双翼の魔女は異世界で…!?

桧山 紗綺

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セレスタ 弟さんの結婚式編

待ち遠しく

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 戻ったらアデーレ様とクリスさんがお茶をしていた。
「あら、戻ってきたの? いいわね、乗馬デートなんて」
「楽しかったです」
 からかいには反応しないで素直な感想だけ言う。
 のんびりできたし楽しかった。
「素敵ですね…、私もアレクも乗馬はあまり得意でないので憧れます」
 クリスさんの台詞にアデーレ様が眉を寄せる。
「憧れる? ヴォルフは人に配慮しないで馬を飛ばすでしょう、ついて行ける人じゃないと楽しいという感想は持てないと思うわ」
 その言い方だとアデーレ様は置いて行かれたことがあるんだろう。
 聞くとその時のことを思い出したのか憤りに眉を寄せる。
「そのとおりよ。 いつも一人だけで走っていくから、私とアレクは置いてけぼりで迷子になったこともあったわ」
「まあ…」
 クリスさんも呆れた顔になった。子供の頃の事とはいえ、年長者が弟とご令嬢を置いていったらいけないと思う。
「マリナさんは乗馬の腕も優れていらっしゃるんですね!」
 アデーレ様の話を聞いてクリスさんの眼差しが尊敬に染まる。
「ついて行けるくらいには…。 乗馬を教えてもらったのはヴォルフにですから」
 まあ、と瞳を輝かせる。そんなロマンティックな話ではないんだけど、訓練だし。
 アデーレ様はその様子に想像がついたのか、何も言わずにお茶を口にする。
「おふたりは何の話をしていらしたのですか?」
 想像を壊すのも忍びなかったのでそれ以上追及されないように話題を変えた。
「私たちですか? 明日の衣装などについてです」
「楽しみだわ、明日のクリス様のドレス。
 やっぱり結婚式のドレスは特別よねえ」
 うっとりとした顔で話すアデーレ様。
「装飾品はお家に代々伝わる品なんでしょう? そういう逸品を見られる機会は限られているから嬉しいわ」
「ええ、母も嫁いできた時に身に着けた物なんです。
 嫁いでいくことになったら家に残さないといけない物だったから嬉しくて」
 伯爵家に代々伝わる品だから嫁ぎ先に持って行くことはできない。
 クリスさんはその品に思い入れがあったようでとても喜んでいた。
「どのような品なのですか?」
「首飾りです。 何代目かの当主が結婚式で奥様に送るために作った物だとか。
 軽いものですけれど守護の魔法が掛かっているんですよ」
 話を聞いてマリナも興味が出てきた。そんな貴重な物なら外に出せないのも頷ける。
 ドレスの詳細は教えてくれなかった、見てのお楽しみということらしい。
 期待が高まる。
 明日の披露宴が待ち遠しかった。
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