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セレスタ 帰還編
救出劇のその後で 3
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彼らが更なる忠誠を王子に誓ったところで解散となった。
明日からは普通に街を視察することになる。
マールアの工作員に関してはレグルスの騎士たちに任せるしかない。
男たちもいずれは釈放される。法に則った償いが済めば彼らはマールアに戻る。
わずかなりともマールアに王子たちの関与を疑わせてはいけない。
レグルスの騎士たちなら大丈夫だろう。
重要拠点を任されているだけあって、能力だけではなく内面の高潔さも認められた人たちが配備されているようだった。
何処かの見習いにも見習ってほしい。一朝一夕で真似できるものではないけれど。
「マリナ、返すよ」
王子がマリナに魔道具を手渡す。
「しかしこんな使い方ができる魔道具とは思わなかった」
マリナも作ったときはここまで有用な物だとは思わなかった。
「正直に言えば私も驚いています」
詳しい位置が補足出来れば騎士団や魔術師が連携するときに楽かと思っただけなのに。
作ってみたらそれ以外の使用法があった。
魔道具を基点にして魔法を放つなんて、普通できると思わない。
そして多分王宮魔術師でも数人しか使えない。それでも十分な脅威を持つ代物だった。
今回は光を発しただけだけれど、情報を素早く送ることが出来た。
けれどそれが攻撃的な魔法だったら…、そう考えるとその恐ろしさがよくわかる。
あくまで補足できる範囲に限ってのことだけれど、遠く離れた場所を攻撃することも出来る技術は危険過ぎた。
ましてマリナはこの魔道具を小さくすることに成功している。
この技術の存在をマールアなどに知られたら…。きっと躍起になって手に入れようと画策するだろう。
「帰ったら魔術師長に報告に行きます」
こんな物を作ってしまったら報告は必須。
危険過ぎるので王宮魔術師にも一部を除いて秘匿されることになるだろう。
今の時点では使える人間も限られているけれど、将来はわからない。
根拠もなく大丈夫なんて口にしたくなかった。
魔道具を仕舞ったところで扉を叩く音が聞こえた。
「侯爵、すまないね、締め出したみたいで」
事実そうだと思ったけれど黙っておく。
「いえいえ、部外者に聞かせられない話があるのは当然ですからな」
わかっていると鷹揚に侯爵が肯く。
結果だけなら話せるけれど、侯爵を煩わせるのも悪いと思ったのか王子は何も言わずに話を変えた。
「明日はまたレグルスの視察に出るつもりだ。 案内を頼む」
「かしこまりました」
王子に頭を下げた侯爵は顔を上げるとマリナに声を掛けた。
「今日は大変でしたな。 マリナさんが一人で犯人を追いかけたと聞いたときは驚きました」
「それは、ご心配をおかけしました」
「何、私の心配など無用だったようです。 王子もヴォルフもあなたが危険だとは微塵も考えていなかった。
双翼の魔術師を甘く見るなと叱られてしまいましたよ」
「それは…」
いくら親子とはいえそんな言い方をしたのかと思っていると侯爵が王子を見る。
視線を追うと王子が少しばつが悪そうに視線を逸らしていた。
信じられないけど王子が…?
驚きに王子を見つめると、さすがにそんな言い方はしてないと弁明する。
認めてもらうことは照れ臭いけどうれしい。
ありがとうございます、と言うと王子の方が顔を赤くしていた。
侯爵が部屋を出ようとした時ちょうどヴォルフが戻って来た。
わずかに空気が緊張する。それを破ったのはヴォルフの方。
「親父、ちょっといいか?」
「どうした、珍しいな」
片眉を上げて驚きの表情を作る侯爵。
対するヴォルフは無表情で部屋の外を指す。
外で話そうということだ。
マリナも行った方が良いのかと思ったけれどヴォルフが視線で止めるので黙っていた。
二人だけで話したいこともあるんだろう。
(家族、か…)
父親の姿が一瞬だけちらついたけど、振り払って頭から消した。
明日からは普通に街を視察することになる。
マールアの工作員に関してはレグルスの騎士たちに任せるしかない。
男たちもいずれは釈放される。法に則った償いが済めば彼らはマールアに戻る。
わずかなりともマールアに王子たちの関与を疑わせてはいけない。
レグルスの騎士たちなら大丈夫だろう。
重要拠点を任されているだけあって、能力だけではなく内面の高潔さも認められた人たちが配備されているようだった。
何処かの見習いにも見習ってほしい。一朝一夕で真似できるものではないけれど。
「マリナ、返すよ」
王子がマリナに魔道具を手渡す。
「しかしこんな使い方ができる魔道具とは思わなかった」
マリナも作ったときはここまで有用な物だとは思わなかった。
「正直に言えば私も驚いています」
詳しい位置が補足出来れば騎士団や魔術師が連携するときに楽かと思っただけなのに。
作ってみたらそれ以外の使用法があった。
魔道具を基点にして魔法を放つなんて、普通できると思わない。
そして多分王宮魔術師でも数人しか使えない。それでも十分な脅威を持つ代物だった。
今回は光を発しただけだけれど、情報を素早く送ることが出来た。
けれどそれが攻撃的な魔法だったら…、そう考えるとその恐ろしさがよくわかる。
あくまで補足できる範囲に限ってのことだけれど、遠く離れた場所を攻撃することも出来る技術は危険過ぎた。
ましてマリナはこの魔道具を小さくすることに成功している。
この技術の存在をマールアなどに知られたら…。きっと躍起になって手に入れようと画策するだろう。
「帰ったら魔術師長に報告に行きます」
こんな物を作ってしまったら報告は必須。
危険過ぎるので王宮魔術師にも一部を除いて秘匿されることになるだろう。
今の時点では使える人間も限られているけれど、将来はわからない。
根拠もなく大丈夫なんて口にしたくなかった。
魔道具を仕舞ったところで扉を叩く音が聞こえた。
「侯爵、すまないね、締め出したみたいで」
事実そうだと思ったけれど黙っておく。
「いえいえ、部外者に聞かせられない話があるのは当然ですからな」
わかっていると鷹揚に侯爵が肯く。
結果だけなら話せるけれど、侯爵を煩わせるのも悪いと思ったのか王子は何も言わずに話を変えた。
「明日はまたレグルスの視察に出るつもりだ。 案内を頼む」
「かしこまりました」
王子に頭を下げた侯爵は顔を上げるとマリナに声を掛けた。
「今日は大変でしたな。 マリナさんが一人で犯人を追いかけたと聞いたときは驚きました」
「それは、ご心配をおかけしました」
「何、私の心配など無用だったようです。 王子もヴォルフもあなたが危険だとは微塵も考えていなかった。
双翼の魔術師を甘く見るなと叱られてしまいましたよ」
「それは…」
いくら親子とはいえそんな言い方をしたのかと思っていると侯爵が王子を見る。
視線を追うと王子が少しばつが悪そうに視線を逸らしていた。
信じられないけど王子が…?
驚きに王子を見つめると、さすがにそんな言い方はしてないと弁明する。
認めてもらうことは照れ臭いけどうれしい。
ありがとうございます、と言うと王子の方が顔を赤くしていた。
侯爵が部屋を出ようとした時ちょうどヴォルフが戻って来た。
わずかに空気が緊張する。それを破ったのはヴォルフの方。
「親父、ちょっといいか?」
「どうした、珍しいな」
片眉を上げて驚きの表情を作る侯爵。
対するヴォルフは無表情で部屋の外を指す。
外で話そうということだ。
マリナも行った方が良いのかと思ったけれどヴォルフが視線で止めるので黙っていた。
二人だけで話したいこともあるんだろう。
(家族、か…)
父親の姿が一瞬だけちらついたけど、振り払って頭から消した。
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