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セレスタ 帰還編
救出劇の裏側で 1
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レグルスの騎士団に事情の説明をしていた近衛騎士たちが帰ってきた。
「どうだった?」
ディルクの問いにギュンターが渋い顔で答える。
「やっぱり、爆発の原因は魔道具で間違いないな。
原因になった魔道具が工房内にないことから事件の可能性があると考えて捜査を始めるってよ」
「そうか…」
そこまでは想像通りだった。
「で、探知機を使って簡易検査をしてたんだがな…」
聞くと魔力の痕跡が街の外に向かって残ってるらしい。
「爆発した物ではなく、わざと魔力が残るようにした魔道具じゃないかというのが検査した騎士の話だ。
ただ、街道の先で途切れてしまったのでそれ以上はわからない」
レグルスの騎士たちは爆発に技師が関与していようといまいと何らかの事情を知っているとみて技師を探すという。
それはこちらの目的とも合致している。
「マリナは多分その魔道具を感知して追いかけて行ったんだな」
そんな特殊な魔道具が存在するとは、技師のオリジナルだろうか。
何故そんな物を作ろうと思ったのか不明だが、助かった。
方向がわかれば捜査範囲が狭まる。
「騎士団との話はどうなっている?」
レグルス近郊の地図を広げながら聞く。
近衛騎士たちが表立って捜査をするわけにはいかない。
領分を侵されるのは向こうも不快だろうし、こちらもあまり堂々とは動けない身だ。
協力体制が築ければそれに越したことはないのだが、部外者が入ってくるのを好まない者もいる。
「そちらは問題ありません。 私たちの目的は説明してありますが、協力を惜しまないとのことです」
ジークが根回しは済んでいると答えた。
「それなら彼らと行動した方が話が早そうだな」
それなら騎士団の詰所に行こうかと腰を上げる王子をギュンターが止める。
「大丈夫ですよ、連絡要員がこちらに来ることになってるんで。
王子はここにいてください」
即座に出て行こうとした王子を慌てて止める近衛たちを横目に地図を睨みつける。
「街道をどちらに行ったかだな…」
どちらに行っても国境沿いの街に出る。左に行けば友好国のフレスがあり、右に行けば双子国家と呼ばれるソルガイアがある。
レグルスから北に街道を進んだなら、このどちらかに行ったと考えるのが自然だった。
(右に向かってるとしたらやっかいだな…)
双子国家と呼ばれるソルガイアは二つの小国が合併と分裂を繰り返している国だ。
同じ王家から別れた国同士、王の仲がいいときは合併に積極的で関係が悪化すると分裂する。
名前がころころ変わるので周辺国からは一纏めに双子国家ソルガイアと呼ばれていた。
どちらもセレスタとの関係は良好だが、問題はその奥にある国―――。
砂と水の国マールア。
広い大地を持ち、国土の一部にある砂漠からは稀少な鉱物や宝石が採れ、それらを輸出することによって栄えている。
王都には豊富な水資源があり、水の神に愛された都として有名な観光地だ。
セレスタとは表面的には友好的な態度を取っているが、水面下ではセレスタの魔法技術を狙ったり、騎士団の戦力を探ったりと何かときな臭い動きをしている。
ソルガイアを間に挟んでいるため、実質的には二国を挟んでいると言ってよく、関係は浅い。
事あるごとに国力を測ろうとするマールアの態度には不快と不信を覚えるばかりだ。
ソルガイアに向かったのならマールアの人間ということも考えられた。
「どうだった?」
ディルクの問いにギュンターが渋い顔で答える。
「やっぱり、爆発の原因は魔道具で間違いないな。
原因になった魔道具が工房内にないことから事件の可能性があると考えて捜査を始めるってよ」
「そうか…」
そこまでは想像通りだった。
「で、探知機を使って簡易検査をしてたんだがな…」
聞くと魔力の痕跡が街の外に向かって残ってるらしい。
「爆発した物ではなく、わざと魔力が残るようにした魔道具じゃないかというのが検査した騎士の話だ。
ただ、街道の先で途切れてしまったのでそれ以上はわからない」
レグルスの騎士たちは爆発に技師が関与していようといまいと何らかの事情を知っているとみて技師を探すという。
それはこちらの目的とも合致している。
「マリナは多分その魔道具を感知して追いかけて行ったんだな」
そんな特殊な魔道具が存在するとは、技師のオリジナルだろうか。
何故そんな物を作ろうと思ったのか不明だが、助かった。
方向がわかれば捜査範囲が狭まる。
「騎士団との話はどうなっている?」
レグルス近郊の地図を広げながら聞く。
近衛騎士たちが表立って捜査をするわけにはいかない。
領分を侵されるのは向こうも不快だろうし、こちらもあまり堂々とは動けない身だ。
協力体制が築ければそれに越したことはないのだが、部外者が入ってくるのを好まない者もいる。
「そちらは問題ありません。 私たちの目的は説明してありますが、協力を惜しまないとのことです」
ジークが根回しは済んでいると答えた。
「それなら彼らと行動した方が話が早そうだな」
それなら騎士団の詰所に行こうかと腰を上げる王子をギュンターが止める。
「大丈夫ですよ、連絡要員がこちらに来ることになってるんで。
王子はここにいてください」
即座に出て行こうとした王子を慌てて止める近衛たちを横目に地図を睨みつける。
「街道をどちらに行ったかだな…」
どちらに行っても国境沿いの街に出る。左に行けば友好国のフレスがあり、右に行けば双子国家と呼ばれるソルガイアがある。
レグルスから北に街道を進んだなら、このどちらかに行ったと考えるのが自然だった。
(右に向かってるとしたらやっかいだな…)
双子国家と呼ばれるソルガイアは二つの小国が合併と分裂を繰り返している国だ。
同じ王家から別れた国同士、王の仲がいいときは合併に積極的で関係が悪化すると分裂する。
名前がころころ変わるので周辺国からは一纏めに双子国家ソルガイアと呼ばれていた。
どちらもセレスタとの関係は良好だが、問題はその奥にある国―――。
砂と水の国マールア。
広い大地を持ち、国土の一部にある砂漠からは稀少な鉱物や宝石が採れ、それらを輸出することによって栄えている。
王都には豊富な水資源があり、水の神に愛された都として有名な観光地だ。
セレスタとは表面的には友好的な態度を取っているが、水面下ではセレスタの魔法技術を狙ったり、騎士団の戦力を探ったりと何かときな臭い動きをしている。
ソルガイアを間に挟んでいるため、実質的には二国を挟んでいると言ってよく、関係は浅い。
事あるごとに国力を測ろうとするマールアの態度には不快と不信を覚えるばかりだ。
ソルガイアに向かったのならマールアの人間ということも考えられた。
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