結婚式編
失せ物探し 4
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馬が嘶き、激しい揺れと共に御者の怒鳴り声が聞こえた。
「…!!」
友人の叫び声が聞こえる。
自分自身は声を抑えるだけで精一杯だった。
揺れが治まり、馬車が完全に静止する。
不気味な静けさに車内が包まれた。
真っ先に私たちの身の安全を確認しに来るはずの御者が現れない。
カーテンを上げ外を確認するか迷う。
まさか物取りでもないだろうけれど、少しの怯えが扉を開けることを躊躇わせる。
友人と目を見合わせてどうしようかと問いかけたとき、訪いもなく扉が開いた。
「こんばんは」
場違いに楽しそうな声が響く。
天井に設置された灯りが扉を開けた人間の顔を照らす。
その顔を認識して口が開く。
「な、あなた…」
叫ぼうとした口は恐怖に凍りつき意味を成さない単語しか出ない。
いるはずのない人の姿に言葉を失いただ見つめるばかりでいると、彼女の視線が手の中の首飾りに向いた。
布に包まれ見えるはずのないそれを視界に収め、目元を和らげる。
気づかれている…!?予想できた答えに息を呑む。
言葉を発しない私たちに彼女の方が口を開いた。
「失礼しますね?」
無邪気に見える程の笑顔を見せ馬車に乗り込む。
扉を閉められ退路を断たれる。
広くはない馬車の中、彼女は向かいの席に腰を下ろした。
(え…?)
先程まで目の前に座っていた友人の姿が見えない。
扉が開くまでは確かにいた。
開いた扉の前には彼女がいたから出られるわけがない。
《…!》
混乱する耳に鳥の声が聞こえる。
こんな夜半に鳥の鳴き声…?
訝しみながらも彼女から視線をそらさずにいるとすっと目の前に小さな手を差し出された。
「可愛らしい小鳥ですね?」
泣き声の主らしい小鳥が彼女の指の上で鳴いている。
どうして鳥がこの馬車の中に…?
思考が纏まらずに呆然と小鳥を見つめた。
青い羽毛を持つ小鳥は私に向かってしきりに何かを訴えている。
木の実のような柔らかい茶色の瞳に既視感を受けるが、それが何かわからない。
…理解することを頭が拒否していた。
「愛らしい鳴き声ではありますけれど…」
ゆっくりと近づけられる指に小鳥との距離も近づいて行く。
「度の過ぎた悪戯を諌めることもせず同調するしかできないなら、ただ囀っている小鳥の方がましですね?」
与えられた真実に、飲み込んだ悲鳴が喉の奥で詰まったみたいに息が苦しくなった。
「…!!」
友人の叫び声が聞こえる。
自分自身は声を抑えるだけで精一杯だった。
揺れが治まり、馬車が完全に静止する。
不気味な静けさに車内が包まれた。
真っ先に私たちの身の安全を確認しに来るはずの御者が現れない。
カーテンを上げ外を確認するか迷う。
まさか物取りでもないだろうけれど、少しの怯えが扉を開けることを躊躇わせる。
友人と目を見合わせてどうしようかと問いかけたとき、訪いもなく扉が開いた。
「こんばんは」
場違いに楽しそうな声が響く。
天井に設置された灯りが扉を開けた人間の顔を照らす。
その顔を認識して口が開く。
「な、あなた…」
叫ぼうとした口は恐怖に凍りつき意味を成さない単語しか出ない。
いるはずのない人の姿に言葉を失いただ見つめるばかりでいると、彼女の視線が手の中の首飾りに向いた。
布に包まれ見えるはずのないそれを視界に収め、目元を和らげる。
気づかれている…!?予想できた答えに息を呑む。
言葉を発しない私たちに彼女の方が口を開いた。
「失礼しますね?」
無邪気に見える程の笑顔を見せ馬車に乗り込む。
扉を閉められ退路を断たれる。
広くはない馬車の中、彼女は向かいの席に腰を下ろした。
(え…?)
先程まで目の前に座っていた友人の姿が見えない。
扉が開くまでは確かにいた。
開いた扉の前には彼女がいたから出られるわけがない。
《…!》
混乱する耳に鳥の声が聞こえる。
こんな夜半に鳥の鳴き声…?
訝しみながらも彼女から視線をそらさずにいるとすっと目の前に小さな手を差し出された。
「可愛らしい小鳥ですね?」
泣き声の主らしい小鳥が彼女の指の上で鳴いている。
どうして鳥がこの馬車の中に…?
思考が纏まらずに呆然と小鳥を見つめた。
青い羽毛を持つ小鳥は私に向かってしきりに何かを訴えている。
木の実のような柔らかい茶色の瞳に既視感を受けるが、それが何かわからない。
…理解することを頭が拒否していた。
「愛らしい鳴き声ではありますけれど…」
ゆっくりと近づけられる指に小鳥との距離も近づいて行く。
「度の過ぎた悪戯を諌めることもせず同調するしかできないなら、ただ囀っている小鳥の方がましですね?」
与えられた真実に、飲み込んだ悲鳴が喉の奥で詰まったみたいに息が苦しくなった。
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