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帰る場所(生きる意味)
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………………。
(ぴちょん...ぴちょん...)
何処からか水の音が聞こえる。辺りは真っ暗だ。体は…動く。だが、もうどうでもいい。疲れた。オレが創った…とざされた世界。何もできない。何もしない。オレは再び目を閉じる。
…………………。
(はぁはぁはぁ)
荒い息が聞こえる。
『………。』
足に冷(ひ)えた大地の感触がある。
『……やめろ。』
壁を探す手が空を切る。
『やめろ……。』
倒れては立ち上がる。
『やめろ…もう疲れた。』
蹌踉(よろ)めいた体が壁にぶつかる。
『…もう疲れたんだ。』
暗闇の中、手探りで
『この世界は、オレから何もかも奪っていく』
塞いだ出口を探す。
『父さんは、オレ達を捨て蒸発した。』
壁を叩く。
『母さんは、オレ達を残して自殺した。』
唇を噛み締め、出口を探し続ける。
『未来は…オレのせいで』
分厚い壁で塞がれた出口をみつける。
『強欲な奴らの……喰い物になった。』
魔法で壁を壊す。
『オレは…』
みえない出口を求め
『この世界が嫌いだ。』
彷徨う。
『壊したい…』
微かに見える希望(あかり)。
『大切なものが奪われていく世界…』
縋(すが)るように求め、あゆむ。
『オレは…』
薄暗い森に朝日が差し込む。
『何のために』
洞穴(くらやみ)から出る。
『生きればいい。』
世界が歪(ゆが)む……。
「永遠さまぁぁ!!」
「永遠ちゃぁぁん!!」
倒れ込むオレを撫子と桜が強く、強く抱きしめる。オレの顔に撫子と桜の涙が落ちる。歪んだ世界が元に戻っていく。虚(うつろ)な世界で踠(もが)き続けた答えがここにあった。
「ただいま……ただいま、撫子、桜。」
オレは力の入らない腕で、それでも強く抱きしめ返した。涙で顔がくしゃくしゃになる。そんな顔を撫子も桜も愛おしげに見る。
「おかえりなさい、永遠様。」
「おかえり、永遠ちゃん。」
撫子も桜も涙を拭き取ると満面の笑顔でオレを迎え入れてくれた。ここにオレの帰る場所(生きる意味)があった。
(ぴちょん...ぴちょん...)
何処からか水の音が聞こえる。辺りは真っ暗だ。体は…動く。だが、もうどうでもいい。疲れた。オレが創った…とざされた世界。何もできない。何もしない。オレは再び目を閉じる。
…………………。
(はぁはぁはぁ)
荒い息が聞こえる。
『………。』
足に冷(ひ)えた大地の感触がある。
『……やめろ。』
壁を探す手が空を切る。
『やめろ……。』
倒れては立ち上がる。
『やめろ…もう疲れた。』
蹌踉(よろ)めいた体が壁にぶつかる。
『…もう疲れたんだ。』
暗闇の中、手探りで
『この世界は、オレから何もかも奪っていく』
塞いだ出口を探す。
『父さんは、オレ達を捨て蒸発した。』
壁を叩く。
『母さんは、オレ達を残して自殺した。』
唇を噛み締め、出口を探し続ける。
『未来は…オレのせいで』
分厚い壁で塞がれた出口をみつける。
『強欲な奴らの……喰い物になった。』
魔法で壁を壊す。
『オレは…』
みえない出口を求め
『この世界が嫌いだ。』
彷徨う。
『壊したい…』
微かに見える希望(あかり)。
『大切なものが奪われていく世界…』
縋(すが)るように求め、あゆむ。
『オレは…』
薄暗い森に朝日が差し込む。
『何のために』
洞穴(くらやみ)から出る。
『生きればいい。』
世界が歪(ゆが)む……。
「永遠さまぁぁ!!」
「永遠ちゃぁぁん!!」
倒れ込むオレを撫子と桜が強く、強く抱きしめる。オレの顔に撫子と桜の涙が落ちる。歪んだ世界が元に戻っていく。虚(うつろ)な世界で踠(もが)き続けた答えがここにあった。
「ただいま……ただいま、撫子、桜。」
オレは力の入らない腕で、それでも強く抱きしめ返した。涙で顔がくしゃくしゃになる。そんな顔を撫子も桜も愛おしげに見る。
「おかえりなさい、永遠様。」
「おかえり、永遠ちゃん。」
撫子も桜も涙を拭き取ると満面の笑顔でオレを迎え入れてくれた。ここにオレの帰る場所(生きる意味)があった。
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