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第二章:ライバルギルドバトル編
#30.力試し!そして賭け試合当日
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「で、どうする?今からでもメンバーを変えられるが……」
「やりますよ。向こうは確実に勝つために変えたんだろうし、もしここで変えたら逃げたとミサエナは思うだろうから」
「あいつは思うだろうな」
「思うと思いますね」
だよね。
まぁ失礼だけど、ぶっちゃけ変えても勝てる可能性はたいして変わらないと思うんだよね。
なら、先の種目で勝ってもらうしかない。
確かパワーがヴァンで、スピードがバルトだっけか。
馬獣人であるバルトならスピード競技は申し分ないと思うけど、問題はヴァンか……相手によってはかなりキツイよね。
ヴァンはどう見ても、パワータイプじゃないからね。……申し訳ないけど。
「と、いうわけで組み手をお願いしてもいいかな、ヴァン?」
「いいけど、お前は病み上がりだろ?もう少し休んで万全にしたほうがいいんじゃないか?」
「ん、でも三日も寝こんでたせいか、今はすっごく動きたくってね。だから、ね?お願い!」
「そうか、わかった。だが、無理はすんなよ?」
よし、やってやる。
できる限りのことをやって、できれば勝つんだ!
地下の訓練場へ移動して、軽く準備運動をしてから僕とヴァンはお互い距離を取って構える。
なんだろう、なんだかドキドキしてきた。
緊張でも以前の失敗を思い出しによる恥ずかしさでもない……ヴァンと向かい合っただけでなぜこんなに?
……いやいや!今は集中しなきゃ!
少しでもこの組み手で戦い方ってのを吸収しないと……勝負以前の問題になってしまう。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ちょっと雑念を振り払っただけ」
「そうか。ならいくぞ?」
いつもの顔がフッ……と真剣な顔になったと思ったら、部屋の中なのに風を感じ、気が付いたらヴァンが一気に僕の目の前まで来ていた。
なんという瞬発力……ガードが間に合わない! 腹部を思い切り殴られ、飛ばされてしまった。
「ゲホゲホ……きいたぁ……」
「いやぁ……えげつないねぇ」
「相手はあの野郎だ。手抜きで組み手しても勝てるわけねぇだろ。それに、乗っ取られていたとはいえ、コウジは俺に勝ってんだぜ?さらには魔王の一角とも戦っている。こんなとこでしくじってほしくないからな。こいよ、お前の今の本気、俺に見せてみろ」
ヴァンの顔、いつも以上に本気だ。
これは僕のことを認めてくれているのだろうか……?
ならば、ただの特訓と思わず、全力を出さなくちゃ失礼ってものだ。
「わかったよ、ヴァン。こっから僕も全力でいくよ!」
「おう、こい!」
とは言っても、実際にヴァン自身と戦ってみるとかなり強い。
ジャドーの時より攻撃力も素早さも全然違うし、威圧感も段違い。
これがあのヴァンの本気の姿……なんだか大きく感じるよ。
とにかく、今はヴァンの行動パターンの解析と、素早さに関しては動いて動いて動きまくって目を慣らすしかない。
立ち上がり、すぐさま《ドラゴンテイル》で薙ぎ払い、ヴァンがジャンプしてかわしたとこに《サンダーボルト》を落とす。
ヴァンは空中……このコンボは避けられないはず!……と思っていたら、空中にいるにもかかわらず、横に移動してかわした!?てか、今のヴァンて宙に浮いてね?
よく見ると、ヴァンの毛がたなびいて見える。
てことは、ヴァンは宙でも地でも自由に動けるってことだ。
……ズルくね?
まぁ、それはヴァンのスキルでやっていることだから愚痴を言ってても仕方がない。
てか、ゲームと違ってターン制じゃないんだから、戦ってる最中に考えてる暇はないから頭の中で常に展開を読んで動き続けないと。
今の僕のスキルでできることは……
「どうした?もう攻撃手段は終わりか?」
「んなわけないでしょ!」
まずはヴァンを地に降ろさせるか。 指先をヴァンに向け、《魔弾(マジックショット)》を連発していく。 もちろんヴァンは空中で移動しながらかわしていき、僕はヴァンが移動した先に《獄炎放射(フルフレアガン)》を放つ。
これでヴァンは下に降りるしかないはず……なのに、ヴァンは真空波を僕に向かって使ってきた。
驚いて攻撃をやめて避けてしまい、追い打ちとしてヴァンの回し蹴りが僕の横っ腹に炸裂する。
思わず腕でガードしたから腹にダメージはないけど……左腕が痺れる……が、そんなこと言ってられないねっ!
今度は《竜の鉤爪(ドラゴニッククロー)》で攻撃していく。
ヴァンがそれに攻撃しても消えることはないから、コレで一気に攻めていく。
だんだん当たるようになってきて、ヴァンが近づこうとしても近づけさせない。
高くジャンプしたとこで、鉤爪を掬い上げるようにヴァンの真上へ移動させ、力を入れて一気に振り下ろした。
すると、当たる直前に鉤爪が電撃を帯び始め、そのままヴァンに直撃した。
『熟練度が一定に到達……《竜の鉤爪(ドラゴニッククロー)》が《雷竜の鉤爪(ボルドラゴニッククロー)》に変化しました』
「よし、ここまでだ」
これって……スキルが進化した?
スキルって増えるだけじゃなくて進化もするんだ……じゃなくて!
急いで倒れているヴァンの元へ急ぐと、頭を押さえながらムクリと起き上がった。
なんだかテンプレに見えたのは僕だけでは……だけだよね、やっぱ。
「おいちちち……今のは効いたぜ……」
「大丈夫?」
「ああ」
たしかに見た目肉体には損傷がほとんどみられない。
思ってたより頑丈なんですね。
「コウジ、どうだった?」
「ん~……ジャドーの時よりあんまり集中できてなかったと思います。あの時はほとんど考えずに本能的に反応して動けていた感じでしたけど、今回は色々考えてしまったので」
「だろうな。それは見ていてわかった。これは俺の憶測だが、おそらく前回と今回の差は仲間のためだろうな。前回は仲間であるヴァンを助けるために戦ったが、今回は自分のためだ。つまり、コウジは仲間のためなら今の実力を超えるんだな」
仲間のための力……か。
漫画やアニメのバトル漫画では自分自身のための力と仲間を守るための力があったけど、まさか僕が後者とはねー。
自分自身のためも悪くはないけど、どちらかといえば僕は仲間のためがいいもんね。
「しっかし、蹴りで吹っ飛ばなかったのは誤算だったな」
「それはおそらく、コウジが持つ衝撃耐性のおかげだろう。それによって吹っ飛ばしにくいようになったんだ」
へぇ、そういえば威力のわりに受けた時の衝撃が少なかったと思った。
あれは耐性のおかげだったのか。
「とはいえ、今のままだとやはり厳しすぎる。やるなら残り二日間みっちりやってみるが……どうする?」
あ、これってマスターが直々に見てくれる感じ?
たしかに今のままだとヤバいな。
なら、勝つためには二日間でもとにかくやっていくしかない。
「おなしゃす!!」
頭を下げて返事をすると、ヴァンの口がニヤリとしたのが見えた。
え、なんか嫌な予感がするんですけど?
その予感は当たり、前の世界なら教育問題にも発展しそうな修行だった。
まさにマスターは鬼コーチって感じで、これが学校の部活なら一日で辞めていただろうね。
ヴァンも一緒にやってはいたけれど、キツそうな表情していても、まだまだ余裕を残している感じだった。
さすが……と言いたいけど、これでもまだBランクなんだっけか……
AやSランクはどんな化け物なのか、楽しみでもあって憂鬱でもあるな……
そして体を休めるために一日休みを挟み(体が疲れや痛みでずっと布団の中にいた)、ついに当日がやってきた。
丸々一日休んだおかげか体の痛みもほとんどなくなった。
朝にギルド前に集合し、セレナとベロニカ以外(どちらも仕事)が集まってから移動をはじめ、やってきたのはビスコティアから少し離れたとこにある、古さを感じる闘技場のようなコロシアムだった。
コロシアムなんて漫画やアニメしか見たことがなかったから、実際に見ると感動を覚えてしまうな。
「ここはギルテシムが所有するコロシアムなんだ。俺たちゃ毎回ここでやってんだよ」
そうなんだ……ここなら被害も最小限に抑えられるだろうしね。 前は街中だったから結構傷つけちゃったからなぁ。
てことは遠慮せずに全力を出しちゃってもいいわけだよね?
よし、なんだか燃えてきた!
今ならどんな敵にも勝てる感じがするよ!!
「やりますよ。向こうは確実に勝つために変えたんだろうし、もしここで変えたら逃げたとミサエナは思うだろうから」
「あいつは思うだろうな」
「思うと思いますね」
だよね。
まぁ失礼だけど、ぶっちゃけ変えても勝てる可能性はたいして変わらないと思うんだよね。
なら、先の種目で勝ってもらうしかない。
確かパワーがヴァンで、スピードがバルトだっけか。
馬獣人であるバルトならスピード競技は申し分ないと思うけど、問題はヴァンか……相手によってはかなりキツイよね。
ヴァンはどう見ても、パワータイプじゃないからね。……申し訳ないけど。
「と、いうわけで組み手をお願いしてもいいかな、ヴァン?」
「いいけど、お前は病み上がりだろ?もう少し休んで万全にしたほうがいいんじゃないか?」
「ん、でも三日も寝こんでたせいか、今はすっごく動きたくってね。だから、ね?お願い!」
「そうか、わかった。だが、無理はすんなよ?」
よし、やってやる。
できる限りのことをやって、できれば勝つんだ!
地下の訓練場へ移動して、軽く準備運動をしてから僕とヴァンはお互い距離を取って構える。
なんだろう、なんだかドキドキしてきた。
緊張でも以前の失敗を思い出しによる恥ずかしさでもない……ヴァンと向かい合っただけでなぜこんなに?
……いやいや!今は集中しなきゃ!
少しでもこの組み手で戦い方ってのを吸収しないと……勝負以前の問題になってしまう。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ちょっと雑念を振り払っただけ」
「そうか。ならいくぞ?」
いつもの顔がフッ……と真剣な顔になったと思ったら、部屋の中なのに風を感じ、気が付いたらヴァンが一気に僕の目の前まで来ていた。
なんという瞬発力……ガードが間に合わない! 腹部を思い切り殴られ、飛ばされてしまった。
「ゲホゲホ……きいたぁ……」
「いやぁ……えげつないねぇ」
「相手はあの野郎だ。手抜きで組み手しても勝てるわけねぇだろ。それに、乗っ取られていたとはいえ、コウジは俺に勝ってんだぜ?さらには魔王の一角とも戦っている。こんなとこでしくじってほしくないからな。こいよ、お前の今の本気、俺に見せてみろ」
ヴァンの顔、いつも以上に本気だ。
これは僕のことを認めてくれているのだろうか……?
ならば、ただの特訓と思わず、全力を出さなくちゃ失礼ってものだ。
「わかったよ、ヴァン。こっから僕も全力でいくよ!」
「おう、こい!」
とは言っても、実際にヴァン自身と戦ってみるとかなり強い。
ジャドーの時より攻撃力も素早さも全然違うし、威圧感も段違い。
これがあのヴァンの本気の姿……なんだか大きく感じるよ。
とにかく、今はヴァンの行動パターンの解析と、素早さに関しては動いて動いて動きまくって目を慣らすしかない。
立ち上がり、すぐさま《ドラゴンテイル》で薙ぎ払い、ヴァンがジャンプしてかわしたとこに《サンダーボルト》を落とす。
ヴァンは空中……このコンボは避けられないはず!……と思っていたら、空中にいるにもかかわらず、横に移動してかわした!?てか、今のヴァンて宙に浮いてね?
よく見ると、ヴァンの毛がたなびいて見える。
てことは、ヴァンは宙でも地でも自由に動けるってことだ。
……ズルくね?
まぁ、それはヴァンのスキルでやっていることだから愚痴を言ってても仕方がない。
てか、ゲームと違ってターン制じゃないんだから、戦ってる最中に考えてる暇はないから頭の中で常に展開を読んで動き続けないと。
今の僕のスキルでできることは……
「どうした?もう攻撃手段は終わりか?」
「んなわけないでしょ!」
まずはヴァンを地に降ろさせるか。 指先をヴァンに向け、《魔弾(マジックショット)》を連発していく。 もちろんヴァンは空中で移動しながらかわしていき、僕はヴァンが移動した先に《獄炎放射(フルフレアガン)》を放つ。
これでヴァンは下に降りるしかないはず……なのに、ヴァンは真空波を僕に向かって使ってきた。
驚いて攻撃をやめて避けてしまい、追い打ちとしてヴァンの回し蹴りが僕の横っ腹に炸裂する。
思わず腕でガードしたから腹にダメージはないけど……左腕が痺れる……が、そんなこと言ってられないねっ!
今度は《竜の鉤爪(ドラゴニッククロー)》で攻撃していく。
ヴァンがそれに攻撃しても消えることはないから、コレで一気に攻めていく。
だんだん当たるようになってきて、ヴァンが近づこうとしても近づけさせない。
高くジャンプしたとこで、鉤爪を掬い上げるようにヴァンの真上へ移動させ、力を入れて一気に振り下ろした。
すると、当たる直前に鉤爪が電撃を帯び始め、そのままヴァンに直撃した。
『熟練度が一定に到達……《竜の鉤爪(ドラゴニッククロー)》が《雷竜の鉤爪(ボルドラゴニッククロー)》に変化しました』
「よし、ここまでだ」
これって……スキルが進化した?
スキルって増えるだけじゃなくて進化もするんだ……じゃなくて!
急いで倒れているヴァンの元へ急ぐと、頭を押さえながらムクリと起き上がった。
なんだかテンプレに見えたのは僕だけでは……だけだよね、やっぱ。
「おいちちち……今のは効いたぜ……」
「大丈夫?」
「ああ」
たしかに見た目肉体には損傷がほとんどみられない。
思ってたより頑丈なんですね。
「コウジ、どうだった?」
「ん~……ジャドーの時よりあんまり集中できてなかったと思います。あの時はほとんど考えずに本能的に反応して動けていた感じでしたけど、今回は色々考えてしまったので」
「だろうな。それは見ていてわかった。これは俺の憶測だが、おそらく前回と今回の差は仲間のためだろうな。前回は仲間であるヴァンを助けるために戦ったが、今回は自分のためだ。つまり、コウジは仲間のためなら今の実力を超えるんだな」
仲間のための力……か。
漫画やアニメのバトル漫画では自分自身のための力と仲間を守るための力があったけど、まさか僕が後者とはねー。
自分自身のためも悪くはないけど、どちらかといえば僕は仲間のためがいいもんね。
「しっかし、蹴りで吹っ飛ばなかったのは誤算だったな」
「それはおそらく、コウジが持つ衝撃耐性のおかげだろう。それによって吹っ飛ばしにくいようになったんだ」
へぇ、そういえば威力のわりに受けた時の衝撃が少なかったと思った。
あれは耐性のおかげだったのか。
「とはいえ、今のままだとやはり厳しすぎる。やるなら残り二日間みっちりやってみるが……どうする?」
あ、これってマスターが直々に見てくれる感じ?
たしかに今のままだとヤバいな。
なら、勝つためには二日間でもとにかくやっていくしかない。
「おなしゃす!!」
頭を下げて返事をすると、ヴァンの口がニヤリとしたのが見えた。
え、なんか嫌な予感がするんですけど?
その予感は当たり、前の世界なら教育問題にも発展しそうな修行だった。
まさにマスターは鬼コーチって感じで、これが学校の部活なら一日で辞めていただろうね。
ヴァンも一緒にやってはいたけれど、キツそうな表情していても、まだまだ余裕を残している感じだった。
さすが……と言いたいけど、これでもまだBランクなんだっけか……
AやSランクはどんな化け物なのか、楽しみでもあって憂鬱でもあるな……
そして体を休めるために一日休みを挟み(体が疲れや痛みでずっと布団の中にいた)、ついに当日がやってきた。
丸々一日休んだおかげか体の痛みもほとんどなくなった。
朝にギルド前に集合し、セレナとベロニカ以外(どちらも仕事)が集まってから移動をはじめ、やってきたのはビスコティアから少し離れたとこにある、古さを感じる闘技場のようなコロシアムだった。
コロシアムなんて漫画やアニメしか見たことがなかったから、実際に見ると感動を覚えてしまうな。
「ここはギルテシムが所有するコロシアムなんだ。俺たちゃ毎回ここでやってんだよ」
そうなんだ……ここなら被害も最小限に抑えられるだろうしね。 前は街中だったから結構傷つけちゃったからなぁ。
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