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セレスタ 帰還編
待機
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空腹を堪えて屋根で休んでいると再度窓を叩いて呼ばれる。
不安なのか黙って待ってはいられないらしい、無理もないかな。
「君は魔術師だろ? どこから来たんだ?」
「今は名乗れませんが、あなたの技術がおもしろいと聞いて見に来ました」
勧誘しにきたのは隠すことでもないので話しておく。
恩に着て素直に勧誘されてくれると助かる。
「ずいぶん魔力量が多いみたいだから、王宮魔術師とか?」
探りを入れる技師に笑って答える。
「あなたの救出が無事終われば改めて挨拶申し上げます」
今ここで正直に答えるわけにはいかない。男たちが様子を見に来た時にぽろっと零されたら困る。万が一マリナの存在が知られたら、危険なのは技師の方だ。
「へぇ…、本当に国から来たんだ」
否定しなかったマリナの言葉を肯定と受け取った技師が呟く。
国から勧誘が来るなんて僕も有名になったなー、と嬉しそうにしてる。
「昨日工房の周りを歩いていたのは君だろ?」
「…よくわかりましたね」
男たちを警戒していたにしてもよく気付いたと思っていると技師が得意気に答える。
「探知だけは得意なんだ」
本当は魔術師になりたかったけど魔力の制御が苦手で断念し、技師になったと言う。
聞いてもいないのによくしゃべる。
空腹が紛れるので黙って聞いていた。
魔石加工の注意点や魔道具に組み込む際の工夫の話は聞いていておもしろい。
救出されたら個人的にも詳しく話を聞きたいと思う。
それにしても男たちはどうして彼に目を付けたのだろうか。
セレスタにとっても画期的な技術を有していると知っていたのか、それともたまたま彼だったのか。
王宮からも勧誘が来るような技師だと思っていたのなら、男たちの装備はお粗末だった。
さっきもマリナはレグルスに向かってけっこうな魔力を飛ばした。魔法をある程度警戒していたなら気づかないのはおかしい。
騎士団が捜査するときも魔道具は当たり前に使う。
魔力を感知する魔道具や自身の魔力を遮断する魔道具を持っていないなんてあまり考えられない。
追いかけられることを想定していないなら相当の自信家だった。
「ところでさ、疲れないの?」
技師がマリナを見て呆れともつかない表情を浮かべる。
すでに一時間以上宙に浮いたままでいた。
屋根の上では声が聞こえないので窓の前に浮いているのに、しゃべり続けた人の台詞とは思えない。
「大丈夫ですよ」
制御が苦手だと言っていたので空中に静止しているのが信じられないようだ。
マリナの答えに驚愕の表情を浮かべる。
「王宮魔術師ってすごいんだね…」
「そうですね、大体これくらいはみんな出来ます」
そろそろ限界の人はいるだろうけれど、一時間くらいならほとんどの人ができると思う。
儀式で長時間魔力を流し続けることもあるし。
長く一定の魔力を発する訓練もしているはずだ。
結界を個人の魔力だけで張ったりするのも見たことがあった。
個人差があるので、長く続けるよりも一瞬で強固な物を張る方が得意な人も勿論いる。
ただ有事の際に苦手だから出来ないなどと言ってられないので、苦手でも最低限このくらいは出来た。
そう言うと技師は衝撃を受けたように仰け反った。大げさな。
ふらつきながらも空中に留まることは出来るといったつもりのマリナは、技師が盛大に勘違いしたことに気が付かなかった。
不安なのか黙って待ってはいられないらしい、無理もないかな。
「君は魔術師だろ? どこから来たんだ?」
「今は名乗れませんが、あなたの技術がおもしろいと聞いて見に来ました」
勧誘しにきたのは隠すことでもないので話しておく。
恩に着て素直に勧誘されてくれると助かる。
「ずいぶん魔力量が多いみたいだから、王宮魔術師とか?」
探りを入れる技師に笑って答える。
「あなたの救出が無事終われば改めて挨拶申し上げます」
今ここで正直に答えるわけにはいかない。男たちが様子を見に来た時にぽろっと零されたら困る。万が一マリナの存在が知られたら、危険なのは技師の方だ。
「へぇ…、本当に国から来たんだ」
否定しなかったマリナの言葉を肯定と受け取った技師が呟く。
国から勧誘が来るなんて僕も有名になったなー、と嬉しそうにしてる。
「昨日工房の周りを歩いていたのは君だろ?」
「…よくわかりましたね」
男たちを警戒していたにしてもよく気付いたと思っていると技師が得意気に答える。
「探知だけは得意なんだ」
本当は魔術師になりたかったけど魔力の制御が苦手で断念し、技師になったと言う。
聞いてもいないのによくしゃべる。
空腹が紛れるので黙って聞いていた。
魔石加工の注意点や魔道具に組み込む際の工夫の話は聞いていておもしろい。
救出されたら個人的にも詳しく話を聞きたいと思う。
それにしても男たちはどうして彼に目を付けたのだろうか。
セレスタにとっても画期的な技術を有していると知っていたのか、それともたまたま彼だったのか。
王宮からも勧誘が来るような技師だと思っていたのなら、男たちの装備はお粗末だった。
さっきもマリナはレグルスに向かってけっこうな魔力を飛ばした。魔法をある程度警戒していたなら気づかないのはおかしい。
騎士団が捜査するときも魔道具は当たり前に使う。
魔力を感知する魔道具や自身の魔力を遮断する魔道具を持っていないなんてあまり考えられない。
追いかけられることを想定していないなら相当の自信家だった。
「ところでさ、疲れないの?」
技師がマリナを見て呆れともつかない表情を浮かべる。
すでに一時間以上宙に浮いたままでいた。
屋根の上では声が聞こえないので窓の前に浮いているのに、しゃべり続けた人の台詞とは思えない。
「大丈夫ですよ」
制御が苦手だと言っていたので空中に静止しているのが信じられないようだ。
マリナの答えに驚愕の表情を浮かべる。
「王宮魔術師ってすごいんだね…」
「そうですね、大体これくらいはみんな出来ます」
そろそろ限界の人はいるだろうけれど、一時間くらいならほとんどの人ができると思う。
儀式で長時間魔力を流し続けることもあるし。
長く一定の魔力を発する訓練もしているはずだ。
結界を個人の魔力だけで張ったりするのも見たことがあった。
個人差があるので、長く続けるよりも一瞬で強固な物を張る方が得意な人も勿論いる。
ただ有事の際に苦手だから出来ないなどと言ってられないので、苦手でも最低限このくらいは出来た。
そう言うと技師は衝撃を受けたように仰け反った。大げさな。
ふらつきながらも空中に留まることは出来るといったつもりのマリナは、技師が盛大に勘違いしたことに気が付かなかった。
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