神盤の操り人形(マリオネット)

遊庵

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初夜

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その後は、客人が次々と酒を注ぎにきた。酒をこんなに飲んだのは、初めてだった。途中で誾が入り、上手く捌(さば)いてくれていた気がする。いつ終わったのか分からないまま、オレは床の間に寝かされていた。ほぼ記憶がない。殆どが祝いの言葉だったと思う。ただ、料理長の話は、鮮明に残っている。それは、料理に出ていた肉や魚料理についての事だ。オレ達が食べていた肉や魚は、源種と呼ばれる源獣種や源鳥種、源魚種から得られるものだった。源種は、生物神アイシャの血を拒否し、知性の進化を求めず、オレが知っている姿のまま生き続けている生物の事だった。
頭がクラクラする。いつもの居室じゃない。誰もいない部屋に不安を感じる。気持ちを落ち着ける為に目を閉じて、深呼吸をする。静かな空間に足音が聞こえてくる。足音が止まり、目を開けると月明かりに照らされて、障子戸に2人の姿が映し出されていた。ゆっくりと障子戸が開き、浴衣風の寝衣(ねまき)に着替えた撫子と桜が入ってきた。気のせいか、2人の顔が赤い気がする。
「お目覚めだったんですね。お体は、大丈夫ですか?」
撫子は、そう言って、オレの横に座った。
「少し頭がクラクラするけど、大丈夫だよ。撫子と桜は、大丈夫?だいぶ疲れていたみたいだけど。」
オレの問いに2人の顔が更に赤くなる。どうやら宴の席の事を多少は覚えているらしい。
「と、永遠様。あ、あれはですね。何と言うか。」
撫子の言葉が辿々(たどたど)しい。
「永遠ちゃんのいじわる。」
桜は、そう言って水の入った湯呑みをオレに渡す。桜もオレに寄り添う。
「ありがとう、桜。ところで、この部屋って?」
オレの問いに2人はモジモジしながら答える。
「ここは、私となぁちゃんの部屋だよ。」
「そして、今日からは、永遠様との…。」
撫子は、途中で言うのを止めて立ち上がる。桜も立ち上がり、オレに背を向ける。そして、障子戸から入る月明かりを受けながら、浴衣を脱ぎ落とした。2人の美女の白肌が露わになる。撫子と桜が同時に振り向く。
『・・・・・・』
思考が停止し、言葉を失う。撫子と桜は、秘部がかろうじて隠れている下着を身につけ、恥ずかしそうに立っていた。
『…エロい』
思考がその1択に埋め尽くされ、言葉を失ったまま、ただ見つめるしかできなかった。恥ずかしさに耐えきれず、撫子は秘部を手で隠すと
「なぜ何も仰ってくださらないのですか?」
と聞いてくる。オレは、唾を飲み込むと
「只々、驚いてしまって…2人ともどうしてそんな格好を」
と返した。桜が顔を真っ赤にする。
「かぁ様が…これを着て永遠ちゃんと寝たらすぐに仔ができるって。」
『不知火さぁん!』
桜は、そう言うとオレに抱きつき、押し倒した。下着?を着けているとはいえ、桜の体温を直に感じる。動揺で頭が真っ白になる。だが、胸の鼓動が、性の衝動を後押しする。理性が保てない。
「すぴぃ…」
『えっ』
桜は、目を閉じて寝ている。信じられない光景に行き場を失った感情が胸を悶々とさせる。
「ほんと桜は純粋ですね。」
背中から撫子の手が伸び、オレの服を脱がしていく。脱がされた背中に撫子の胸が当たり、首に吐息を感じる。振り向いたオレの唇に撫子の唇が重なる。撫子は、オレにしっかり抱きつき口づけを続けた。頭が蕩(とろ)ける。撫子は、抱きついたまま、仰向けになると口づけを止めた。そして、代わりに指を咥えると
「永遠様。私に永遠様の仔種を下さいませ。」
とねだった。撫子の妖艶な身体に卑猥な下着、そして、漂う甘い香り。その誘惑がオレの体の自由を奪う。オレは、性の衝動の赴くまま、撫子と体を重ね合わせた。時が経つにつれてお互いの息が荒くなる。撫子と繋がっている幸せが身体を、股間を熱くする。
「はぁはぁ、永遠さま、わたくし、もう」
興奮の絶頂が近づき、撫子がオレにしがみつく。それと同時にオレは仔種を撫子の中に出した。
……お互いの息が乱れている。オレは、息を整えると撫子の頬に優しく口づけをした。そして、
「愛しているよ、撫子。」
と言って、頭を撫でた。撫子は、満面の笑みを見せると
「私もですわ、永遠様。」
と言って、ゆっくりと目を閉じた。
撫子の寝顔を確認して、オレも寝ようとすると急に目の前が真っ暗になった。何かモフモフしたもので目の前を塞がれている。オレが動揺していると声が聞こえる。
「永遠ちゃん。」
「…桜なのか?」
「…うん。」
桜はそう答えると言葉を続けた。
「私ね。……私も永遠ちゃんの仔種が欲しいの。でも、恥ずかしくて……だから、目、閉じててくれないかな。お願い。」
桜の願いにオレは頷くと
「分かったよ。」
と答えた。オレが目を閉じると目の前のモフモフが無くなった。その代わりにオレの上半身には、少しの布生地と温かく柔らかいものが当たる。目を閉じているせいか、身体が敏感になっているようだ。首筋にも温かいものを感じる。刺激的な感覚が身体を駆け巡り、目を開けそうになる。それに気づいた桜は
「永遠ちゃん、見ないで」
と言って、手で目を塞いだ。オレは
「ごめん。」
と謝ったが、桜の手が離れる事は無かった。桜の吐息が荒くなっていく。それと同時にオレの股間が温かいものに包まれていく。
「んっ、……はぁはぁはぁ」
桜の腰の動きが徐々に激しくなっていく。桜の手が目から離れ、代わりに桜の唇がオレの唇と重なり合う。桜は、声を殺すかのように唇を重ね合わせ続ける。そして、絶頂をむかえると一度体を震わせ、オレにその身を預けた。桜が耳元で囁く。
「永遠ちゃん、大好き。」
オレは、桜の言葉に頭を撫でる事で答えた。
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