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セレスタ 帰還編
災い転じて 2
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表情を硬くしたのを見てマリナ様が柔らかく笑う。
そんな表情も出来るのだと驚く。
「それほど硬くならずとも大丈夫ですよ。
先程はああ言いましたが、彼を厳罰に処するつもりはありませんから」
少しは自分の問題行動を意識してもらうように厳しい言い方をしただけで、上官に注意をして終わりにするつもりだと言う。
従兄弟の夢が断たれなかったことにほっとするけれど、彼はこれからより厳しい訓練を課されるだろうと思うと心配になる。
シャルロッテの表情に気が付いたマリナ様が安心させるように微笑む。
「シャルロッテ様はお優しいですね。 大丈夫ですよ、彼は少し自棄になっているだけですので、落ち着いたら自分を顧みて態度を改めるでしょう」
確信に満ちたマリナ様の台詞に困惑する。
困惑のまま瞳を見返すと悪戯っぽく笑った。
「彼には言わないでくださいね?」
従妹に知られてると思ったら恥ずかしいでしょうから、と囁くマリナ様にシャルロッテは黙って頷く。
従兄弟があんな態度を取った理由が気にかかった。
「彼には騎士団に入ってからずっと憧れている方がいたのですが、最近振られてしまったのですよ」
驚きに口が開く。
間抜けな顔に慌てて手で口元を押さえる。
「それも彼の自業自得といえばそうなのですがね。
騎士に叙任されたら告白をしようとしていたくらいには真剣な想いだったようで…」
全然知らなかった。
「そんな時に恋人に会いに来たシャルロッテ様を見て、つい八つ当たりをしてしまったんでしょう」
「八つ当たり…」
先日の自分みたい。
「シャルロッテ様が気に病むことではありませんよ。
先ほども言いましたが、これまでの彼の言動のせいですから」
マリナ様の言葉に思わず問い返す。
「あの、本当ですの? 彼が、その、女性に対して失礼な発言をしていたというのは…」
「ええ、女官の間では少々有名な話になっています」
頭を抱えたくなった。それは振られて当然だ。
「まあ、王宮で働く女性も慣れていますから、酒場での男同士の話なら見逃したんでしょうが…」
王宮の廊下でそれをやられたら聞き逃すことは不可能ですよね、と言われて額に手を当てる。
本当に。叔父様に注意されるのは当然じゃないの。
「マリナ様には重ね重ねご迷惑をおかけしますわ」
自分のやったことだけでも失礼なことなのに従兄弟の暴言まで重なっては平謝りするしかない。
「今日のことはシャルロッテ様の咎ではありませんのでお気になさらず」
そういえば彼が気になることを言っていた。
「マリナ様に彼との婚約の打診があったのですか?」
「ええ、彼の父親である子爵様から補佐できる伴侶を得た方が良いのでは…と打診されましたね」
驚きに目を見開く。叔父がそんな大それた望みを抱いていたなんて。
「話をいただいたときにはヴォルフと話が纏まっていたので断ったのですが」
噂が流れる前のことでしたしねー、と言うマリナ様。
立場を考えたら軽はずみに言えることでもないのでしょうね。
失礼かと思ったけれど聞いてみることにした。
「噂は本当なのですか?」
「噂?」
噂と聞いてマリナ様が眉間に皺を寄せる。
慌てて言い直した。
「おふたりが付き合っているという方ですわ!」
そういえば他にも流れている噂があったと思い出す。
なんて失礼なことを聞いたのかと慌てるシャルロッテにマリナ様が笑う。
「失礼しました、シャルロッテ様がそんな低俗なことを聞くなどありませんよね」
言い直されて顔を赤らめる。
訂正したというのはその噂を知っていると暴露したようなものだった。
そんな表情も出来るのだと驚く。
「それほど硬くならずとも大丈夫ですよ。
先程はああ言いましたが、彼を厳罰に処するつもりはありませんから」
少しは自分の問題行動を意識してもらうように厳しい言い方をしただけで、上官に注意をして終わりにするつもりだと言う。
従兄弟の夢が断たれなかったことにほっとするけれど、彼はこれからより厳しい訓練を課されるだろうと思うと心配になる。
シャルロッテの表情に気が付いたマリナ様が安心させるように微笑む。
「シャルロッテ様はお優しいですね。 大丈夫ですよ、彼は少し自棄になっているだけですので、落ち着いたら自分を顧みて態度を改めるでしょう」
確信に満ちたマリナ様の台詞に困惑する。
困惑のまま瞳を見返すと悪戯っぽく笑った。
「彼には言わないでくださいね?」
従妹に知られてると思ったら恥ずかしいでしょうから、と囁くマリナ様にシャルロッテは黙って頷く。
従兄弟があんな態度を取った理由が気にかかった。
「彼には騎士団に入ってからずっと憧れている方がいたのですが、最近振られてしまったのですよ」
驚きに口が開く。
間抜けな顔に慌てて手で口元を押さえる。
「それも彼の自業自得といえばそうなのですがね。
騎士に叙任されたら告白をしようとしていたくらいには真剣な想いだったようで…」
全然知らなかった。
「そんな時に恋人に会いに来たシャルロッテ様を見て、つい八つ当たりをしてしまったんでしょう」
「八つ当たり…」
先日の自分みたい。
「シャルロッテ様が気に病むことではありませんよ。
先ほども言いましたが、これまでの彼の言動のせいですから」
マリナ様の言葉に思わず問い返す。
「あの、本当ですの? 彼が、その、女性に対して失礼な発言をしていたというのは…」
「ええ、女官の間では少々有名な話になっています」
頭を抱えたくなった。それは振られて当然だ。
「まあ、王宮で働く女性も慣れていますから、酒場での男同士の話なら見逃したんでしょうが…」
王宮の廊下でそれをやられたら聞き逃すことは不可能ですよね、と言われて額に手を当てる。
本当に。叔父様に注意されるのは当然じゃないの。
「マリナ様には重ね重ねご迷惑をおかけしますわ」
自分のやったことだけでも失礼なことなのに従兄弟の暴言まで重なっては平謝りするしかない。
「今日のことはシャルロッテ様の咎ではありませんのでお気になさらず」
そういえば彼が気になることを言っていた。
「マリナ様に彼との婚約の打診があったのですか?」
「ええ、彼の父親である子爵様から補佐できる伴侶を得た方が良いのでは…と打診されましたね」
驚きに目を見開く。叔父がそんな大それた望みを抱いていたなんて。
「話をいただいたときにはヴォルフと話が纏まっていたので断ったのですが」
噂が流れる前のことでしたしねー、と言うマリナ様。
立場を考えたら軽はずみに言えることでもないのでしょうね。
失礼かと思ったけれど聞いてみることにした。
「噂は本当なのですか?」
「噂?」
噂と聞いてマリナ様が眉間に皺を寄せる。
慌てて言い直した。
「おふたりが付き合っているという方ですわ!」
そういえば他にも流れている噂があったと思い出す。
なんて失礼なことを聞いたのかと慌てるシャルロッテにマリナ様が笑う。
「失礼しました、シャルロッテ様がそんな低俗なことを聞くなどありませんよね」
言い直されて顔を赤らめる。
訂正したというのはその噂を知っていると暴露したようなものだった。
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