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コロコロウンチと違うねん!

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「フグ、フギュ、フグ、モグモグモグ」

 オレは今、朝の食糞タイムや。
 
 小っさい家の中、すみっこに背中をもたれさせて、おケツから直接食べるんや。

 コレを食べとかんと、栄養が足りなくて、栄養失調になるからな。

 普通のコロコロウンチと違うで!  ブドウの房みたいな形した、柔らかいウンチや。

 くっさい。でも、栄養満点で、食わんと死んでまうねん。

 オレはねえちゃんに隠れて食っとったんや。


「うさ?  ウンチ食べてるん?」


 うぎゃ!  ねえちゃんにバレてもうた!

 違うねん!  ウンチ食べてるんやけど、コレは普通のコロコロウンチ違うねん!

 オレは食いかけの残り。まだ腹に溜まっててる、ブドウウンチをひり出した。

 あ、あかん。ものごっつ、クサイ!

 嫌われてしまう?!


「ああ、食糞してたん?  偉いなぁ。うさは」


 びっくりや。褒めて貰った。

 ねえちゃんはオレ等ウサギのことを、いっぱい勉強したみたいや。

 やっぱりピィッピィがショックやったみたいや。

 オレのお尻周りはピィッピィのウンチで、ものごっつ汚れててん。

 いつものオレやったら、自分で綺麗にするねんで?  こう見えて、オレ綺麗好きなんよ。

 でも、しんどくて、毛づくろいも出来んかったんや。

 そんなオレのピィッピィまみれのお尻を、ねえちゃんは綺麗に洗ってくれたんや。

 オレ、水に入るのは大嫌いやから、暴れてん。

 そしたらねえちゃん、タオルでぐるぐる巻きにしてお湯で洗ってくれてん。

 蹴っても優しく洗ってくれてん。

 オレ、負けたわ。だんだん気持ち良くなって来てんで。

 やっぱり、ねえちゃんは撫でるのが、うまいわ。

 薬も上手に飲めた。オレ、もう元気やで!

 せやから、ねえちゃん……。

『さしてくれや~!』


「え?!  うさ、男の子やったん?!」


『オレ、発情期が来てん!  せやから、さしてくれや!  ねえちゃん、ねえちゃん!  さして!  さしてぇ~!』

 オレはねえちゃんの腕に抱きついて、袖を噛んで逃げれん様にしてから腰をガンガン振った。

 ダン!ダンダンダンダンダン!  両足を踏み鳴らして頑張ったで!

「フブウーー!。フウ、フウフウ、フウ」

 頑張ったオレは、 足に力が入らへん。

 気持ち良くて腰が抜けたで。

 オレは尻餅をついた。

 ねえちゃんナイスや。めっちゃ出たわ。

 ねえちゃん、どこでそんな技巧を手に入れたんや?  オレ、ねえちゃんの指、二本でイカされてもうたわ!

 
 それからオレは猿になった。

 ウサギは年中発情期や。オレはねえちゃんのストーカーになったで。

 寝る時も一緒や。オレが寝つくまで撫でて貰う。

 風呂は出待ちや。オレ、水は嫌いやからな。

 仕事も着いて行くねん!  めっちゃお願いしてん。

 車の中で待ってる!  あ、あれ?  心配したねえちゃんが庭の木陰に放してくれた!

 土や!  めっちゃ嬉しい!  穴を掘って遊んだで!  

 
「うさぁ~。帰るよぉ~!」


 あ!  ねえちゃんがオレを呼んでる!


「うさぁ~、置いて帰るで~?」


 待って、待って!  ねえちゃん、置いて帰らんといて!

「ブウッ、ブウッ、ブウッ!」

 オレはめっちゃ走って、ねえちゃんにしがみついた。


「うさぁ~。いい子やったねぇ。帰ろかぁ」


 オレは間に合ったみたいや。ねえちゃんが抱っこして車におろしてくれた。


「うさ、今日は買い物してから帰るし、『かばん』でいい子にしててな」


 ねえちゃんはオレを『かばん』に入れた。

 幼児用のリュックや。オレは顔だけ出してねえちゃんの肘にかけられて持たれとった。

 案外誰も気が付かんもんや。

『あ!  ねえちゃん!  チンゲンサイや!  欲しい!』

「ブウッ!  ブウッ!  ブウッ!」

 オレはねえちゃんに叫んだ!


「うさぁ~?  どうしたん?  え?  ひょっとしてチンゲンサイが欲しいん?」


「ブウッ!」

 流石、ねえちゃんや。オレはチンゲンサイをゲットしたで!


「イヤア~!  コレ、ヌイグルミとちごたん?  かわいいわぁ~!」


 しまった!  オレが大騒ぎして、近くにいた惣菜屋のおばちゃんに見つかった!

『うわぁっ!  グリグリすんなや!  おばちゃん、やめて!  頭がもげそうや』

 酷い目にあった。オレはもう『いい子』にしてる。

 あ、ほら、ねえちゃんも『いい子にしててな』って言った。

 騒いだら、揉みくちゃにされることを、オレは覚えた。

 当然だが、晩御飯にチンゲンサイが出た。

 一株丸ごと。

 ねえちゃん。キャベツで懲りてない。食うけどな。

 柔らかい、緑色の葉っぱだけ食べた。

 オヤツに甘いラムネも貰った。

 オレ、コリコリのラムネが大好物になったで!  



『せやから、もっとくれやー!  ねえちゃん!』

『ラムネの後は大好き抱っこして、撫で撫でしてやぁ!』
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