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 あれから俺達は何だか気まずくなってあまり喋らなかった。

 たぶん、俺が無言になってしまったからか、俺に気を使って悪魔も喋らなかったのかもしれない

 俺は脱ぎ捨てられた自分の服を拾い集め 着替えると、用意された車に乗り込んだ。

 俺はずっと窓の外を眺めながら、これからどうすればいいのかと考えていた。

 そんなことを考えていると、あっという間にアパート前に着いた。




 蒼「あ、ありがとうございました・・・」




 シートベルトに手を掛けるが、中々うまく外れない。




 っ・・・あれ、なんでっ・・・




 有「ほら・・・貸せ」



 悪戦苦闘している俺に悪魔はそう言うと、傍に寄って俺のシートベルトに手を伸ばした。

 その格好は、俺の耳元に悪魔の息が当たる距離だった。

 あまりの近さに 俺の心臓は何故か早く鼓動した。

 あんな告白のような事を言われたせいか、変に意識してしまう。




 有「外れたぞ」




 悪魔はそう言うと、俺から離れていった。

 たぶん今の俺の顔は赤くなってるかもしれない・・・
 
 俺はそんな赤くなった自分の顔を隠すように車を降りると、一礼してすぐアパートへ駆け込んだ。








~数日後~
 



 まだ腰いてぇ・・・・・・




 あんな事があって早 数日、俺は腰をさすりながら和田さんに頼まれた会議資料をコピーしていた。

 休みというのは早いもので、体が痛くて動けなかった分、食って寝ての休みで終わってしまった。




 蒼「和田さん、資料のコピー終わりました。あと何かあれば俺手伝いますけど、何かありますか?」



 和「おー悪いね~そういえばさ、話関係ないんだけどさ・・・・高橋って部長となんかあった?」



 蒼「え?!な、何でですか?!部長が何か言ったんですか?!」



 和「いや、何も聞いてないけど、お前、この前ちょっと変だったしさ、みんな心配してたんだぞ?急に"お世話になりました"とか言って帰ったりするから。」



 蒼「え?!俺がですか?!・・・・あ、あの・・・・実はこの前、結構お酒飲んだまでは覚えてるんですけど・・・・・それからの記憶が全く無くて・・・・・」



 和「お前、酒弱いって言ってたもんな、あんだけ部長に飲まされたら、そりゃー記憶も無くすわ」



 蒼「で、ですよね・・・・あ、あの、その・・・・歓迎会って部長もすぐに帰ったんですか・・・・?」



 和「んー高橋が帰ってすぐかな・・・・"何か用事思い出した"とか言い出して、帰ってったけど・・・・やっぱり部長と何かあったんだろ?」



 蒼「いや!なんも無いですって!」



 和「ふ~ん、まあいいけど。あ、これのデータ集計してくれる?」




 和田さんに書類を渡されると、俺はデスクに向き直った。




 悪魔に犯されてたなんて・・・口が裂けても言えない・・・・・




 俺はそんな事を考えつつも、和田さんに頼まれた集計を終わらせ、気が付くと夜の19時を回ろうとしていた。




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