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第二章:ライバルギルドバトル編

37.グランロードの正体

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 「どうやら多少はレベルアップしたようだが、戦闘の技術、魔力の使い方なんかはまだまだのようだな?これなら簡単に復讐が果たせそうだ。それに、この身体を気遣ってか、パワーも出せないようだしな?」
 
 ……今ので結構見破られてた。
 なるほど、前回と違って僕をしっかり分析しながら戦うってわけだ。
 これは、普通の二戦目と思わないほうがいいね。
 深呼吸を二回してから前回買勝ったという気持ちをリセットして……挑戦者の気持ちになる。

 「オーケー……もう再戦とは思わないよ。こっからは初戦のきぶぉ!」
 
 キメ台詞を言ってるときに突然、ヴァノに横っ腹をドス!っとやられた。
 こ、これは無防備でやられるとマジで痛いんですけど……?
 ひ、人がかっこつけてるときに邪魔してくるとは……!
 あ、獣"人"だけど人じゃないか。

 「ググ……な、なにすんのさ!」
 「だーかーら、お前は何もすんなって言ってんだろ」
 「言ってないし!共同戦線するって言ったじゃん!」
 「そうだったか?なら、それはナシな。だいたい、この俺がなぜお前みたいな子供と手を組まにゃならない?」

 この……!自分の都合がいいように記憶を書き換えてるのか?
 だめだ。いくらヴァンの兄とはいえ、共同戦線どころか、最悪僕にまで攻撃しそうだ。
 仕方ない……

 「僕と戦いたかったらコイツと戦って勝てたらね?」
 「な……!?俺は今すぐお前を……」
 「このままだと戦いの邪魔されそうだし、それどころか僕にまで容赦なく攻撃してくる……でしょ?」

 チラッとヴァノを見れば、フッと鼻で笑った。
 うわ、クッソムカつく!

 「よくわかってるじゃないか。俺には手助けなんざいらないんだ」

 ほら、やっぱり。
 でも、みんなが天才天才言うから、こういうことを言うようになったんじゃないかという可能性もあるんだよねぇ。
 っていうか、あんなのと一緒にいたら僕の心まで歪んじゃいそうで怖いわ。

 「だ、そうだから」
 「チッ!まぁいいだろう。貴様からやってやる。いざとなったら必要になるだろうからな」
 「それはない。お前は俺の手によって消えるのだから……な!」

 ヴァノが先に動き出し、さっきとは比べ物にならない速さでジャドー攻撃していき、ジャドーはそれを防ぐことで手一杯で攻撃に移すことができないようだ。
 もちろん隙あらば打撃攻撃や魔法で攻撃しようとしているけど、それはすぐに流されたり他方向に弾かれたりでダメージを与えられてはいない。
 アレを見て思う。たしかに戦闘に関して"だけ"は天才的だと。
 チラッと他のみんなを見れば、マスターといえど大苦戦している。一匹ならまだしも、数えきれないほどたくさんとなると、やっぱりマスターでもキツイか。
 待つだけなのはアレだし、あのドラゴン達を操るグランロード……か。あいつと戦っておいたほうがいいか。聞きたいこともあるし、なぜかチラチラとこっちを見てるし。
 とはいえ、相手は空を飛んでいる。ヴァンみたく風を使って飛べないから、《ドラゴン化》で戦うしかない。……んだけど、僕は特訓で飛べるようになっただけで、まだドラゴンの姿で戦えるようにはなってないんだよね。
 まずは近づいて……グランヴァルツに交代するしかないかな。
 っと、その前に……
 《フェンリル呼び》を乗せて指笛を鳴らす。
 みんなの戦いに加勢してほしいんだけど……これでまた来てくれるのかな?
 そう思っていたら、コロシアムの外の方からドドドドドドドドドという地響きがありそうな地を蹴る音が聞こえる。
 そして、たくさんのフェンリルがステージの前に並ぶ。
 まさに圧巻だよ。

 「呼んだか、主よ」
 「うん、たくさんのドラゴンがいるでしょ?僕はその大将と戦うから、仲間の加勢をしてほしいんだ」
 「これは……なかなか壮観だな」

 だよねぇ。
 こんなの、向こうの世界じゃ絶対見れない光景だしね。異世界ならではって感じ。

 「まかせろ。魔王クラスでなければ、以前のようにはならん」
 「うん、お願いね」

 フェンリル達は遠吠えした後、ドラゴン達に向かって、そのするどい牙を向ける。
 さて、僕も行かないと。
 ドラゴンに変化してから自分の身体を見てみる。
 赤い鱗に包まれた大きいトカゲのようなタイプ……坑道で見たグランヴァルツが子供になったような姿だ。
 うん、やっぱりドラゴンってかっこいいよね。最初は直面したら怖いだろうけど。
 っと、そんなこと考えてる場合じゃないや。
 子供ながら大きな翼で羽ばたき、文字通り高みの見物をしているグランロードに近づく。

 「おや、私の相手は君かな?見ていたが、獣人がドラゴンになれるとはすばらしい」
 「……戦う前に聞きたいんだけど」
 「冥土の土産にかな?言ってみなさい」

 僕が子供だからって余裕じゃないか……
 まぁいい。今聞きたいのは……

 「なんで人間に近い姿をしてんの?この世界に人間はいないって聞いてるんだけど?」
 「ほぅ、人間の存在を知ってるような質問ですね?答えは簡単。私は元・人間だから」

 ……はい?
 今、元は人間だと?

 「ちょ、どういうこと!?異世界から転移でもしてきたとでもいうの!?」
 「……ふ。浅はかな考えだ」
 「え?」
 「今のお前達獣人にどのように伝わってるのかは知らないが、昔は人間と獣人は共存していたのだ。そして、私は人間から魔族に生まれ変わったのだ」

 人間と獣人が共存していた?
 たしか、ヴァンから聞いたときは人間は昔話っていうかおとぎ話の存在……つまり、向こうの世界でいえば二次元の存在だったはず。
 そんなの、近い過去なら今も伝わってるはず……てことは、歴史が歪むくらいの大昔の話ってことになる。
 でも、それだとかなりの長寿ってことになるよ?
 
 「フフフ、信じられないって顔をしてますね。では、なぜ人間だった私が魔族になったかわかるかな?」
 「え?し、死んだから?」
 「ふ、自ら望んだからだ」

 自ら望んだ!?
 それって……人間に対する裏切り行為なんじゃ?
 っていうか、なんで獣人じゃなくて魔族なんだろ?

 「なんで獣人じゃなくて魔族なの?なんで人間や獣人を裏切ってまで敵である魔族に!?」
 「だって美しいじゃないか」
 「美しい?」
 「人間や獣人には到底手に入れられない高い魔力や明らかに長生きできる長寿、多種多様の種族と姿がある。その中でもドラゴンは素晴らしい!力強さがあるのに魔力も高い。空も飛べ、知能も高い!ハーッハッハッハ!!」
 
 お、おおう……ものすごい熱く語ってくるな……
 魔族となったからには、家族とも別れるどころか絶縁、死に別れをしてるはずなのに……後悔を一片も悔やまないとは……
 なんだか、元人間としてはコイツ、嫌いだな。魔族とか以前に。

 「こっちは答えた。こっちの質問にも答えてもらおうか」
 「なに?」
 「君は人間という種族を知っているようだが、どこまで知っている?」
 「……この世界の人間の事は全く知らない。僕は異世界の人間からの転生者だからね」
 「ほう?」

 な、なに?急に怪しい笑いをしだして……
 
 「なんだかんだ言っても君も人間をやめた……人間の裏切り者じゃないか」
 「な……!?」
 「そうだろう?親が授けた身体を捨て、獣人になったのだから。しかも生まれた世界さえも捨てているのだから」

 グ……言い方はムカつくけど、意味的には合ってるから反論できない……!

 「いわば、我々は同士!どうだ?くだらない獣人ではなく、我々魔族の仲間にならな……」
 「あ、そっちの仲間とか絶対にないない」

 真顔で手を横にして振る。
 どーしてそうなんのかわけわかんない。

 「僕は今の仲間に助けられて、みんなのために強くなるって決めたんだ。誘われてわかったっていうと思う?」
 「……フ、どうやら戦うしかなさそうだな」
 「僕は最初からそのつもりだけど。……いや、戦うのは僕じゃないか」
 「なに?」

 《二心一体》のスキルを発動させる。
 体毛の色が変化し、僕の意識はどこかへ飛ばされるのを感じながら願う。
 グランヴァルツ……頼んだよ。
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