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百合地獄
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戦地を離れてから1時間、風精霊が言っていた川辺に着いた。既に陽が沈み始めている。オレ達は、急いで野営の準備を始める。オレがソルアで居住設備を創り、蓮華と桜が薪を集め、撫子が火をつける。そして、朱李が川で魚を獲る。無心で魚を獲り続ける朱李の姿に何処か思うところがある桜の後ろで急に撫子が叫ぶ。
「永遠様、来て下さい。」
撫子に呼ばれ、向かうと川辺の岩場から独特の匂いがする煙が立ち上っていた。
「これって、もしかして。」
オレの言葉に撫子は、尻尾を振りながら
「はい、温泉です。湯加減もちょうど良いです。」
と目を輝かせた。撫子のあの尻尾の振り様は、既に入る気満々だ。
『たしかに死闘の果てに屍の処理。疲れをとりたいのもあるが、この血と死肉の臭いは、早く落としてしまいたい。でも、こんな偶然あるのか?もしかしたら、此処を指定したのは、風精霊なりの気遣いだったのかもしれない。』
オレがそんな考えを巡らせている間に撫子は、服を脱ぎ、その美しい裸体でオレに近づいていた。
「さあ、永遠様も早く脱いで一緒に入りましょう。」
撫子は、そう言いながら、オレの服を丁寧に脱がしていく。何故だろう。撫子の裸体を前にすると言われるがまま、促されるままになってしまう。
『撫子は、本当は九尾ではなく、サキュバスなのではないか?』
そんな疑問が頭に過ぎるオレは、撫子に裸に剥かれ、腕を柔らかな胸に拘束された後、癒やしの湯へと誘われる。
『温かい』
続いて、裸になった桜と蓮華も入ってくる。里の露天風呂とは違う風情だが、やはり美女達と入る温泉は、格別である。汗とともに疲れも流されていく。
「はぁ、やっぱり温泉は、癒やされますね。」
その言葉とともに撫子の吐息がオレの耳に当たる。
(ゾクゾクッ)
背中のざわつき。きっとこれがゲームで言うHP・MP完全回復のサインなんだろう。オレが撫子に骨抜きにされていると魚を獲り終えた朱李が近寄ってくる。それに気づき、桜が立ち上がって朱李に声をかけようとするが、朱李は、オレ達の姿を見て、顔を赤らめると背を向けた。そんな朱李に撫子が
「貴女も入らない?気持ち良いわよ。」
と声をかけるが、朱李は目を逸らして
「私は、いいです。魚、焼いときます。」
と言って、焚き火の方へと行ってしまった。朱李が去るのを見て、桜が再び湯に浸かる。撫子は、そんな桜を後ろから抱きしめると
「あの娘、意外とウブなのね。せっかくだから、私達は、ゆっくり汗を流してから上がりましょう。」
と言って、桜の胸を揉み始めた。
「なっ、なぁちゃん。」
急な襲撃に驚いた桜が温泉の中で暴れ出す。だが、撫子は、桜に密着して、
「今日の主役は、私が洗ってあげるわ。」
と言いながら、桜の胸を揉みほぐした。オレは、教育的に良くないと2人の過激な百合光景を見せない様に蓮華の目を塞ぐ。そして、その光景を見ながら、しみじみと
『人前で妹の胸を揉みまくる撫子は、やっぱりサキュバスだったんだ。』
と思う。そんなオレの視線に気づいた桜は、赤面する。それは、撫子に胸を揉まれているからだけでなく、脳裏にオレへの授乳が浮かんでしまったからだ。恥ずかしさがピークに達した桜は、
「永遠ちゃんも見ちゃダメぇぇ!!」
と叫ぶと勢いよく、オレにお湯をぶっかけた。ずぶ濡れになるオレと蓮華。これは、マズイと思ったのか撫子が桜の胸から手を離し、恐る恐る桜の顔色を窺(うかが)う。だが、その瞬間、桜がクスッと笑う。それは、お湯をかぶったオレと蓮華が同じ動作で首を振って、水を払っていたからだ。髪色も似た2人に
「あははっ。永遠ちゃんと蓮華ちゃん、兄妹みたい。」
と笑いが止まらない。その様子にホッとした撫子は、コッソリと逃げようとしたが、振り向いた桜の目が光り、腕を掴まれると
「なぁちゃん、許さないんだからね。」
と言われ、襲われた。いつもの戯れ合いにも見えるが、撫子の胸を揉む桜の手に力が入っているのは気のせいだろうか。繰り返される百合の攻防にもう蓮華の目を隠す事も忘れ、オレは、湯に浸かる事にした。すると蓮華がオレの横に座り、腕を触る。
「どうした?蓮華ちゃん。」
オレの言葉に蓮華は、オレの顔をじっと見て、俯く。そして、
「ごめんなさい。私のせいで、永遠様の髪、私みたいになっちゃった…。」
と答えた。湯に映るオレの姿。髪型は、変わりないが、髪色は、白髪になっている。川辺に来る途中に大方(おおかた)の経緯(いきさつ)は、聞いていたが、改めて見ると不思議な感じがする。未来と同じ髪色。
『未来もあんな苦痛を…』
居た堪れない感情が一瞬心を刺したが、蓮華の涙ぐんだ表情が傷を塞いでいく。オレは、自分の髪を触ると
「気にしなくていいよ。これは、蓮華ちゃんのせいじゃない。それにね。オレは、蓮華ちゃんの髪は、綺麗だと思うよ。」
と言って、蓮華に微笑んだ。オレの表情に蓮華の顔色が晴れていく。そして、
「母様も私の髪、よく褒めてくれた…ありがとう、永遠様。」
と言って、湯に浮かぶ自分の髪を手に取った。艶やかで、月の光を吸収した様に煌めく蓮華の髪は、本当に綺麗だと思う。その美しさに惹かれ、オレの手が蓮華の頭に伸びると
「あぁー、永遠様が浮気しようとしている。」
と撫子が叫び、オレ達に向かって来た。いや、正確には、桜から逃げて来た。言葉とは裏腹に助けを求めている撫子は、オレ達の所に辿り着く事ができず、桜に捕まると湯の中へと消えていった。その衝撃で再びお湯浸(びた)しになったオレと蓮華は、一足先に百合地獄と化した温泉を後にした。
「永遠様、来て下さい。」
撫子に呼ばれ、向かうと川辺の岩場から独特の匂いがする煙が立ち上っていた。
「これって、もしかして。」
オレの言葉に撫子は、尻尾を振りながら
「はい、温泉です。湯加減もちょうど良いです。」
と目を輝かせた。撫子のあの尻尾の振り様は、既に入る気満々だ。
『たしかに死闘の果てに屍の処理。疲れをとりたいのもあるが、この血と死肉の臭いは、早く落としてしまいたい。でも、こんな偶然あるのか?もしかしたら、此処を指定したのは、風精霊なりの気遣いだったのかもしれない。』
オレがそんな考えを巡らせている間に撫子は、服を脱ぎ、その美しい裸体でオレに近づいていた。
「さあ、永遠様も早く脱いで一緒に入りましょう。」
撫子は、そう言いながら、オレの服を丁寧に脱がしていく。何故だろう。撫子の裸体を前にすると言われるがまま、促されるままになってしまう。
『撫子は、本当は九尾ではなく、サキュバスなのではないか?』
そんな疑問が頭に過ぎるオレは、撫子に裸に剥かれ、腕を柔らかな胸に拘束された後、癒やしの湯へと誘われる。
『温かい』
続いて、裸になった桜と蓮華も入ってくる。里の露天風呂とは違う風情だが、やはり美女達と入る温泉は、格別である。汗とともに疲れも流されていく。
「はぁ、やっぱり温泉は、癒やされますね。」
その言葉とともに撫子の吐息がオレの耳に当たる。
(ゾクゾクッ)
背中のざわつき。きっとこれがゲームで言うHP・MP完全回復のサインなんだろう。オレが撫子に骨抜きにされていると魚を獲り終えた朱李が近寄ってくる。それに気づき、桜が立ち上がって朱李に声をかけようとするが、朱李は、オレ達の姿を見て、顔を赤らめると背を向けた。そんな朱李に撫子が
「貴女も入らない?気持ち良いわよ。」
と声をかけるが、朱李は目を逸らして
「私は、いいです。魚、焼いときます。」
と言って、焚き火の方へと行ってしまった。朱李が去るのを見て、桜が再び湯に浸かる。撫子は、そんな桜を後ろから抱きしめると
「あの娘、意外とウブなのね。せっかくだから、私達は、ゆっくり汗を流してから上がりましょう。」
と言って、桜の胸を揉み始めた。
「なっ、なぁちゃん。」
急な襲撃に驚いた桜が温泉の中で暴れ出す。だが、撫子は、桜に密着して、
「今日の主役は、私が洗ってあげるわ。」
と言いながら、桜の胸を揉みほぐした。オレは、教育的に良くないと2人の過激な百合光景を見せない様に蓮華の目を塞ぐ。そして、その光景を見ながら、しみじみと
『人前で妹の胸を揉みまくる撫子は、やっぱりサキュバスだったんだ。』
と思う。そんなオレの視線に気づいた桜は、赤面する。それは、撫子に胸を揉まれているからだけでなく、脳裏にオレへの授乳が浮かんでしまったからだ。恥ずかしさがピークに達した桜は、
「永遠ちゃんも見ちゃダメぇぇ!!」
と叫ぶと勢いよく、オレにお湯をぶっかけた。ずぶ濡れになるオレと蓮華。これは、マズイと思ったのか撫子が桜の胸から手を離し、恐る恐る桜の顔色を窺(うかが)う。だが、その瞬間、桜がクスッと笑う。それは、お湯をかぶったオレと蓮華が同じ動作で首を振って、水を払っていたからだ。髪色も似た2人に
「あははっ。永遠ちゃんと蓮華ちゃん、兄妹みたい。」
と笑いが止まらない。その様子にホッとした撫子は、コッソリと逃げようとしたが、振り向いた桜の目が光り、腕を掴まれると
「なぁちゃん、許さないんだからね。」
と言われ、襲われた。いつもの戯れ合いにも見えるが、撫子の胸を揉む桜の手に力が入っているのは気のせいだろうか。繰り返される百合の攻防にもう蓮華の目を隠す事も忘れ、オレは、湯に浸かる事にした。すると蓮華がオレの横に座り、腕を触る。
「どうした?蓮華ちゃん。」
オレの言葉に蓮華は、オレの顔をじっと見て、俯く。そして、
「ごめんなさい。私のせいで、永遠様の髪、私みたいになっちゃった…。」
と答えた。湯に映るオレの姿。髪型は、変わりないが、髪色は、白髪になっている。川辺に来る途中に大方(おおかた)の経緯(いきさつ)は、聞いていたが、改めて見ると不思議な感じがする。未来と同じ髪色。
『未来もあんな苦痛を…』
居た堪れない感情が一瞬心を刺したが、蓮華の涙ぐんだ表情が傷を塞いでいく。オレは、自分の髪を触ると
「気にしなくていいよ。これは、蓮華ちゃんのせいじゃない。それにね。オレは、蓮華ちゃんの髪は、綺麗だと思うよ。」
と言って、蓮華に微笑んだ。オレの表情に蓮華の顔色が晴れていく。そして、
「母様も私の髪、よく褒めてくれた…ありがとう、永遠様。」
と言って、湯に浮かぶ自分の髪を手に取った。艶やかで、月の光を吸収した様に煌めく蓮華の髪は、本当に綺麗だと思う。その美しさに惹かれ、オレの手が蓮華の頭に伸びると
「あぁー、永遠様が浮気しようとしている。」
と撫子が叫び、オレ達に向かって来た。いや、正確には、桜から逃げて来た。言葉とは裏腹に助けを求めている撫子は、オレ達の所に辿り着く事ができず、桜に捕まると湯の中へと消えていった。その衝撃で再びお湯浸(びた)しになったオレと蓮華は、一足先に百合地獄と化した温泉を後にした。
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