君、愛し 恋し

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君、愛し 恋し 淵

月に先立たれた二人

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『月は綺麗でしたか?』

『はい。わたくしは、あの美しい妻を、今でも愛しております』


「一正君、送って行こう」

「いえ、結構です。そこのお兄さんを回収して、貴方は早くズボンも履き変えて下さい」

「チッ、コイツには、後で焼きを入れておこう」

「じゃあ僕は失礼します」

「待て、俺が車で送って行く!」
「ん?! 誰だ? てめぇ」

「一正様? お迎えに上がりました。トラブルですか?」

「いいえ、道を教えていただけです」
「迎えが来ましたので、今度こそ失礼しますね?」

「遅くなりました。さあどうぞ」

「いえ、今日は月が青いですね」

「かしこまりました。すずかげの並木路を通りましょう」

「よろしくお願いします」


 広域の幹部さんは僕とおじいさんの会話を怪訝な表情できいていた。
 総監のところで僕の担当者として紹介された運転手のおじいさん。
 奥さんのお墓がここにある。
 初恋の人の話しも聞いてくれた、僕の同志で理解者だ。
 ちょっとした言葉遊びにもノリノリで反応してくれ、頭の回転がはやい。
 仕事がデキル、マルチな人。


「へえー。高速道路のサービスエリアで上りと下りが同じ所って僕、初めて来ました」
「こちらから車線を変えて帰ります。遠廻りでよろしかったでしょうか?」
「はい。黒のレクサスをまいて頂いて有り難うございます」
「ようございました。今日は月命日でしたね? お屋敷においで頂いてよろしかったのですか?」
「奥様に呼ばれちゃったからね。でも泊まれないから、また帰りにお世話になります」
「かしこまりました」


「私の求めていたのはコレでしたのね」
「フンブウ、フンブウッ! フウウッ!」
 男の背中を踏む、 ボンテージにハイヒールを履いて鞭を振る女王様。
 はだかにオムツと靴下を履いて、四つん這いになる総監の口には、おしゃぶりが咥えられている。
「貴方、正一さんにも踏んで頂きたいでしょう?」
「ウブウッ! フウ、フウ、」
  あ、仰向けでV字開脚されてしまった。
「さあ、踏んであげてくださいな」
 コレ、足首を掴んでして欲しいってアピールだよね?
 まさか一日に二回も伝家の宝刀を抜くとは思ってなかった。
「じゃあ、いきま~す! 『電気按摩ぁ~!』ズダダダダダァーッ!」
「オ"ゴォー! ッイイイイッ!」
「オホホホ! 私の愛の鞭も差し上げますわ!」
  うわぁ、乳首に『ビシイッ』って、思いっきり振り下ろしてる。
  あ~あ~。オムツの取り替えサインの色が変わっちゃった。
 もう僕、帰って良いかな?

「ハア~。お腹空いちゃった」
「お疲れ様でございました。お夜食を予約しておりますので料亭に行きます」
「わあい! 僕、あそこのお料理、無国籍なのに懐石になってるところが好き~! 美味しいしね? 一緒に食べれるかな? 一人じゃつまらないから」
「光栄です。是非とも」

「あ~。何でかな? 幹部さんと親父さんが見えるよね?」
「どう致しましょうか? セキュリティを呼びましょうか?」
「ハア、とりあえず、ごはん食べようね?」
「かしこまりました」
 



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