神盤の操り人形(マリオネット)

遊庵

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九尾と竜の巫女

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その頃のミク様は、ソフィア様の庇護下にあり、共に旅をして、人獣や人鳥達の解放をしていたそうです。
ソフィア様は、自身の能力を継ぎし者が、食料とされた事を嘆き、直系の魔法騎士を各地に派遣し、ミク様の解放活動を支援していました。
ミク様がこの地を訪れたのは、九尾の初代里長である命(みこと)様が娘の巴(ともえ)様と一緒にこの地に逃げて来た時でした。巴様は、幼いながら強い能力を有しており、この地を治めていた獣族の供物として、納められる事が決まっていました。それを不憫に思った命様が巴様を連れて逃げたのです。逃走中、追手の攻撃を受けた命様と巴様は、酷い手傷を負っており、瀕死の状態だったそうです。そんな2人を見たミク様は、命様と巴様に自身の血を与え、致死とも思えた傷を癒したのです。
傷の癒えた命様と巴様は、その後、ミク様達に同行し、この地の人獣達を解放しました。そして、命様は、この地に九尾の里を作り、巴様は、そのままミク様達と共に解放の旅に出たのです。
その後、数年の時をかけて、ミク様達は、全ての人獣と人鳥の解放を成し遂げました。
解放を成し遂げた後、ミク様は、巴様と一緒にこの地に戻ってきました。帰ってきたミク様と巴様は、長い旅の末、まるで姉妹かの様に心を通じ合わせていたそうです。
ミク様がこの地に戻ってきたのには、理由がありました。ミク様は、元々この地の出身で、この地に眠る大切な何かを探すために戻ってきたと言っていたそうです。
ミク様がこの地に留まり幾月が経った時、この地に竜神母アメリア様が現れました。アメリア様は、ミク様の名声を聞きつけ、ある頼みをしに来たのです。その頼みは、竜神リアム様を殺す事でした。その頃のリアム様は、時に理性を失い、破壊衝動の赴くまま、大地を火の海に変える事があったそうです。その未曾有の事態が起こる度に、側近の竜王達がリアム様を押さえ、アメリア様が正気を取り戻させていたのですが、ついにその竜王のうちの1人が死ぬという事態が起こり、アメリア様がミク様に協力を願いに来たのです。創世神の1人であるリアム様の力は、人智を超えており、他の創世神の力が無くては、勝てるはずもありませんでした。ですが、唯一神の定めの下、創世神同士の戦いは禁じられており、他の創世神が直接介入する事はできませんでした。
成す術がないまま時が過ぎ、遂にリアム様が国1つを滅ぼす事態が起こりました。この事態に世界の崩壊を危惧した2人の創世神がミク様を呼び出しました。
1人は、賢神オリバー様でした。オリバー様は、リアム様とアメリア様の鱗を用意させ、そして、リアム様と戦うための武器を授けました。
もう1人は、守護神王様でした。王様は、リアム様の力を弱体化させる秘術を与えました。
リアム様と戦うための用意ができたミク様は、この地に戻ってきました。戻ってきたミク様を出迎えたのは、ソフィア様でした。ソフィア様は、ミク様がリアム様と戦う事を知り、強く反対しましたが、世界の崩壊を防ぐためにと押し切られ、何も言わず、この地を去りました。
一月が経ち、ミク様とリアム様の闘いの前夜、ソフィア様は、この地に戻ってきました。そして、ミク様には会わず、命様と巴様を呼びました。それは、ミク様の授かった秘術について話があったからです。ミク様が授かった秘術には、代償がありました。その代償は、体内の神子、つまり生命でした。ですが、王様は、その事をミク様には伝えていませんでした。
ソフィア様も命様・巴様もミク様の能力を知っていましたが、神子を失う秘術にミク様の生命の危機を感じました。ミク様を失うわけにいかないと決断した巴様は、自らが秘術を使う事を選びました。命様は、反対し、代わりに自分がと名乗り出ましたが、秘術が使える程の能力を有していませんでした。
リアム様と戦う日、巴様は、ミク様に同行し、ミク様が秘術を使う前に発動させました。代償の事を知らなかったミク様は、リアム様との戦いに専念し、死闘の末、リアム様を倒しました。リアム様にとどめを刺す直前、アメリア様の嘆願もあり、ミク様はリアム様を殺さず、氷の柩に封印しました。
封印されたリアム様は、アメリア様に運ばれ、最北にある氷の大地に祀られたそうです。
リアム様との戦いの後、巴様は、程なくして亡くなられました。巴様が死んだ原因が秘術によるものだと知って、ミク様は、大変取り乱されたそうです。そして、巴様を生き返らせようと自身の血を死んだ巴様の身体にかけ続けたそうです。
その狂気にも満ちた姿を見かねたソフィア様は、新たな秘術を創りました。それは、反魂の秘術。死者の身体に自身の神子を代償に再び魂、神子を与えるものでした。ミク様は、直ぐにその秘術を使おうとしましたが、ソフィア様や命様に止められました。それは、すでにミク様が世界を救った英雄、竜の巫女様として崇められた存在だったからです。
反魂の秘術は、母である命様が行いました。反魂の秘術は成功し、命様の生命と引き換えに巴様は生き返りました。生き返った巴様は、ミク様の血を浴び続けた事でミク様の能力の一端を受け継いでいました。母の死を知った巴様は、心底悲しみましたが、母からの想いを胸にしまい、この地を治める決意をしました。
巴様が、九尾の里長として落ち着いた頃、ミク様はこの地を去りました。この地で探していた大切なものが見つかり、そこに剣を納めてきたと言っていたそうです。
その後、リアム様と竜の巫女様の戦いは、神話として、この地で語り継がれました。そして、竜神の力を抑えた秘術と巴様を生き返らせた秘術は、九尾の秘密として代々の里長に引き継がれました。」
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