ストケシア

桧山 紗綺

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話の出所

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「そんなことがあったのか…」
  グレイとシアは公園で並んで話をしていた。
 「はい、すごい剣幕でした」
  肩を落とすシアを抱き寄せる。恥じらいながらもグレイの手に逆らわない。
 「しかし、おかしいな…。 誰から聞いたんだ?」
  グレイはこの件について誰にも話していない。
 「え? 誰にも話さなかったんですか?」
  話を知るものがいないはずだと言うグレイにシアが驚く。
 「ああ、父や弟には話しておこうと思ったんだが、機会がなくてな。
  それに……、今はシアと話さなければならないことの方が多い」
 「わたしと?」
 「どれだけ俺が君のことを好きで、君が俺のことをどう思っているか、とか」
  好き―――。ただそれだけの言葉が二人の間には足りない。
  言葉を交わす時間を大切にしたい。まだお互いの気持ちを知ってからわずかで、気持ちを確かめあう時間すらなかった。
 「今は、君といろいろなことを話したい。 もっとシアのことを知りたい。 俺のことを知ってほしい。」
  グレイの言葉にシアも頬を染めて頷く。
  自分の気持ちに気づいてから数日。
  シアがグレイの想いを知ってから数日。
  足りない時間を瞳と言葉で補うように二人はお互いを見つめ、想いを伝え合った。

 
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