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第二章:ライバルギルドバトル編
#28.グランヴァルツとギルドメンバーの対面
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風が吹き終わり、狐司の体がダランと垂れ、少ししてからスッ……っと目を開けた。
その眼にも変化しており、ドラゴンのような金色になっていて、瞳孔が縦長になっている。
自分の体をマジマジと見始め、それは初めて見るような感じであちこち見ている。
「ふむ……何やら毛の色が変化しているが……これはスキルの効果なのだろうか?」
手をグーパーしながらつぶやくと、突然狐司に向かってライクウがひざまついた。
ヴァン達はライクウの突然の行動に驚き、ライクウ自身も驚きの表情をしている。
それはまるで、自分の意志ではなく、体が勝手に動いたかのような。
「おい、なにやってるんだ?ライクウ」
「いや、わからん。なぜだか逆らうことができんというか……まるで王族を前にしているみたいだ」
「ふむ、それはおそらく我の《竜王》のスキルのせいだろうな」
グランヴァルツが元々持っていたスキル、《竜王》。竜人でもあるライクウにもその効果は表れている。
「え、えっと……私はライクウと申します。こちらは我がギルドメンバーのヴァンとシーナ。他ににはバルトとセレナ、ベロニカがいます!」
「あー……そう硬くならんでくれ。そういうのは苦手でな。いつもコウジに言っている言葉でいい。まぁ、そうは言ってもスキルの《竜王》のせいでできずらいだろうがな」
「は、はい、わかりました……」
「すっげ……あんなライクウは初めて見るわ……」
幼馴染で長い付き合いのヴァンでさえ、このライクウの姿を見たことはなかったため、顔が笑顔で引きつっていた。
幼い頃からその才能がゆえに、強い敵にも臆することなく立ち向かっていたため、ライクウが頭が上がらないとすれば実の親とギルドの上司くらいなもの。そのため、スキルの《竜王》を持っているとはいえ、部下でもある狐司に頭を下げるのは目を疑うものである。
そうなると、一つ気になることがある。
「えっと……お前はグランヴァルツ……でいいんだよな?」
「ああ。ちなみにお主と会うのは二度目になるだろう。とはいえ、前は乗っ取られていて知らないだろうがな」
「ぅ……」
クックックと笑うグランヴァルツの言葉にショックを受けるヴァンと、それを見て笑いを必死に堪えるシーナ。
見た目は色違いの狐司なため、ヴァンをイジるのが好きなシーナにとってはツボだったのだろう。
しばらくして落ち着き、戻ってきたバルトとセレナを含め、一同はお茶で一息ついた。
まだ事情を知らなかったセレナは、毛皮の色が変わってしまった狐司……ではなくグランヴァルツを見て、不良になってしまったと勘違いして、なぜかヴァンを攻め立てていたが、グランヴァルツによる説明で事なきを得た。
しかしバルトもセレナも、まだ慣れてはいないようだ。
ライクウに至っては、まだ効果が発揮されてはいるが自分の意志で動けることはできてはいる。
しかし、少しでも気を抜くと身体が動いてしまうらしい。
「グランヴァルツ……っていったっけー?千年以上も坑道にいたんでしょ?退屈しなかったの?」
「していない……と言えば嘘になるだろう。奴が復活しないようにしていたとはいえ、誰とも話ができなかったのは寂しさを感じたな。だから、この狐の子と出会えたのは嬉しかったな。だが、奴と戦わせてしまった事は悪いと思っている」
「気にしないでください。ヴァンの過失なので」
奴とはジャドーの事で、シーナの言葉にヴァンは落ち込んだ。さすがにまだ気にしていたらしく、部屋の隅でうずくまり、尻尾と耳を垂らしながらブツブツ言いだした。
しかし切り替えたのか、すぐさま首を振って立ち上がり、何食わぬ顔で席に戻る。
「あら、今回はずいぶんと立ち直りが早いじゃないですか」
「うっせ。いつまでも引きずってるわけにはいかないからだよ」
シーナが笑顔で嫌味を含めて言うと、ヴァンはテーブルに肘をについてブスッとした表情をする。
それを見ていたグランヴァルツは、クスッと笑っていた。
「ああ、すまない。なにせ、こういうほのぼのとした雰囲気を見るのは久々なものなのでな」
「気にすることはないですよ。それに、ヴァンの趣味は壁に埋まることなので」
「誰がだよ!つか、壁に埋まるのはお前が蹴り飛ばすからだろが!」
「あら、そうでしたか?それより……うるさいです。少し黙っててください」
シーナが言葉の前に先にヴァンを蹴り飛ばし、再び茶をすする。
シーナがヴァンを物理的に黙らすのはコウジやみんなにとっては日常茶飯事だが、千年以上も一頭だけでジャドーを封印し続けてたグランヴァルツにとっては新鮮な光景であった。
一筋の涙を流したのを見たギルドメンバーはギョッとしだす。
「ど、どうかしましたか!?」
「ああ、気にしないでくれ。こうしたのは新鮮なのでな……ちょっと嬉しくなっただけなのだ」
その言葉を聞いてホッとする。
しかも、少しずつではあるが、みんなの緊張も解けてきているように見える。
それはおそらく、シーナがヴァンを蹴り飛ばすといういつも通りの行動をしたからだろう。
「しかし、獣人の身体ってドラゴンと違うから不思議な感じがするものだな。全身に毛があって尻尾もモフモフ。まっすぐ立てるし、肉球がプニプニ。それに雄の身体だからか下半身の異物感も妙な感じだ。あと、背が低いのもまた新鮮だ。」
今のグランヴァルツの言葉でバルト以外が疑問が生じた。
「えっと、グランヴァルツさん?今、雄の身体だからって……?」
「む、言ってなかったか?我は元は雌だぞ」
「はいーーーーーー!?」
「だからこの体で可愛い雄を攻めるのをやってみたいものよ」
セレナの質問にグランヴァルツが答えると、ライクウ、ヴァン、シーナ、セレナは驚きの声を上げ、理解していないバルトはポカンとした表情をしている。
「え?え?」といった感じに、グランヴァルツとライクウ達を何度も見る。
そして、いかにも雌が雄を誘惑するような怪しい雰囲気を出しながら、グランヴァルツはヴァンのマズルの先を人差し指でクイッと少し上げた。辺りがピンク色で、周りには花があるような幻覚が見えるほどに。
ヴァンはどう反応していいかわからず、顔を赤くさせながら口をパクパクなせながら何か声を出そうとする。
「……フ。冗談だ。真に受けるな。ま、雌なのは本当だがな」
グランヴァルツはニヤッとしてヴァンから離れると、クックックッと笑いだす。
ヴァンに至っては、顔を真っ赤にして頭を押さえながら唸っていた。
さらにシーナはそんなヴァンを見てニヤニヤしている。おそらくは、ヴァンをイジるネタが増えたのだろう。
「えっとぉ……またまたぁ。そんなウソに騙されないよ?喋り方が雄っぽいじゃん。だいたい千年生きてたってのも怪しいし?本当はスキルを使ってないコウジ自身なんじゃないの?」
確かに普通なら二つの魂が一つの体に入ってるとは信じがたいし、千年以上生きられるのも簡単には信じられない。
ならばなぜ、狐司の転生については信じられたのか?
それは本人曰く、死後には何があるかわからないからだとか。
さらには、「それに、オイラはこの目で見たものしか信じないのさ!」とキリッとしたドヤ顔で言い放った。
「ならば、目の前にいる我を信じたらどうだ?」
グランヴァルツがそう言うと、バルトは首を横に向けて目を逸らしていた。
両手でバルトの頬を押さえ、無理矢理向かせようと力を入れるグランヴァルツと必死に視線を逸らし続けるバルト。効果音でギギギ……という音が聞こえてくるようだ。
「......さて、そろそろコウジに戻るとしようか」
やがて落ち着き、挨拶を終えたグランヴァルツは狐司に戻るようだ。
理由は、こうしているだけでもMPが減っていってるんだそうだ。つまりは《変化》と同じ効果というわけだ。
そっと目を閉じ、再び風が吹くと、毛の色の赤色の部分が元の白色に変化していき、《竜王》の効果も薄まって、ライクウの雰囲気も楽になった感じだ。
ゆっくりと目を開けると、元の綺麗なスカイブルーの色になっていた。
どうやら本当に狐司戻ったようで、頭に"?"いくつか浮かばせながらをポカンとした表情をしながら辺りをキョロキョロとしだした。
その眼にも変化しており、ドラゴンのような金色になっていて、瞳孔が縦長になっている。
自分の体をマジマジと見始め、それは初めて見るような感じであちこち見ている。
「ふむ……何やら毛の色が変化しているが……これはスキルの効果なのだろうか?」
手をグーパーしながらつぶやくと、突然狐司に向かってライクウがひざまついた。
ヴァン達はライクウの突然の行動に驚き、ライクウ自身も驚きの表情をしている。
それはまるで、自分の意志ではなく、体が勝手に動いたかのような。
「おい、なにやってるんだ?ライクウ」
「いや、わからん。なぜだか逆らうことができんというか……まるで王族を前にしているみたいだ」
「ふむ、それはおそらく我の《竜王》のスキルのせいだろうな」
グランヴァルツが元々持っていたスキル、《竜王》。竜人でもあるライクウにもその効果は表れている。
「え、えっと……私はライクウと申します。こちらは我がギルドメンバーのヴァンとシーナ。他ににはバルトとセレナ、ベロニカがいます!」
「あー……そう硬くならんでくれ。そういうのは苦手でな。いつもコウジに言っている言葉でいい。まぁ、そうは言ってもスキルの《竜王》のせいでできずらいだろうがな」
「は、はい、わかりました……」
「すっげ……あんなライクウは初めて見るわ……」
幼馴染で長い付き合いのヴァンでさえ、このライクウの姿を見たことはなかったため、顔が笑顔で引きつっていた。
幼い頃からその才能がゆえに、強い敵にも臆することなく立ち向かっていたため、ライクウが頭が上がらないとすれば実の親とギルドの上司くらいなもの。そのため、スキルの《竜王》を持っているとはいえ、部下でもある狐司に頭を下げるのは目を疑うものである。
そうなると、一つ気になることがある。
「えっと……お前はグランヴァルツ……でいいんだよな?」
「ああ。ちなみにお主と会うのは二度目になるだろう。とはいえ、前は乗っ取られていて知らないだろうがな」
「ぅ……」
クックックと笑うグランヴァルツの言葉にショックを受けるヴァンと、それを見て笑いを必死に堪えるシーナ。
見た目は色違いの狐司なため、ヴァンをイジるのが好きなシーナにとってはツボだったのだろう。
しばらくして落ち着き、戻ってきたバルトとセレナを含め、一同はお茶で一息ついた。
まだ事情を知らなかったセレナは、毛皮の色が変わってしまった狐司……ではなくグランヴァルツを見て、不良になってしまったと勘違いして、なぜかヴァンを攻め立てていたが、グランヴァルツによる説明で事なきを得た。
しかしバルトもセレナも、まだ慣れてはいないようだ。
ライクウに至っては、まだ効果が発揮されてはいるが自分の意志で動けることはできてはいる。
しかし、少しでも気を抜くと身体が動いてしまうらしい。
「グランヴァルツ……っていったっけー?千年以上も坑道にいたんでしょ?退屈しなかったの?」
「していない……と言えば嘘になるだろう。奴が復活しないようにしていたとはいえ、誰とも話ができなかったのは寂しさを感じたな。だから、この狐の子と出会えたのは嬉しかったな。だが、奴と戦わせてしまった事は悪いと思っている」
「気にしないでください。ヴァンの過失なので」
奴とはジャドーの事で、シーナの言葉にヴァンは落ち込んだ。さすがにまだ気にしていたらしく、部屋の隅でうずくまり、尻尾と耳を垂らしながらブツブツ言いだした。
しかし切り替えたのか、すぐさま首を振って立ち上がり、何食わぬ顔で席に戻る。
「あら、今回はずいぶんと立ち直りが早いじゃないですか」
「うっせ。いつまでも引きずってるわけにはいかないからだよ」
シーナが笑顔で嫌味を含めて言うと、ヴァンはテーブルに肘をについてブスッとした表情をする。
それを見ていたグランヴァルツは、クスッと笑っていた。
「ああ、すまない。なにせ、こういうほのぼのとした雰囲気を見るのは久々なものなのでな」
「気にすることはないですよ。それに、ヴァンの趣味は壁に埋まることなので」
「誰がだよ!つか、壁に埋まるのはお前が蹴り飛ばすからだろが!」
「あら、そうでしたか?それより……うるさいです。少し黙っててください」
シーナが言葉の前に先にヴァンを蹴り飛ばし、再び茶をすする。
シーナがヴァンを物理的に黙らすのはコウジやみんなにとっては日常茶飯事だが、千年以上も一頭だけでジャドーを封印し続けてたグランヴァルツにとっては新鮮な光景であった。
一筋の涙を流したのを見たギルドメンバーはギョッとしだす。
「ど、どうかしましたか!?」
「ああ、気にしないでくれ。こうしたのは新鮮なのでな……ちょっと嬉しくなっただけなのだ」
その言葉を聞いてホッとする。
しかも、少しずつではあるが、みんなの緊張も解けてきているように見える。
それはおそらく、シーナがヴァンを蹴り飛ばすといういつも通りの行動をしたからだろう。
「しかし、獣人の身体ってドラゴンと違うから不思議な感じがするものだな。全身に毛があって尻尾もモフモフ。まっすぐ立てるし、肉球がプニプニ。それに雄の身体だからか下半身の異物感も妙な感じだ。あと、背が低いのもまた新鮮だ。」
今のグランヴァルツの言葉でバルト以外が疑問が生じた。
「えっと、グランヴァルツさん?今、雄の身体だからって……?」
「む、言ってなかったか?我は元は雌だぞ」
「はいーーーーーー!?」
「だからこの体で可愛い雄を攻めるのをやってみたいものよ」
セレナの質問にグランヴァルツが答えると、ライクウ、ヴァン、シーナ、セレナは驚きの声を上げ、理解していないバルトはポカンとした表情をしている。
「え?え?」といった感じに、グランヴァルツとライクウ達を何度も見る。
そして、いかにも雌が雄を誘惑するような怪しい雰囲気を出しながら、グランヴァルツはヴァンのマズルの先を人差し指でクイッと少し上げた。辺りがピンク色で、周りには花があるような幻覚が見えるほどに。
ヴァンはどう反応していいかわからず、顔を赤くさせながら口をパクパクなせながら何か声を出そうとする。
「……フ。冗談だ。真に受けるな。ま、雌なのは本当だがな」
グランヴァルツはニヤッとしてヴァンから離れると、クックックッと笑いだす。
ヴァンに至っては、顔を真っ赤にして頭を押さえながら唸っていた。
さらにシーナはそんなヴァンを見てニヤニヤしている。おそらくは、ヴァンをイジるネタが増えたのだろう。
「えっとぉ……またまたぁ。そんなウソに騙されないよ?喋り方が雄っぽいじゃん。だいたい千年生きてたってのも怪しいし?本当はスキルを使ってないコウジ自身なんじゃないの?」
確かに普通なら二つの魂が一つの体に入ってるとは信じがたいし、千年以上生きられるのも簡単には信じられない。
ならばなぜ、狐司の転生については信じられたのか?
それは本人曰く、死後には何があるかわからないからだとか。
さらには、「それに、オイラはこの目で見たものしか信じないのさ!」とキリッとしたドヤ顔で言い放った。
「ならば、目の前にいる我を信じたらどうだ?」
グランヴァルツがそう言うと、バルトは首を横に向けて目を逸らしていた。
両手でバルトの頬を押さえ、無理矢理向かせようと力を入れるグランヴァルツと必死に視線を逸らし続けるバルト。効果音でギギギ……という音が聞こえてくるようだ。
「......さて、そろそろコウジに戻るとしようか」
やがて落ち着き、挨拶を終えたグランヴァルツは狐司に戻るようだ。
理由は、こうしているだけでもMPが減っていってるんだそうだ。つまりは《変化》と同じ効果というわけだ。
そっと目を閉じ、再び風が吹くと、毛の色の赤色の部分が元の白色に変化していき、《竜王》の効果も薄まって、ライクウの雰囲気も楽になった感じだ。
ゆっくりと目を開けると、元の綺麗なスカイブルーの色になっていた。
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