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竜王の秘密名と報酬金
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場が和んだところで、オレは、神楽に促され、再び水晶石の前に立った。神楽が水晶石にギルドのプレートを翳すと、水晶石に光が点る。
「永遠様、討伐した際の品を水晶石に当てて下さい。」
オレは、神楽に促され、水晶石に竜王の遺品である宝石を当てる。6つの宝石を当て終わると先程よりも明るく水晶石が光を点した。投影機が動き出し、結果を印刷していく。印刷物ができ、取り出した神楽が内容を見て固まる。
「どうだったの、神楽。」
不知火の呼び掛けに反応せず、神楽は、ブツブツと何かを呟いている。オレ達は、心配になり神楽に近づくと
「一、十…千…万…億………。一……万…億。」
と数を数えながら意識が遠のいている神楽の姿があった。
「神楽。しっかりしなさい。」
不知火が声をかけ、神楽を揺さぶり起こす。気を取り戻した神楽は、不知火の肩を掴むと
「ね、義理姉さん。なっナナ。7,000億円だった。」
と金額だけを伝えて、意識朦朧と腰を落とした。不知火は神楽から印刷物を取り上げ、内容を確認する。不知火の手が震える。
「永遠様。見て下さい。」
オレ達も不知火のもつ印刷物を確認する。
依頼内容 討伐依頼
対象討伐 黒竜王 ダークワン
白竜王 クララン
火竜王 ファイヤーボーイ
水竜王 ニューレディ
地竜王 ハングリーベア
風竜王 スーパーハリケーン
「ぷっ」
桜の声が漏れる。
「何?ハングリーベアとかファイヤーボーイとか…変な名前。」
桜は、そう言って笑い出す。つられて撫子もクスクスと笑う。
「竜王様の名前にしては、浅はかな名前ですね。」
オレも笑いを堪えていたが、撫子の言葉に遂に堪えられなくなってしまった。オレ達の笑いに不知火は、改めて印刷物を見る。
「あらあら、こんな形で竜王様達の秘密の名前が出るなんて。」
「えっ?竜王の秘密の名前?」
オレの質問に不知火が答える。
「竜王様達の名前は初代黒竜神リアム様がつけたんです。リアム様は、今でこそ世界を火の海に変えようとした暴竜の様に言われていますが、元々は、気弱で優しい竜だったそうです。そのため、弱者が助けを求めると自らの血を与え、竜化させ、共に闘ったと言われています。ですが、竜達が多くなってくると力任せで物事を解決する者が現れてきました。リアム様は、統制をとるために当時、より多くの血を分けた6人の竜に王の位と名前をつけたそうです。そして、その力と名前を代々受け継がせるように命じたそうです。ですが、その名前は、子供が考えた様な変な名前だったため、それ恥じた竜王様達は、名前を隠し、官名で呼ぶようになったそうです。まさかこんな形で世に出るとは思いませんでしたわ。」
不知火の話に竜達が会話で名を言わなかった事を納得してしまった。あんなシリアスな場面で名前を言われていたらオレは会話に集中できなかっただろう。ようやく笑いが止まり、印刷物の続きを確認する。
報酬 700,000,000,000円
依頼達成者 第2860027支部 狐茶屋
依頼主 王(北京)
依頼報酬は、7,000億円だった。そして、不知火が予想していた通り、依頼主は創世神の王だった。いや、正確には、これだけの報酬を用意できるのは、創世神しかいないため、間違いないとの事だった。
「しかし、7,000億円ってすごい金額ですね。」
オレの言葉に神楽が立ち上がる。
「すごいって。永遠様、分かってるんですか?これだけの金があったら国の一つや二つ買えちゃうんですよ。」
神楽の声の大きさからまだ興奮している事が分かる。そんな神楽を落ち着かせる様に不知火が肩を触る。
「まぁまぁ、落ち着きなさい、神楽。永遠様は、まだ状況が分かっていない様ですね。」
と言って、今の状況を説明する。
「永遠様は、登録料の30,000円をどう思いましたか?」
不知火の質問の意味が分からず
「どうって言われても、そういうものなのかと。」
と答えた。不知火は、何かに納得すると
「永遠様。この地で1人10,000円もありましたら、1ヶ月は生活できます。30,000円という金額は、一生涯と考えれば、安いかもしれませんが、かなりの金額なんです。もし、年間で1,000,000円を稼げるなら、一自治の領主にだってなれるでしょう。つまり、7,000億円というのは、一国の数百年分の予算に匹敵する金額なんです。」
と答えた。
『急に金額がデカくなって、感覚がわからない。だが、オレがいた時とはお金の価値が違う様だ。ただ分かったのは、国を買えるほどのお金を手に入れたという事だ。』
オレが困惑しながらも冷静な状態に神楽は諦めた様に話し始めた。
「はぁ。義理姉さん。永遠様は、事の重大を分かっとらんよ。」
神楽の言葉に不知火も
「そうね。まぁ、うちの娘達の旦那様が大金持ちになったという事で良しにしましょうか。」
と話し、
「それより、神楽。これからギルドの運営どうしましょう。赤字ギルドだった此処が保有金額1位のギルドになっちゃったかもしれないじゃない。」
と神楽に話しかけた。不知火の言葉に神楽は再び興奮する。
「そ、そうですよね、義理姉さん。3,500億円なんてその辺に置いとけないし、まずはこの狐茶屋を改築して、それでデッカい金庫買って、それから賊に襲われない様に里全体を高い塀で囲うでしょ。それで傭兵を雇って…あぁぁぁ。」
不知火と神楽がこれからの里とギルド運営に夢中になる中、オレ達はある事を思い出した。
「お母様、神楽さん。私達の登録を忘れてはいませんか?」
撫子の言葉に不知火も神楽も我に帰る。神楽は、
「あっ、そうやったね。」
と言うとカウンターの裏に行き、奥から丸い水晶石を出してきた。そして、
「それじゃ、登録料は、今回の報酬から差し引かさせてもらうね。それで、これから3人の登録プレートを作るんだけど、プレートは、ランクによって必要な金属が違うんだよね。だから、ランクによっては今日作れないかもだけど、それは許してね。それじゃあ、桜ちゃん、この水晶に手を置いてくれる。」
と言って桜に水晶石に触る様に促した。桜が神楽に言われるがまま、水晶石に触ると薄らと水晶石が光を点した。そして、水晶石の中に文字が浮かび上がる。
(Cu)
『Cu…元素記号?銅ってことか。』
「桜ちゃんは、ブロンズかぁ。流石は、義理姉さんの娘だね。じゃあ、次は撫子ちゃん、置いてくれる。」
神楽は、そう言って撫子にも水晶石に触る様に促した。撫子が水晶石に触り、再び光が点る。
(Cu)
「撫子ちゃんもブロンズだね。いやぁ、優秀な姪っ子をもって、あたしは嬉しいよ。いつでも、この狐茶屋のマスターになってもいいからね。」
神楽が撫子と桜をちゃかす。撫子も桜も神楽に頭を撫でられニコニコしている。神楽は、撫子達と戯れ終わるとオレに視線を向ける。
「じゃあ、最後に永遠様お願いします。きっとゴールド。もしかするとプラチナかもしれないですよ。」
神楽は、また興奮した感じでオレに話しかける。オレは、水晶石に手を翳す前に神楽に訊ねた。
「神楽さん。やっぱりランクって重要なんですか?」
オレの質問に神楽が答える。
「まぁ、あくまで目安だからね。本音で言えば重要じゃないかな。プラチナじゃなきゃ世界規模の依頼を受けられないとかはないし。ただ、ギルドとしては、能力の足りない人に身の丈に合わない依頼を受けさせる訳にはいかないからランクをつけてるんだよね。いちお、ランクは、上位からプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ、その他諸々って感じかな。たまぁに特殊な能力持ちでレアメタルのランク持ちがいるけどね。ちなみに義理姉さんは、ゴールド。兄貴と私はシルバーね。」
神楽の答えを聞きながらオレは、水晶石に手を翳した。水晶石は、一度光を点すと消えた。
「えっ」
オレの声に撫子が反応する。
「どうかされましたか、永遠様。」
「いや、水晶石の光が消えて。」
オレの言葉に神楽が水晶石を確認する。
「何言ってるんですか、永遠様。ちゃんと点いてるじゃないですか。」
神楽の言葉に水晶石を確認すると再び光を点していた。
『オレの見間違いか?いや、たしかに消えていた』
オレは、自分の気持ちは口にはせず、
「オレの見間違いかな。」
と誤魔化した。神楽は、再び水晶石を確認すると
「それじゃ、永遠様のランクを確認しますね。」
と言った。水晶石に元素記号が浮かび上がる。
(Fe)
『Fe…鉄か』
神楽が言葉を失う。代わりにオレが答える。
「鉄だな。」
オレの言葉に神楽が取り乱した様に話し出す。
「いやいや、何かの間違いだよ。壊れてるのかな、この水晶石。」
取り乱す神楽を落ち着かせる様に不知火が声をかける。
「神楽、落ち着きなさい。」
不知火は、神楽を落ち着かせると今度はオレに話しかけてきた。
「私も永遠様が上位のランカーではない事は、不思議でしょうがありません。おそらく何らかの力が働いてるのでしょう。ですが、私はこれで良かったと思います。」
不知火の言葉に
「どういう事ですか、義理姉さん。」
と神楽が聞く。
「もし上位のランカーになれば、注目され、その能力を探る者も出てくるでしょう。永遠様の能力は、世界中が求めて止まない能力です。もし、その能力が知られれば、世界中の能力を求める者達に永遠様が狙われる事になります。ミク様の様な悲劇を生まないためにも永遠様はできるだけ表舞台に立たない方が良いのではと思うのです。」
不知火の言葉に皆が納得した。未来の辿った歴史を神楽は知らないだろう。しかし、希少かつ強い能力を持つ者の末路は分かっている様だ。英雄等と崇められる一方で最高の食料と好色の色で見られる存在。それにオレの命の危機は、撫子や桜の命の危機に繋がっている。命の危険を回避できるなら、それに越した事はない。オレが一つ頷くと神楽は
「分かりました。そういう事なら鉄も銅も用意があるから、このまま作っちゃいますね。」
と言って、水晶石をプレートを作るための機械の台座に置き、準備を始めた。
「永遠様、討伐した際の品を水晶石に当てて下さい。」
オレは、神楽に促され、水晶石に竜王の遺品である宝石を当てる。6つの宝石を当て終わると先程よりも明るく水晶石が光を点した。投影機が動き出し、結果を印刷していく。印刷物ができ、取り出した神楽が内容を見て固まる。
「どうだったの、神楽。」
不知火の呼び掛けに反応せず、神楽は、ブツブツと何かを呟いている。オレ達は、心配になり神楽に近づくと
「一、十…千…万…億………。一……万…億。」
と数を数えながら意識が遠のいている神楽の姿があった。
「神楽。しっかりしなさい。」
不知火が声をかけ、神楽を揺さぶり起こす。気を取り戻した神楽は、不知火の肩を掴むと
「ね、義理姉さん。なっナナ。7,000億円だった。」
と金額だけを伝えて、意識朦朧と腰を落とした。不知火は神楽から印刷物を取り上げ、内容を確認する。不知火の手が震える。
「永遠様。見て下さい。」
オレ達も不知火のもつ印刷物を確認する。
依頼内容 討伐依頼
対象討伐 黒竜王 ダークワン
白竜王 クララン
火竜王 ファイヤーボーイ
水竜王 ニューレディ
地竜王 ハングリーベア
風竜王 スーパーハリケーン
「ぷっ」
桜の声が漏れる。
「何?ハングリーベアとかファイヤーボーイとか…変な名前。」
桜は、そう言って笑い出す。つられて撫子もクスクスと笑う。
「竜王様の名前にしては、浅はかな名前ですね。」
オレも笑いを堪えていたが、撫子の言葉に遂に堪えられなくなってしまった。オレ達の笑いに不知火は、改めて印刷物を見る。
「あらあら、こんな形で竜王様達の秘密の名前が出るなんて。」
「えっ?竜王の秘密の名前?」
オレの質問に不知火が答える。
「竜王様達の名前は初代黒竜神リアム様がつけたんです。リアム様は、今でこそ世界を火の海に変えようとした暴竜の様に言われていますが、元々は、気弱で優しい竜だったそうです。そのため、弱者が助けを求めると自らの血を与え、竜化させ、共に闘ったと言われています。ですが、竜達が多くなってくると力任せで物事を解決する者が現れてきました。リアム様は、統制をとるために当時、より多くの血を分けた6人の竜に王の位と名前をつけたそうです。そして、その力と名前を代々受け継がせるように命じたそうです。ですが、その名前は、子供が考えた様な変な名前だったため、それ恥じた竜王様達は、名前を隠し、官名で呼ぶようになったそうです。まさかこんな形で世に出るとは思いませんでしたわ。」
不知火の話に竜達が会話で名を言わなかった事を納得してしまった。あんなシリアスな場面で名前を言われていたらオレは会話に集中できなかっただろう。ようやく笑いが止まり、印刷物の続きを確認する。
報酬 700,000,000,000円
依頼達成者 第2860027支部 狐茶屋
依頼主 王(北京)
依頼報酬は、7,000億円だった。そして、不知火が予想していた通り、依頼主は創世神の王だった。いや、正確には、これだけの報酬を用意できるのは、創世神しかいないため、間違いないとの事だった。
「しかし、7,000億円ってすごい金額ですね。」
オレの言葉に神楽が立ち上がる。
「すごいって。永遠様、分かってるんですか?これだけの金があったら国の一つや二つ買えちゃうんですよ。」
神楽の声の大きさからまだ興奮している事が分かる。そんな神楽を落ち着かせる様に不知火が肩を触る。
「まぁまぁ、落ち着きなさい、神楽。永遠様は、まだ状況が分かっていない様ですね。」
と言って、今の状況を説明する。
「永遠様は、登録料の30,000円をどう思いましたか?」
不知火の質問の意味が分からず
「どうって言われても、そういうものなのかと。」
と答えた。不知火は、何かに納得すると
「永遠様。この地で1人10,000円もありましたら、1ヶ月は生活できます。30,000円という金額は、一生涯と考えれば、安いかもしれませんが、かなりの金額なんです。もし、年間で1,000,000円を稼げるなら、一自治の領主にだってなれるでしょう。つまり、7,000億円というのは、一国の数百年分の予算に匹敵する金額なんです。」
と答えた。
『急に金額がデカくなって、感覚がわからない。だが、オレがいた時とはお金の価値が違う様だ。ただ分かったのは、国を買えるほどのお金を手に入れたという事だ。』
オレが困惑しながらも冷静な状態に神楽は諦めた様に話し始めた。
「はぁ。義理姉さん。永遠様は、事の重大を分かっとらんよ。」
神楽の言葉に不知火も
「そうね。まぁ、うちの娘達の旦那様が大金持ちになったという事で良しにしましょうか。」
と話し、
「それより、神楽。これからギルドの運営どうしましょう。赤字ギルドだった此処が保有金額1位のギルドになっちゃったかもしれないじゃない。」
と神楽に話しかけた。不知火の言葉に神楽は再び興奮する。
「そ、そうですよね、義理姉さん。3,500億円なんてその辺に置いとけないし、まずはこの狐茶屋を改築して、それでデッカい金庫買って、それから賊に襲われない様に里全体を高い塀で囲うでしょ。それで傭兵を雇って…あぁぁぁ。」
不知火と神楽がこれからの里とギルド運営に夢中になる中、オレ達はある事を思い出した。
「お母様、神楽さん。私達の登録を忘れてはいませんか?」
撫子の言葉に不知火も神楽も我に帰る。神楽は、
「あっ、そうやったね。」
と言うとカウンターの裏に行き、奥から丸い水晶石を出してきた。そして、
「それじゃ、登録料は、今回の報酬から差し引かさせてもらうね。それで、これから3人の登録プレートを作るんだけど、プレートは、ランクによって必要な金属が違うんだよね。だから、ランクによっては今日作れないかもだけど、それは許してね。それじゃあ、桜ちゃん、この水晶に手を置いてくれる。」
と言って桜に水晶石に触る様に促した。桜が神楽に言われるがまま、水晶石に触ると薄らと水晶石が光を点した。そして、水晶石の中に文字が浮かび上がる。
(Cu)
『Cu…元素記号?銅ってことか。』
「桜ちゃんは、ブロンズかぁ。流石は、義理姉さんの娘だね。じゃあ、次は撫子ちゃん、置いてくれる。」
神楽は、そう言って撫子にも水晶石に触る様に促した。撫子が水晶石に触り、再び光が点る。
(Cu)
「撫子ちゃんもブロンズだね。いやぁ、優秀な姪っ子をもって、あたしは嬉しいよ。いつでも、この狐茶屋のマスターになってもいいからね。」
神楽が撫子と桜をちゃかす。撫子も桜も神楽に頭を撫でられニコニコしている。神楽は、撫子達と戯れ終わるとオレに視線を向ける。
「じゃあ、最後に永遠様お願いします。きっとゴールド。もしかするとプラチナかもしれないですよ。」
神楽は、また興奮した感じでオレに話しかける。オレは、水晶石に手を翳す前に神楽に訊ねた。
「神楽さん。やっぱりランクって重要なんですか?」
オレの質問に神楽が答える。
「まぁ、あくまで目安だからね。本音で言えば重要じゃないかな。プラチナじゃなきゃ世界規模の依頼を受けられないとかはないし。ただ、ギルドとしては、能力の足りない人に身の丈に合わない依頼を受けさせる訳にはいかないからランクをつけてるんだよね。いちお、ランクは、上位からプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ、その他諸々って感じかな。たまぁに特殊な能力持ちでレアメタルのランク持ちがいるけどね。ちなみに義理姉さんは、ゴールド。兄貴と私はシルバーね。」
神楽の答えを聞きながらオレは、水晶石に手を翳した。水晶石は、一度光を点すと消えた。
「えっ」
オレの声に撫子が反応する。
「どうかされましたか、永遠様。」
「いや、水晶石の光が消えて。」
オレの言葉に神楽が水晶石を確認する。
「何言ってるんですか、永遠様。ちゃんと点いてるじゃないですか。」
神楽の言葉に水晶石を確認すると再び光を点していた。
『オレの見間違いか?いや、たしかに消えていた』
オレは、自分の気持ちは口にはせず、
「オレの見間違いかな。」
と誤魔化した。神楽は、再び水晶石を確認すると
「それじゃ、永遠様のランクを確認しますね。」
と言った。水晶石に元素記号が浮かび上がる。
(Fe)
『Fe…鉄か』
神楽が言葉を失う。代わりにオレが答える。
「鉄だな。」
オレの言葉に神楽が取り乱した様に話し出す。
「いやいや、何かの間違いだよ。壊れてるのかな、この水晶石。」
取り乱す神楽を落ち着かせる様に不知火が声をかける。
「神楽、落ち着きなさい。」
不知火は、神楽を落ち着かせると今度はオレに話しかけてきた。
「私も永遠様が上位のランカーではない事は、不思議でしょうがありません。おそらく何らかの力が働いてるのでしょう。ですが、私はこれで良かったと思います。」
不知火の言葉に
「どういう事ですか、義理姉さん。」
と神楽が聞く。
「もし上位のランカーになれば、注目され、その能力を探る者も出てくるでしょう。永遠様の能力は、世界中が求めて止まない能力です。もし、その能力が知られれば、世界中の能力を求める者達に永遠様が狙われる事になります。ミク様の様な悲劇を生まないためにも永遠様はできるだけ表舞台に立たない方が良いのではと思うのです。」
不知火の言葉に皆が納得した。未来の辿った歴史を神楽は知らないだろう。しかし、希少かつ強い能力を持つ者の末路は分かっている様だ。英雄等と崇められる一方で最高の食料と好色の色で見られる存在。それにオレの命の危機は、撫子や桜の命の危機に繋がっている。命の危険を回避できるなら、それに越した事はない。オレが一つ頷くと神楽は
「分かりました。そういう事なら鉄も銅も用意があるから、このまま作っちゃいますね。」
と言って、水晶石をプレートを作るための機械の台座に置き、準備を始めた。
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